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優れた発明 生活の安全を支える器具

パイプの鍵蓋を展示したベルギー人ジャン・ミッシェル・デスゲンさん。ケースの左側はプラスチックのモデル。これを基に試行錯誤を重ね、金属製の蓋ができた swissinfo.ch

質、規模、商品化の契約成立率などで世界一と言われる「第38回ジュネーブ国際発明品展」が4月21日から25日まで開催されている。

このコンテンツは 2010/04/23 15:30

火山噴火による航空便のマヒで初日は出展者6割で開幕した。しかし、ルーマニアからバスで駆けつけるなど、発明家の同展にかける情熱は大きい。安全面に焦点を当てた発明品を探ってみた。

パイプの鍵蓋

「ある日新聞で、セントラルヒーティングに使う灯油が盗まれるという記事を目にしたのが、発明のきっかけだった」
と21歳のベルギー人ジャン・ミッシェル・デスゲンさんは言う。

ベルギーでは、灯油の給油に来る車が給油すると見せかけ実は盗んでいったり、また学校の地下にある灯油タンクから直接トラックを使って盗んだりといった事件が、灯油の高騰に伴い多発しているという。

この灯油盗難防止の鍵蓋の原理は至って簡単。鍵の付いた蓋をタンクに付いている給油用パイプに取り付けるというものだ。

まず、パイプの口の周りに溝のついた金属部品を取り付け、次に瓶に蓋をするように上から鍵付きの蓋の部分を締めて固定する。そうすると鍵なしでは、パイプの蓋が開けられなくなる。

18歳のときチョコレート屋で働きながら、このアイデアを思いつき企画書を政府の発明援助課に提出したら1万5000ユーロ ( 約170万円 ) の奨学金がもらえた。金属デザイナーと1年半かけやっと納得のいくものにこぎつけ、ベルギーの若い発明家展に提出したら優勝したという。

「今は灯油のパイプにしか使えないが、石油のパイプにも、水が高価したら貯水タンクの給水口のパイプなどにも応用できる。つまりこれはパイプを閉じる錠蓋だから」
と将来の商品開発に目を輝かし、今回の展示会で出資者に出会えたらと願う。

デスゲンさんの例は、「自分の専門外で発明したものがしばしば優れた発明品になる」という同展のジャン・リュック・ヴァンサン会長の言葉を具現したようなものだ。

壊れない窓カバー

「夏の終わりにスウェーデンにあるセカンドハウスを閉めるとき、泥棒が入ろうとしても壊れないような窓があったら」
と思ったのが、ドイツのヘルベルト・ヴァグナーさんの「壊れない窓」の発明のきっかけだ。

これは耐衝撃性の高いポリカーボネート樹脂を窓ガラスのサイズに切り、金属製の枠を取り付けた非常に簡単な「窓カバー」だ。家の中からガラス窓を開けた状態で、窓の外側にこれを取り付けると、窓を閉めたときこの窓カバーの枠がピタリと窓と壁とに挟まれるため、泥棒が外から取り外せなくなる。さらに、ヴァグナーさんが斧で、この窓カバーを割る実演をして見せたが、ポリカーボネート樹脂はまったく壊れない。

「1人住まいの女性の家やアパートには最適だ」と言う。また、取り付けに一切道具がいらないという便利さから、応用として蚊よけの網を張ったもの、全面金属にしたものなども作った。つまり必要に応じて枠の中身も大きさも変えられるという、シンプルで優れた発明品だ。

違う観点から光を当てる

「昨年の発明品は金賞に輝き、展示終了と同時にギリシャの政府関係者から声がかかったと聞く。まさに、この発明品展のビジネス効率の良さを象徴するような作品だった」
と、広報担当のジャラール・セルミエール氏が絶賛するのは、ルーマニアの「mbtテクノロジー ( mbt technology ) 社」が開発した、トラックの積み荷をガンマ線でスキャンする器械だった。

今年mbtテクノロジーは、このスキャンの器械を含め、乗用車、トラックなどすべての乗り物の検閲システム全体を一つの発明品として展示している。例えば国境の検閲所などで、走って来た車は、まず第1ゲートでスピードと重量の簡単なチェックを受けた後、疑わしい車のみ検査用の特別レーンに導かれる。ここで、内容のスキャンや、重量の正確なチェックが行われる。

この後者に使われる重量秤だが、トラックの二つのタイヤがちょうど乗る位置に設置されたプレートが秤になっており、重量の数値が傍の電光掲示板に明示される。前輪、中輪、後輪それぞれが乗ったときの合計がトラックの重量になる。

「昨年はジュネーブ国際発明品展の金賞だけでなく、世界知的所有権機関 ( WIPO ) の発明賞も頂いた。今回は車の検閲システム全体を評価してもらいたいと思っている」
とmbtテクノロジーの広報担当ラドゥ・ミハイさんは話す。

20年間、この発明品展を見てきているセルミエール氏は最後に
「今年は新型インフルエンザのせいで消毒器具なども展示された。発明家たちは身近な出来事に違う観点から光を当て、それ改良しようとする。従って、アイスランドの火山噴火で飛行機が停止したが、例えば来年には火山灰を吸い込まないエンジンを発明する人が現れるかもしれない」
と、楽しげにジュネーブ国際発明品展の性格を説明した。

里信邦子 ( さとのぶ くにこ) 、swissinfo.ch

第38回ジュネーブ国際発明品展 ( 38th International Exhibition of Inventions of Geneva )

ジュネーブのパレエクスポ ( Palexpo ) で4月21日から25日まで開催。
今年は世界45カ国からおよそ800人の発明家が参加。規模、質の高さ、発明品のビジネス契約率などの点から、世界一の発明品展。
21% が個人の発明家、研究者。 79%が企業、研究所などの専門家による出展。
訪問者は約7万人が期待されている。55%が世界中から集まる企業家で、新製品を発見し商品化を狙うビジネスチャンスの場でもある。
機械、建築、電気製品、家具など、部門ごとの専門家62人が審査にあたる。開催後に48%近い出展者が製造、販売の契約にこぎつくといわれている。
ほかの展示会に出展した作品も認められるが、自国で特許を取ってから1年以内であること、また同展への出展は1回限りという規定がある。
今年は、セキュリティ、環境、エネルギー関係の出展が目立った。また、アイスランドの火山噴火による航空便運航停止で、初日6割しか出展者が揃わないなどの混乱があった。

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