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難民受け入れのEU新協定 連帯責任を「公正に」分担するには?

ギリシャのレスボス島モリアの難民キャンプで大規模な火災が発生し、何千人もの人が行き場を失った
ギリシャのレスボス島モリアの難民キャンプで大規模な火災が発生し、何千人もの人が行き場を失った Copyright 2020 The Associated Press. All Rights Reserved

2015年、100万人という記録的な難民が欧州に流入し、ギリシャ、イタリア、スペインなど難民受け入れの最前線にある国と、受け入れを完全に拒む国々との間にある不均衡が浮き彫りになった。

今年9月初旬にはギリシャのレスボス島モリアで悲劇的な出来事が起こり、この不均衡問題が再熱した。超過密状態にあったモリアの難民キャンプで大規模な火災が発生し、何千人もの難民が行き場を失った。

その2週間後、EUは難民・移民受け入れに関する新たな協定案を発表した。難民が最初に到着した国に難民認定審査を義務付ける「ダブリン協定」の失敗を目の当たりにし、新協定は各国間でより「連帯・団結」した形で難民受け入れの責任を分担しようとするものだ。

・難民認定の可能性が低い者を早期に選別するため、EU域外国境における難民申請者の「スクリーニング審査」を導入する

・難民が最初に到着した国に難民認定処理を義務付ける「ダブリン協定」を全面的に見直し、受け入れ国決定基準を拡大する

・「強制的な連帯メカニズム」を制定し、全ての国がその国の経済負担、人口に見合った責任を分担して貢献する。その貢献には、難民認定されなかった人の本国送還の監督や、輸送支援なども含まれる

「難民申請者の受け入れ分担では、現状と『あるべき姿』の間に大きな不均衡が存在する」

ヌーシャテル大学人文学の教授を務めるエティエン・ピゲ外部リンク氏は、移民の流れと移民政策の専門家で、数的観点にのみ基づき、チームとともに欧州における難民受け入れの「公正な」分担をシミュレーションしたマップを作成した。

▲マップ内の単語:Simulation=シミュレーション数、Asylum applicants=難民申請者数、Year=年、EU28 and EFTA countries=EU28カ国と欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国、GDP effect=GDPの比重、Population effect=人口の比重、Surface effect=国土面積の比重、Unemployment effect=失業率の比重

このマップでは異なる要素を基準にして、2008年以降に各国が受け入れた難民申請者数(赤の半円)と「公正」とされる受け入れ数(グレーの半円)が示されている。何を基準にするかというその選択が、政治的焦点になっている。

解説:受け入れるべき難民の数を決定する最も一般的な基準は、人口だ。

マップからは、スイスは1万4200人の難民申請者を受け入れたものの、人口のみを基準にした場合、受け入れるべきだった数は1万1800人であることを示している。

人口を基準にみた場合、最も過剰に難民申請者を受け入れた国はギリシャで、スウェーデン、ドイツ、ベルギー、フランス、スペインも同様だ。一方で、東欧諸国やポルトガル、ノルウェー、デンマーク、英国は、受け入れ能力よりもはるかに少ない人数しか受け入れていない。

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「スイスは、非難されないために必要なことはしているが、それ以上のことはしていない」

だが、難民受入れの責任を公正に割り当てるには、人口だけではなくその国の裕福さや労働市場の状況、国土面積なども考慮に入れる必要があるとする意見もある。

スイスの例を見てみよう。人口ではなく裕福さを基準にした場合、スイスは2万7000人以上の難民申請者を受け入れるべきだったと考えられる。

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ヌーシャテル大学の地理学研究所のシミュレーションでは、GDP(国内総生産)と人口に40%、失業率と国土面積に10%の比重を与えるよう示唆するメルカトル財団の研究を参照した。それによると、スイスは2019年に5000人多くの難民申請者を受け入れるべきだったと推定された。

「スイスは、非難されないために必要なことはしているが、それ以上のことはしていない」とピゲ氏は言う。「スイスの持つ人道主義という伝統と、単に自分の分担する役割を果たすだけでいいという政治的行動との間には、対照的なものがある」

何を判断基準とするかが政治的焦点に

受入数の割り当てでこのような基準を全て考慮に入れるか、あるいは別の基準、またはそのうち一つだけを考慮するかどうかは、政治的交渉の対象であるべきだ。ピゲ氏は、「正しい割り当て数を提案するのではなく、そのベースになる情報を提供することが私たちの狙いだ」と話す。

いずれにしても、移民管理における客観的基準が採用されることが極めて重要だという。それは特定の国が義務を逃れないようにすると同時に、世論の支持を取り付けるためでもある。

だからこそピゲ氏は、難民・移民に関する新たな協定を、「慎重に」「むしろ前向きに」歓迎しているという。同協定案は、EUが反移民を打ち出す国に屈していると非難するNGOから特に、激しい批判を受けていた。

「EUが提案する新たな移民協定よりも満足いくものを望むのは難しい」

「EUが提案するもの以上に満足できるものを望むのは難しいと思う」とピゲ氏は言う。「難民を少ししか受け入れない、あるいは受入れるつもりのない国々が拒否して協定案が白紙に戻ったりすることのないよう、そのような国に解決法を与える必要がある」

欧州諸国間の交渉はまだ始まっていない。だが、難民受け入れに最も消極的な東欧諸国はすでに、難民が強制的に自国内に移されることに反対すると表明している。

(仏語からの翻訳・由比かおり)

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