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米国により財政難になったパレスチナ難民救済事業にスイスが資金支援

Palestinian students pose for a photo in a Kabri School, Lebanon
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営するレバノンのカブリ学校で学ぶパレスチナの生徒たち。2018年9月5日撮影 Keystone

米国が昨年行った資金拠出の一部凍結により国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が財政難に陥ったことを受け、スイスは2019年早期に更なる資金を支援する方針を掲げた。それに対し同機関の事務局長ピエール・クレヘンビュール氏外部リンクは29日、スイスの資金援助に感謝を表明した。 

クレヘンビュール事務局長は29日、米国に2019年の支援として12億フラン(約1316憶円)を要請し、昨年大規模に削減された資金調達レベルを維持するよう求めた。 

事務局長は、スイスが2019年の早期に寄付するというスイスの方針を歓迎し、スイスからのUNRWAへの支援はこれまでも「強く」「寛大」だったと述べた。 

スイスは2018年、事業運営に2120万フラン寄付し、制度改革用に700万フランの追加支援を約束した。 

スイスの長期的な支援が実際にUNRWAの活動にどれだけ貢献しているか、政府は最終的な報告書をまとめた上で検討する。 

昨年5月、スイスのイグナツィオ・カシス外相がUNRWAの活動が中東和平の妨げとなっていると発言し混乱を招いたが、アラン・ベルセ連邦大統領がすかさず介入し、UNRWAはこれまで通りスイスの戦略的パートナーだと述べた。 

UNRWAの予算は従来、3割近くが米国の支援によって賄われていた。2018年の支援として米国は3億6500万ドル(約398憶円)を約束していたが、初回の6千万ドル支払った後、将来のすべての寄付を停止すると発表。そのためUNRWAの財政は困難な状況に陥った。米国はイスラエルとの和平交渉に向けパレスチナの指導者に圧力をかける手段としてこの措置と取ったと見られている。 

最終的には40以上に及ぶ他の州や機関が援助を増額し、財政的な不足が賄われた。クレヘンビュール事務局長は、米国が2019年の寄付を削減する兆候は今のところないと述べた。 

UNRWAは昨年、財政的な圧迫から一部の活動の停止を強いられたが、プログラムは続行された。ガザ地区の従業員が合計118人失業し、国連機関に対する3週間の抗議運動があった。 

UNRWA外部リンクは、パレスチナ難民を救済する目的で1949年に設立された。ヨルダン、レバノン、シリア、ウェストバンク、ガザ地区に住む540万人のパレスチナ難民に教育、保健、救済、社会福祉など、基礎的なサービスを提供している。

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