© Keystone / Christian Beutler
電子マネーが主流になり現金が使えなくなる社会が来るのを予防するため、スイスで国民投票に向けた運動が立ち上がった。
このコンテンツが公開されたのは、
市民団体「スイス自由運動」が国民投票の実施に向け、イニシアチブ(国民発議)を立ち上げた。十分な量の現金確保を連邦当局に義務付けることを提案する。また将来フランを別の通貨に置き換える場合は、国民投票にかけることも明記する。スイス国立銀行(中央銀行)の電子フラン発行計画を念頭に置いた予防線だ。
2023年2月までに有権者の署名10万筆を集めれば、国民投票にかけられる。
スイス自由運動は17日、イニシアチブの目的は他国で現金の引き出しや支払いにかかっている制限がスイスでは生じないようにすることだと説明した。
スイス自由運動のリヒャルト・コーラー代表は「現金は自由と独立、安全の象徴だ」と述べた。高齢者や信条的に電子決済を嫌う人々にとって、現金はシンプルで利用しやすい決済手段だと強調した。
広報担当のシャーリー・パッシュ氏は、オンライン決済が広がり段階的に現金が使えなくなれば、「支出や行動が常に監視される」社会への扉が開かれる可能性があると警告。それは極端なシナリオだとしても、中国の「社会信用システム」構想のようなものだと指摘した。
またITシステムのハッキングや誤動作が起これば、たちまち多くの人々が「取引を行う」という単純な行為でさえできない状態に陥る可能性があると主張した。
SNBが6月に発表した調査によると、デビットカードやクレジットカードの発行枚数、国内のモバイル決済アプリ数は増加傾向にあるが、現金は依然として多く使われる決済手段だ。回答者の97%が日常的な出費のために現金を自宅や財布に保管していると答えた。
おすすめの記事
スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ニトヴァルデン準州は5日、スマートフォンをはじめとするIT機器の小学校での使用禁止を発表した。授業目的や緊急時などを除き、全面的に学校でスマホが使えなくなる。
もっと読む スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
おすすめの記事
ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
このコンテンツが公開されたのは、
メーデーの1日、ジュネーブで国連欧州本部職員500人近くが国連の緊縮財政に反対する異例のデモ活動を実施した。
もっと読む ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
おすすめの記事
バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
このコンテンツが公開されたのは、
5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。
もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
おすすめの記事
ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
このコンテンツが公開されたのは、
第78回ロカルノ国際映画祭で、香港出身の俳優ジャッキー・チェンさん(71)に生涯功労賞である「名誉豹賞」が贈られることが決まった。
もっと読む ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
おすすめの記事
グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
このコンテンツが公開されたのは、
動くクマのグミ、チョコレート味の電池――大阪・関西万博のスイス館では、ロボット工学者とパティシエ、ホテリエが合作した「ロボケーキ」が展示されている。
もっと読む グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
おすすめの記事
スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
このコンテンツが公開されたのは、
日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。
もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
おすすめの記事
フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、21日死去したローマ教皇フランシスコに哀悼の意を表した。
もっと読む フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
おすすめの記事
WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
このコンテンツが公開されたのは、
世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。
もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
おすすめの記事
スイス外相、日本と中国を訪問
このコンテンツが公開されたのは、
イグナツィオ・カシス外相は日本と中国を公式訪問する。
もっと読む スイス外相、日本と中国を訪問
おすすめの記事
TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
このコンテンツが公開されたのは、
米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。
もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
続きを読む
おすすめの記事
スイス人もコロナでついに現金離れ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス人は現金好きだ。だが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で現金払いを控え、非接触型の決済に移行する人が増えている。コロナ危機が収束してからもこの傾向は続くのか?
もっと読む スイス人もコロナでついに現金離れ?
おすすめの記事
アップル、他社決済アプリのために技術改善
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの公正取引委員会は18日、米アップルが同社製品でもスイスのスマートフォン(スマホ)用決済アプリTWINT(トゥウィント)を使えるようにするべく、技術的な問題の解決を目指すことに同意したと発表した。
もっと読む アップル、他社決済アプリのために技術改善
おすすめの記事
現金を愛してやまないスイス人
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは「Cash is king(現金は王様)」との考えが強いことが、公式統計でも明らかになった。スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の調査によると、スイスで行われる決済の7割は現金によってやり取りされている。
もっと読む 現金を愛してやまないスイス人
おすすめの記事
スイスでじわり広がる電子マネー
このコンテンツが公開されたのは、
現金主義のスイス人消費者も、次第に電子マネーでの支払いに慣れてきている。だが少額決済では特に現金派が圧倒的だ。
もっと読む スイスでじわり広がる電子マネー
おすすめの記事
デジタル化で後れを取るスイスの銀行
このコンテンツが公開されたのは、
先進各国と同じくスイスの銀行もデジタル化に向かっているが、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は「望ましい水準に達していない」と手厳しい。
もっと読む デジタル化で後れを取るスイスの銀行
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。