フレデリック・ジュルネ駐スイス・フランス大使は先月30日、スイスが米国からF35戦闘機を購入したことについて、仏政府は立腹しておらず、両国は話し合いを再開していると述べた。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は戦闘機の新規調達にあたり、仏ラファール戦闘機を含む複数の候補の中から昨年、F35を選定した。ジュルネ氏はスイス・タメディア系新聞のインタビュー(30日付)で「この件はもう決着済み」であり、高官同士による外交的接触が1年ぶりに再開されたと語った。
また地政学的、経済的に異なる状況にある現在、「スイスとフランスは互いに協力する余地のある政治的課題を確認し合った」と指摘。マクロン仏大統領が提唱した「欧州政治共同体」やテレワーク、税制、保健などの国境地域に特化した問題を挙げた。
保健分野での協力に向け15日に創設される合同委員会にも言及し「この枠組み内で、専門家の育成と国境を越えた患者のケアについて熟慮しなければならない」と語った。またスイスの看護師の給与がフランスより高額である点に触れ「補助金でこの給与水準に達するのは不可能」なため、「別の方法を考える必要がある。そのためには一緒に知恵を絞るのがベストだ」とした。
一方、欧州連合(EU)とスイスの枠組み条約交渉が決裂し、スイスがEUの研究開発支援枠組み「ホライズン・ヨーロッパ」から除外されたことについて、特段の変化はないと指摘。「欧州の要求は10年前から変わらない。これらの問題を解決しない限り、進展は望めないだろう」と語った。
2021年、スイスは過去数十年にわたりEUとの関係を規制してきた約120の二国間協定に代わる枠組み条約の交渉を一方的に破棄した。これをきっかけに欧州委員会との関係が悪化し、以来、外交上の行き詰まりを打開できていない。
英語からの翻訳:シュミット一恵
おすすめの記事
スイス、国立大留学生の学費を3倍に引き上げへ 下院委員会が可決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス下院委員会は連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)の留学生の学費をスイス人学生の3倍に引き上げる案を可決した。27日に始まる夏期本会議で審議する。
もっと読む スイス、国立大留学生の学費を3倍に引き上げへ 下院委員会が可決
おすすめの記事
FIFA、脱スイスに向け定款改正
このコンテンツが公開されたのは、
国際サッカー連盟(FIFA)は17日、本部をスイス・チューリヒ以外に移せるよう定款を改正した。
もっと読む FIFA、脱スイスに向け定款改正
おすすめの記事
ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
このコンテンツが公開されたのは、
6月15~16日に開催されるウクライナ平和サミットの舞台として、ルツェルン湖を望むホテル「ビュルゲンシュトック・リゾート」が注目を浴びている。かつては庶民も受け入れられる高級リゾートして地元に愛されていたが、近年は事情が違うようだ。
もっと読む ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
おすすめの記事
スイスで花粉症増加 気候変動・大気汚染が背景に
このコンテンツが公開されたのは、
気候変動の影響で、スイスで花粉症患者が増加している。有症率は2割で、経済損失は最大で年間6900億円に上る。
もっと読む スイスで花粉症増加 気候変動・大気汚染が背景に
おすすめの記事
ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
このコンテンツが公開されたのは、
欧州国別対抗の音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝が11日、スウェーデン南部マルメで行われ、「ノンバイナリー」を自認するスイス代表のNemo(24)が優勝した。会場周辺ではイスラエル参加に対する大規模な抗議活動も行われた。
もっと読む ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
おすすめの記事
スイス北東部でオーロラ観測
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北東部のゼンティス山頂で6日未明、オーロラが観測された。
もっと読む スイス北東部でオーロラ観測
おすすめの記事
ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。
もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
続きを読む
おすすめの記事
国民投票を経ない戦闘機の強行購入は無効?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府が米国からF35戦闘機を調達する契約にサインし、これを受けて同機購入に反対するイニシアチブ(国民発議)が撤回された。直接民主制の模範国としてこの決定プロセスに問題はなかったのか?
もっと読む 国民投票を経ない戦闘機の強行購入は無効?
おすすめの記事
スイス、F35A戦闘機の購入めぐり国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの左派陣営は、米国のステルス戦闘機F35Aを購入するというスイス政府の計画を白紙に戻すべく、国民投票に必要な有権者の署名を集めることに成功した。
もっと読む スイス、F35A戦闘機の購入めぐり国民投票へ
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。