東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルス感染者の増加で負荷のかかる医療機関を崩壊に追い込むとの懸念が出ている
Keystone / Kimimasa Mayama
東京オリンピック・パラリンピックで首都圏1都3県の34会場が無観客開催と決まったのを受け、国際オリンピック委員会(IOC)のクリストフ・デュビ五輪統括部長はスイスのラジオ放送で「参加するアスリートは徹底した安全対策を受けることになる」とコメントした。
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「第一のゴールは全ての人にとって安全な大会にすることだ」。デュビ氏は8日夕方、フランス語圏のスイス公共ラジオ(RTS)外部リンクでこう強調した。デュビ氏はスイス西部ローザンヌの出身。
大会が大勢の人を感染させる「スーパースプレッダー」になる恐れから、これまでは観客を1万人に制限する方針だった。だが変異株のデルタ株が首都圏で急速に広まっていることを受け、開会2週間前に無観客開催が決まった。既に1年遅れの開催で大幅な予算超過など多くの問題を抱えている開催側にとって、大きな痛手となった。
ただデュビ氏は前向きだ。「最悪のシナリオは大会の中止だった」とし、「(大会を)開催しないことは想定しにくいだろう」と述べた。
アスリートの8割はワクチン接種済み
東京オリンピック・パラリンピックには約1万1千人のアスリートが参加する予定。その約80%は新型コロナウイルス感染症ワクチンを接種済みだ。IOCは開会までの2週間でその割合を一気に押し上げようとしている。
「今取り組んでいるのは各国のオリンピック委員会やアスリートと連絡を取り、IOCがどこで支援できるかを探ることだ。全ての委員会・アスリートと連絡が取れるまで努力を続ける」(デュビ氏)
選手は日本に向けて出発する2週間前に健康診断やコロナ検査を受ける。日本到着時にも検査を受け、その後も唾液による抗原検査やPCR検査を毎日受ける。物理的に対人距離を取る衛生対策も徹底する。デュビ氏は「細心の注意」を示せるかどうかの問題だ、と語った。
デュビ氏は、東京と周辺の3県で観客を入れることが全面的に禁止されると説明。「しかし自転車やサッカーなど、他の地域で行われるイベントでは、観客が入る可能性がある」と付言した。
多くの日本人や医療専門家は、新たな感染の波を引き起こす可能性があるとして、大会の実施に反対している。
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