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国連移民協定、スイス連邦議会は参加に難色

トルコに到着した難民たち。2017年4月撮影 EPA

スイスの連邦内閣は、国連で先日採択された移民対策に関する合意文書「安全で秩序ある正規移民のためのグローバル・コンパクト(移民協定)」に賛成する方針だったが、連邦議会議員からの激しい反発にあい、協定参加は当分の間見送られた。議員たちは「協定がスイスに及ぼす影響について連邦議会で議論し、協定参加の是非は連邦議会が最終判断すべき」と主張する。 

このコンテンツは 2018/12/18 06:00

スイスは移民協定策定の推進役を務めた国の一つ。移民協定は移民の受け入れに関する国際協調の改善を目標とするもので、スイスは数年前から支持していた。191カ国の代表による交渉はスイスのユルク・ラウバー国連大使が共同企画した。 

移民協定は10日の国連会合で正式に採択されたが、その数週間前からスイスなど数カ国では国内の批判が強まり、協定への不参加を決めた国が相次いだ。スイスでは連邦議会が最終決定権を握ろうとしている。 

協定の反対者は? 

欧州では極右やポピュリズム運動を中心に批判の声が上がっているが、スイスの連邦議会では自由緑の党を除くすべての右派政党が協定参加には慎重だ。 

議員の批判点とは? 

連邦議会議員の過半数は、交渉プロセスや移民協定の内容についての情報が不十分だったとみる。移民協定には法的拘束力はなく、連邦内閣は連邦議会の後ろ盾を得ずに協定への参加を決められる。だが議員たちは「協定は扱いにくい問題を対象とし、参加国に求められる行動指針の中には問題をはらむものもある」とし、連邦内閣は連邦議会に打診すべきだったと主張する。

協定の問題点

協定には23の目標が掲げられているが、議員たちはそのいくつかを問題視したり、意義を問いただしたりしている。問題になった目標には以下のものがある。

  • 正規移住の手続きのしやすさ、およびその柔軟さの改善
  • 移民から自由をはく奪することは最後の手段であり、別の措置がとれるよう努力すること
  • 移民が社会の一員として完全に受け入れられ、社会の一体性が実現できるよう移民と社会を後押しすること
  • あらゆる形の差別を排除すること、また裏付けのあるデータを基に社会的議論を促し、移住についての認識を高めること

連邦議会議員の過半数は「こうした目標は移民の流入を促し、スイスの法律や慣行に反するもので、移民分野におけるスイスの主権を侵害する可能性がある」と危惧する。

協定に法的拘束力はないのに、なぜ留保?

右派の議員は協定に法的拘束力がないとは考えない。参加すればスイスには協定を順守する義務が生じ、ゆくゆくは国内法の改正や規制緩和へとつながると主張する。

一方、連邦内閣は「協定の目標はスイスの法体系と一致する上、スイスは協定の大部分をすでに自発的に実施した」と断言する。それでもなお連邦議会には疑念が残る。スイス国籍の取得および家族の呼び寄せが容易になる点や、強制退去されることになった移民を拘留できなくなる点などが批判に上る。

協定賛成派は誰か?

連邦内閣は連邦議会に対し「移民協定は正規移住の指針策定によって不法移民を減らそうとしているため、スイスの国益にかなう」と再度強調。社会民主党、緑の党、自由緑の党の議員は、グローバル現象となった国外移住には国際的な解決策が必要だとして、協定を支持。スイスが参加にためらえば、国の名声に傷がつくと危惧する。

次のステップは?

連邦議会の上下両院は、移民協定を連邦決議として連邦議会に提示するよう連邦内閣に要求している。連邦決議であれば協定の内容と協定参加後の影響について議論でき、協定の是非を巡り採決できるようになるほか、国民投票(任意のレファレンダム)が提起できるからだ。連邦内閣は連邦議会と協議する義務はないだが、連邦議会の意向に従う方針だ。そのため当分の間はスイスが国連移民協定に参加することはないだろう。

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