The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

連邦下院、在外スイス人への国内口座容認案を否決

UBSの看板を背景にした時計の文字盤
UBSは在外スイス人への口座開設を要請されている5大銀行の一つ Keystone

連邦議会は、在外スイス人が国内に銀行口座を保有できる道を閉ざした。だが在外スイス人組織(OSA)外部リンクは解決策が見つかると確信している。

 国民議会(下院)は2月末、スイス国内の主要5銀行に対し、在外スイス人が適切な条件下で口座を保有できるよう義務付ける提案を否決した。OSAの副会長を務めるフィリッポ・ロンバルディ上院議員が提案し、全州議会(上院)は昨年9月に同案を可決していた。

 08年の金融危機を機に、口座保有のルールが厳しくなり、多くの銀行で在外スイス人は口座を保有できなくなった。納税の申告手続きが複雑なため、高額の口座維持手数料を課す銀行もある。

 OSAのアリアーヌ・ルスティヒェリ会長は、今回の提案は否決されたものの「在外スイス人に救いの手を差し伸べるようスイス銀行に迫る圧力になった」と語る。OSAは母国での口座保有を希望する在外スイス人にとってより良い情報が提供できるよう努力を続けていると話す。州立銀行が在外スイス人にサービス提供することに前向きだとも明かした。

 OSAは昨年11月以来、スイスの5大銀行の代表らと協議し、妥協策を探っている。詳しい協議結果は、今月ベルンで開かれる在外スイス人会議で公表される。

続く対話

 スイス銀行家協会(SBA)外部リンクはOSAとの協議には参加していないが、銀行側との対話が進んでいることを歓迎する。「国外に住むスイス人の懸案は良く分かる。対話の先行きを注視している」(SBA広報のシンディ・シュミーゲル氏)

 全州議会は昨年9月、在外スイス人にポスト・ファイナンスのクレジットカードを持つ権利を認める提案を圧倒的賛成で可決したが、国民議会では結論が出ていない。

 OSAは昨年9月、こうした問題を巡る10年の闘争に終止符を打つため、在外スイス人の口座凍結や高い銀行手数料に対する戦略を公表した。

 だが銀行側は、国際的な規制の強化に伴い何事も時間がかかり、時に複雑な顧客の査定をしなければならなくなったと主張する。国境をまたいで業務を提供する協定を結んでいない国に関しては、深刻な法的リスクが生じるおそれがあるという。

swissinfo.ch/urs

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

湖に飛び込もうとする男性の後ろ姿

おすすめの記事

スイスで記録的暑さ 政府が警告

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで全国的に気温が上昇し、猛暑への警戒が強まっている。11日にはスイス西部と南部ティチーノ州の一部地域に対し、熱中症など健康被害を受けるリスクが大きい「危険度3」の警報が発令された。

もっと読む スイスで記録的暑さ 政府が警告
作家のアドルフ・ムシュク氏

おすすめの記事

知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞

このコンテンツが公開されたのは、 ハンス・リンギエ財団は9日チューリヒ在住の作家アドルフ・ムシュグさん(91)に欧州政治文化賞と賞金5万ユーロ(約860万円)を授与した。同賞がスイス人に授与されるのは初めて。

もっと読む 知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
詐欺を警告するPC画面

おすすめの記事

スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。

もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
オリーブの木

おすすめの記事

温暖化でスイスがオリーブの名産地に?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。

もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
山肌に描かれた巨大な絵

おすすめの記事

アルプスに新しい巨大地上絵が登場

このコンテンツが公開されたのは、 世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。

もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
原発

おすすめの記事

スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。

もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
セメンヤ

おすすめの記事

欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

このコンテンツが公開されたのは、 欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。

もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部