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エアバス社員も信頼する「スイス製」

エアバス社の主要機「A380 型」は、総2階建ての世界最大旅客機 Keystone

欧州の航空機大手「エアバス(Airbus)」は目下、業績好調で高空飛行中だ。6月末の8日間だけでも800機を超える受注増加を記録した、とエアバス最高経営責任者(CEO)トーマス・エンダース氏は言う。

このコンテンツは 2011/07/09 15:00
アンドレアス・カイザー, swissinfo.ch

ルフトハンザドイツ航空(Lufthansa)の子会社スイスインターナショナルエアラインズ(Swiss International Air Lines)も得意先だという。

一方、6月28日にベルリンで行われたドイツ・中国の首脳会談の枠内で、中国側から「A320」型機を88機受注。エンダース氏は大魚を釣り上げた。

エアバスはさらにその数日前にも、フランスのル・ブルジュ(Le Bourget)で行われたパリ航空ショーで新記録を打ち出した。国際航空産業の飛行性能発表会でもあるこのショーで、欧州の航空防衛大手「欧州航空宇宙防衛会社(EADS)」の子会社と、契約額にして722億ユーロ(約8兆4200億円)を超えるエアバス730型の受注契約を結んだのだ。

swissinfo.ch : エアバスにとって、スイス市場はどのような意味を持っていますか。

エンダース : スイスインターナショナルエアラインズの存在だけをみても、スイスという国はエアバスにとって大きな意味を持っている。スイスインターナショナルエアラインズの前身であるスイス航空は、30年前にA810型シリーズを購入した最初の顧客だった。また、今日スイス軍が保有する軍用機の4分の1はエアバス製だし、今後もこうしたスイスとの関係が続くよう努力するつもりだ。

わが社の航空機の部品の多くはスイス製。その点でもスイスは、エアバスだけでなくEADSグループ全体にとっても重要な国だ。昨年は、スイスのメーカーに対して、総額およそ1億7000万ユーロ(約198億3000万円)分を発注した。

swissinfo.ch : スイスに発注しているのはどのような部品ですか。

エンダース : スイスには優秀なメーカーが多い。昨年ベルリンで航空機展覧会が開かれたが、スイスが共同開催国だった。ここには、4000~5000人の従業員を抱える企業50社以上が出展した。

スイスから仕入れているのは、構造部分からエンジン監視システムの電気部品やセンサー部品まで、実にさまざまだ。「メイド・イン・スイス(スイス製)」の品質は、エアバス社内でも実に好評だ。

swissinfo.ch : 6月29日に行われたドイツ・スイス商工会議所の年次総会で講演をされましたが、エコロジーに重点をおいて、飛行速度の向上についてはあまり言及されませんでしたね。どうしてですか。

エンダース : 飛行速度といえば、以前われわれがコンコルドで達成した超音速のことだが、これは経済効率が良くないことが証明された。ただそれは、エコロジーに関する議論が盛んになるずっと前のことだ。

しかし、速度の向上に取り組まないということではない。わが社には、超音速・極超音速の技術と長期的に取り組んでいる研究者が多くいる。しかし個人的には、そうした技術が実用化されるのは2050年以降ではないかとみている。

我々が今日重点を置いているのは、時速800~900キロで飛行する、超低騒音で経済効率も良い、つまり排ガス量を最小限に抑えた飛行機の開発だ。我が社の主要航空機であるA380型機は、そうした技術開発の少なくとも中期的な方向性を示す具体例と言える。

swissinfo.ch : あなたは、国際的な航空交通は今後も大幅な成長が続くとみています。しかし、空の交通は今日すでに飽和状態にあります。こうした空の交通渋滞という問題に対して、どのような答えをお持ちですか。

エンダース : 航空機を製造する側として打つ手はたくさんある。しかし、一番重要な対策は、われわれにできることではない。それはつまり、ヨーロッパが最高水準の管制システムを導入して、能率的な航空交通管理体制を整えることだ。

ヨーロッパの空域は狭く、今もまだ40~50年前の技術に頼っている。つまり、国別に管轄空域が分かれ、それぞれの国が独立した管制システムを用いている。

(無法空域があるというわけではなく)空域秩序はそれぞれに保たれているので、ばらばらの管制システムである必要はない。そこで肝心なのは政治的な決断だ。ヨーロッパ全体の空域を統合する「欧州単一空域(Single European Sky)」の実現と、最新の航空安全システムの促進が求められる。

swissinfo.ch : 太陽電池で飛行するソーラー・インパルスの試験機はスイスで開発されました。航空交通分野における太陽エネルギーの未来はどのようなものでしょうか。

エンダース : 小型飛行機の将来性は大きく、見逃せない楽しみの多い開発だ。とはいえ今のところ、太陽エネルギーで560トンもの重量があるA380型機が離陸する姿は、私にはまだ想像できない。

現時点では、さまざまな技術の研究が重要だ。太陽エネルギーには、補完的な働きを期待できるかもしれない。われわれが非常に力を入れているのは、燃料電池の導入だ。およそ15年で実用化する計画で、実現すれば、航空機が地上を動く間の燃料を大量に節約することが可能になる。油圧系統でも将来燃料電池を応用できるかもしれない。

さまざまな可能性を研究して技術を開発することが非常に重要で、「これは袋小路で先行きが見えない」などと尚早に決めつけないことだ。

トム少佐

トーマス・エンダース氏は1958年、ドイツ中西部のラインラント・プファルツ州(Rheinland-Pfalz)で羊飼いの息子として生まれる。

大学入学資格試験の後、落下傘兵としてドイツ連邦国防軍に入隊。この時以来「トム少佐(Major Tom)」の別称を持つ。現在トム少佐は予備役少佐。

その後1978年から1983年まで、ボン大学およびアメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校にて政治学、経済学、歴史学を学ぶ。

1982年から1985年まで、ドイツ連邦議会にてアシスタント業務に従事。

1985年から1987年まで、ボンにあるコンラート・アデナウアー財団研究所(Konrad-Adenauer-Stiftung)に勤務。

民間企業数社で働いた後、2000年末に欧州航空宇宙防衛会社(EADS)に入社。

2007年8月、EADS子会社であるエアバス(Airbus)の最高経営責任者(CEO)に就任。

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