今回の議会による可決は法的効力を持たない
© Keystone / Peter Klaunzer
台湾との二国間交流を深めることを目的とした動議が2日、スイスの国民議会(下院)で可決された。在スイス中国大使館はこれを受け、内政干渉に相当すると反発を示した。
このコンテンツが公開されたのは、
在スイス中国大使館は3日、公式サイトを更新し、台湾との関係深化を求める動議に関する議論の中で、一部のスイスの政治家が「無責任な発言」をしたと指摘。「これらの行為はすべて、中国の内政に著しく干渉するものだ」と抗議した。
それに加え、「一つの中国政策」は「スイスとの二国間関係の基礎」だとし、台湾を国家として承認しないという原則を順守するよう下院に求めた。
さらに、スイス連邦議会はスイス連邦政府が定めた外交政策を厳格に適用するべきで、「台湾の独立」を求める「分離主義者」を支持すべきではないとした。
動議は、台湾における民主主義活動の後押しと平和の促進を目的とし、左派・社会民主党(SP/PS)のファビアン・モリーナ議員が提案した。同氏を含めたスイス・台湾友好議員団は今年2月上旬、台湾を非公式に訪問し、政府、議会代表者および蔡英文(ツァイインウェン)総統と面会。在スイス中国大使から批判を受けていた。
スイスは台湾を公式には国家として承認していない。しかし、スイスは台湾との外交関係のみならず、経済関係なども多数維持しており、科学技術分野での交流も行っている。
今回の議会による可決は法的効力を持たない。
>中国を恐れるスイス、台湾との科学技術協定に消極的
>台湾とスイス:ビジネスでは近くとも、政治的には距離を置く存在
英語からの翻訳:大野瑠衣子
おすすめの記事
宇宙研究
国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
このコンテンツが公開されたのは、
日本製とドイツ製のロボットが、国際宇宙ステーション(ISS)で「宝探し」をして遊んだ。スイス・ルツェルン応用科学芸術大学(HSLU)もこの実験に貢献した。
もっと読む 国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
おすすめの記事
スイス中銀、新紙幣デザイン12案発表 一般投票募る
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)が、新フラン札のデザイン案12点を発表した。来月7日まで、インターネット上で一般投票が行われる。
もっと読む スイス中銀、新紙幣デザイン12案発表 一般投票募る
おすすめの記事
気候適応
ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブ州では13日、バスやトラム(路面電車)など公共交通機関が終日無料となった。オゾン濃度が急増したことへの対応で、スイスでは初めての措置だ。
もっと読む ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
おすすめの記事
スイスで記録的暑さ 政府が警告
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで全国的に気温が上昇し、猛暑への警戒が強まっている。11日にはスイス西部と南部ティチーノ州の一部地域に対し、熱中症など健康被害を受けるリスクが大きい「危険度3」の警報が発令された。
もっと読む スイスで記録的暑さ 政府が警告
おすすめの記事
文化
知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
このコンテンツが公開されたのは、
ハンス・リンギエ財団は9日チューリヒ在住の作家アドルフ・ムシュグさん(91)に欧州政治文化賞と賞金5万ユーロ(約860万円)を授与した。同賞がスイス人に授与されるのは初めて。
もっと読む 知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
おすすめの記事
貿易政策
スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
このコンテンツが公開されたのは、
米国がスイスに課す39%の「相互関税」をめぐり、スイス政府は4日、米国との協議を続け「より魅力的な提案をする」と表明した。
もっと読む スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
おすすめの記事
貿易政策
トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
このコンテンツが公開されたのは、
米国はスイスに課す相互関税率を39%と発表。スイス政府は「大変遺憾に思う」と表明した。
もっと読む トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
おすすめの記事
スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。
もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
おすすめの記事
農業ビジネス
温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。
もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
おすすめの記事
アルプスに新しい巨大地上絵が登場
このコンテンツが公開されたのは、
世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。
もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
続きを読む
おすすめの記事
スイスが台湾モデルから学べること
このコンテンツが公開されたのは、
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)における台湾の対策は画期的だ。台湾のデジタル担当相オードリー・タン氏と台湾政府の手腕はスイス人専門家たちを感嘆させた。
もっと読む スイスが台湾モデルから学べること
おすすめの記事
台湾は「スイスとの自由貿易協定に前向き」 台湾駐スイス代表
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは台湾を国として公式に承認はしていないが、非公式な関係は維持している。スイスにとって台湾はアジアで5番目に大きな輸出相手国であり、貿易額も年々増加していることから、スイスでは近年、台湾とのFTA締結を求める声が幾度…
もっと読む 台湾は「スイスとの自由貿易協定に前向き」 台湾駐スイス代表
おすすめの記事
中国を恐れるスイス、台湾との科学技術協定に消極的
このコンテンツが公開されたのは、
スイスはこれまで中国の経済的報復を恐れ、台湾との科学面での提携強化を拒んできた。だが中国優先の方針は、世界最大の半導体生産者である台湾との関係構築を阻害するとの懸念も広がる。
もっと読む 中国を恐れるスイス、台湾との科学技術協定に消極的
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。