 
新種のオランウータン、スイスなどの国際研究チームが発見
 
インドネシア・スマトラ島北部に住むオランウータンの集団が新種だとする研究結果を、チューリヒ大学などの国際研究チームが2日、米科学誌「カレント・バイオロジー」に発表した。
シナモン色の縮れた体毛が特徴で、タパヌリ・オランウータン(Pongo tapanuliensis)と名付けられた。大型類人猿では8種類目となる。島北部のバタン・トル(Batang Toru)の森に800頭しか生息していない。
研究結果によると、このタパヌリ・オランウータンの集団は、スマトラ島に住むスマトラ・オランウータンと、近隣のボルネオ島に住むボルネオ・オランウータンとは全く違う。研究チームのメンバー、ミヒャエル・クリュッツェン氏(チューリヒ大人類学部)はスイスインフォの取材に「遺伝子やゲノム検査の結果、タパヌリ・オランウータンは1~2万年前に枝分かれした非常に古い血統から来ていることが証明出来た」と話した。
また、研究ではタパヌリ・オランウータンの形態や行動をスマトラ・オランウータンとボルネオ・オランウータンと比較。こうしたさまざまな調査結果が新種の発見につながった。
絶滅の危険
タパヌリ・オランウータンの集団は約20年前にオーストラリア人研究者によって確認されていた。しかし、クリュッツェン氏とマヤ・グレミンガー・マットル氏を含むスイスの研究チームが2013年に捕獲された検体の頭蓋骨を分析中、新種だと確信。一部の骨や歯の特徴が、他とは全く違っていたという。
今回の発見により、現在、大型類人猿では世界で最も絶滅の危険性が高いとされるオランウータンに注目が集まりそうだ。クリュッツェン氏は「(タパヌリ・オランウータンの)種の保全につながることを願う。この動物は密猟の危機にさらされ、ダム建設によって住処を追われている」と話す。
 
        JTI基準に準拠
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
    
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