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クリスマス前にも「無買日」を



買い物客は、消費の欲望を抑えるよう推奨される

買い物客は、消費の欲望を抑えるよう推奨される

(Keystone)

無節制な消費文化に抗議する「無買日 ( むばいび / Buy Nothing Day ) 」が、11月末にスイスを含む60カ国以上で実行された。

無買日は単なる時間の浪費なのか、マーケティングの専門家や「何も買わないクリスマス ( Buy Nothing Christmas ) 」運動の創始者が語る。

値段と価値

 1992年に世界初の無買日を組織したのは、カナダの反消費主義団体「アドバスターズ ( Adbusters ) 」だ。スイスへは2008年に導入された。

「この運動の哲学は、西側政府の大半が作り出した現在の風潮『良い国民は、たくさん買う国民』に異議を唱えることです」

 と今年の無買日を国内外で指揮した「スイス反消費拡大ネットワーク ( Swiss Growth Objection Network ) 」のピエトロ・マージュノ氏は語る。

 「ジュネーブでは、お金を使わない物々交換のスタンドが設置され、知識や経験など無形物の交換も奨励されました。例えばお気に入りの本10冊のリストとお気に入りの映画10本のリストの交換といった具合です」

 とマージュノ氏は説明した。

 医師のマージュノ氏自身も、体重の減量や健康管理についてのアドバイスを料理のレシピなどと交換してもよいと言う。

 「わたしたちの社会は、値段のないものには何の価値もないと考えがちですが、お金の役割についてじっくり考えてほしいのです」

広がる支持

 マージュノ氏は、産業界や小売団体の反発に応じるつもりはない。

 「反論の大半は、『誰も買わなかったら失業率が上がる』という恩着せがましい主張です。わたしたちはまったく非現実的で夢を見ていると言われましたが、わたしはこれに異議を唱えています。わたしにとって非現実的なのは、環境や社会にダメージを与えながら、必要以上の資源やエネルギーを使う生活をしていることです」

 

また、無買日に買い控えた物は、翌日に買えばよいだけだと批判の声もある。実際、無買日には何らかの効果があるのだろうか?

 「実は、一般人が無買日に購入する品物の量に変化はありません」

 とマージュノ氏は認めた。

 「しかし、自分自身とお金との関係を熟考するようになります。すると次第にこうした考え方は、少数のインテリの奇抜なアイデアではなくなります。そして資源やエネルギーの使用を減らすためにはほかの選択肢が無いこと、人間と物との関係を完全に再考しなければならないことに気付く人々が増えるのです」

象徴的な意思表示

 ベルン大学のマーケティング専門家ディミトリ・ヴィットヴェア氏によると、小売業者の損失を測定するには、無買日当日の直接的な損失と、消費者の購買に対する態度の長期的な変化の二つを区別する必要がある。

 「前者によって小売業者が本当に打撃を被ることはありません。消費者は無買日の翌日に、本当に欲しい物や必要な物を簡単に買えます。従って、小売業者の損失は購買量の一時的な減少でしかありません。しかし、後者は消費者の習慣に変化を及ぼすため、長期的には販売にマイナスの影響が出ます」

 ヴィットヴェア氏にとって無買日は、資本主義を象徴的に批判する手段だ。

 「無買日で西側の消費者の習慣を変えることはできないでしょう。これは世界をより良い場所にする手伝いをしたと、一般人の良心の呵責を和らげるための簡単な手段にはなります」

サンタは来ない?

 会計事務所デロイト・トウシュ・ト-マツ ( Deloitte Touche Tohmatsu ) の今月初旬の調査では、今年はヨーロッパ人の大半がクリスマス支出を削減する一方、スイス人の食物や外出への支出は昨年比で1.2%増となる見通しだ。

 アーンスト&ヤング ( Ernst & Young ) の調査でもまた、スイス人がクリスマスプレゼントにかける予算は、昨年の一人当たり267フラン ( 約2万2800円) から301フラン ( 約2万5800円 ) に上昇しそうだ。

  精神性や宗教をテーマに扱ったカナダの「ギーズ誌 ( Geez ) 」の創設者アイデン・エンズ氏は、「無買」のコンセプトをさらに発展させた。スイスに歴史的なルーツを持つプロテスタント系のメノー派の信者とともに「何も買わないクリスマス」の運動を2001年に開始したのだ。

 「わたしは、社会全体が容認する過剰消費、特に12月の乱費を不快に感じます。カナダやアメリカでは、ショッピングはレジャーの一つ、そして習慣化されたプレゼント交換のために行わなければならない活動になってしまいました」

 とエンズ氏は語る。

 「アドバスターズで働いていた2001年、無買日は大成功を収めました。そこでわたしは、この運動をクリスマスのショッピングシーズンにも拡大するべきだと考えたのです。わたしはクリスチャンですから、宗教の名の下にすべてのクリスチャンが過剰消費を祝っているのではないと訴えたいのです。世の中に平和をもたらすために生まれた子どもたちのためと言いながら、その子どもたちにとって有害なほど買い物をするのは馬鹿げています」

団結と希望

 エンズ氏は、自分の考えとは別にほぼ毎日何かを買っている。

 「自分でも驚きます。ですから無買日にはこの矛盾に注意を払い、違う生活を営む決心を強化できます。その上、無買日はわたしたちに団結と、消費主義が社会習慣を支配しなくなるという希望を与えてくれます。隣人や地球資源への思いやりがわたしたちの方向性になるかもしれません。わたしはそうなるよう期待しています」

無買日 ( Buy Nothing Day )

カナダの反消費主義組織「アドバスターズ ( Adbusters ) 」によると、第1回目の無買日は、1992年9月にバンクーバーで「過剰消費の問題を社会全体が考える日」として実施された。

アメリカでは、買い物客が混雑する10日間のうちの1日「アメリカ感謝祭後の金曜日 ( Friday after American Thanksgiving / 11 月の第4木曜日 ) 」が無買日として1997年に初めて実施された。この日は「ブラック・フライデー ( Black Friday ) 」とも呼ばれた。

現在無買日は世界各地で金曜日に実施されている。今年は60カ国以上で実施された。

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( 英語からの翻訳 笠原浩美 ), swissinfo.ch


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