1998年、米国ジャスパーに出没したクー・クラックス・クラン(KKK)
Keystone / David J. Phillip
スイスのシュヴィーツ州警察は10日、同州ブルンネンのファスナハト(カーニバル)で白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)の仮装をした全12人の男性を事情聴取したと発表した。ただ専門家によると、法律違反に問われるかはグレーゾーンだ。
このコンテンツが公開されたのは、
12人はいずれも同州出身で、18~30歳。州警察外部リンクによると、いずれも極右系政党・団体には属していない。警察の取り調べが済み次第、事件はインナーシュヴィーツ検察庁に送られる。
4日にブルンネンで行われたファスナハトでは、胸にKKKと書かれた白装束に身を包み先の尖った帽子をかぶった集団が、トーチを持って通りを行進した。この様子を撮影したビデオが各種メディアで報じられた外部リンク。
KKKは1865年にアメリカで設立された白人至上主義者グループ。南北戦争が終結し、奴隷制度が廃止された当時に誕生し、南部のアフリカ系アメリカ人を恐怖にさらした。その後はヒスパニックなどのマイノリティも標的にした。米国にはまだ約8千人のKKK支持者がおり、海外の右翼集団とコンタクトを取っていると報じられている。
シュヴィーツの事件は地元・国会議員に衝撃を与えた。スイス反人種差別委員会のアルマ・ヴィーケン委員長は「このような手段は容認されるべきでない」と強く批判した。
だが今回の事件が法律違反に当たるのかどうかは不明だ。無料紙20min.は専門家の見方として、「今回のケースで同集団のメンバーを人種差別の罪で有罪とするのは難しい」とする弁護士のダニエル・ケッティガー氏のコメントを引用した。明らかに特定の人種や民族をターゲットにした活動ではなかったことと、風刺に対してかなり寛容度が高いファスナハトのなかで生じた表現であるためだという。
おすすめの記事
トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
このコンテンツが公開されたのは、
米国はスイスに課す相互関税率を39%と発表。スイス政府は「大変遺憾に思う」と表明した。
もっと読む トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
おすすめの記事
スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。
もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
おすすめの記事
温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。
もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
おすすめの記事
アルプスに新しい巨大地上絵が登場
このコンテンツが公開されたのは、
世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。
もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
おすすめの記事
スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。
もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
続きを読む
おすすめの記事
スイスにカーニバルのシーズン到来
このコンテンツが公開されたのは、
カトリック教会のお祭り「カーニバル(ドイツ語でファスナハト)」が、スイス各地で始まった。古都ルツェルンでは昨日開幕した。国内最大規模のバーゼルのカーニバルは11日に始まる。
もっと読む スイスにカーニバルのシーズン到来
おすすめの記事
バーゼルのファスナハト、ユネスコ世界無形文化遺産に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス最大のカーニバル、バーゼルのファスナハトが7日、ユネスコ(国連科学文化教育機関)の無形文化遺産に登録された。スイスとしてはヴヴェイのワイン醸造フェスティバルに次ぐ2件目だ。
もっと読む バーゼルのファスナハト、ユネスコ世界無形文化遺産に
おすすめの記事
「肩肘張って生きてる」 スイスで暮らすアフリカ系黒人の場合
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで暮らすアフリカ系黒人のレスさん(27歳)。スイスにはまだ黒人を見ると条件反射的に怖がる人がいることに触れ、「子供の頃の僕のことは可愛いと言っていた人が、18や19歳に成長した僕の姿を見た途端、持っているカバンをきつく握り締める」と話す。
もっと読む 「肩肘張って生きてる」 スイスで暮らすアフリカ系黒人の場合
おすすめの記事
博物学者ルイ・アガシー、人種差別的だった ヌーシャテルが通りを改名
このコンテンツが公開されたのは、
ヌーシャテル市役所は7日、ヌーシャテル大学地区内を通る「Espace Louis-Agassiz(ルイ・アガシー広場通り)」を改名すると発表した。スイス生まれの博物学者ルイ・アガシーはヨーロッパに氷河期があったことを発見した人物として世界的に有名だが、人種差別的な一面があった。
もっと読む 博物学者ルイ・アガシー、人種差別的だった ヌーシャテルが通りを改名
おすすめの記事
「双頭のワシのポーズ」シャキリ、シャカらに罰金 FIFA
このコンテンツが公開されたのは、
22日のサッカー・ワールドカップ(W杯)のスイス対セルビア戦で、スイス代表のグラニット・シャカとジェルダン・シャキリがゴールを決めた後にアルバニアの国旗に描かれた「ワシのポーズ」をした問題で、国際サッカー連盟(FIFA)規律委員会は25日、二人とシュテファン・リヒトシュタイナー主将を罰金処分にすると発表した。
もっと読む 「双頭のワシのポーズ」シャキリ、シャカらに罰金 FIFA
おすすめの記事
ネット上の発言 取り締まりが難しいスイスの法的事情
このコンテンツが公開されたのは、
「意見の自由」と「差別発言」のボーダーラインは、インターネットが広く普及する前から既に定義が難しい問題だった。そしてソーシャルメディアで瞬く間に交わされるコミュニケーションが、この問題を地雷原に変えてしまった。スイスで実際にあったケースがそれをよく表している。
もっと読む ネット上の発言 取り締まりが難しいスイスの法的事情
おすすめの記事
無礼講「ファスナハト」に浮かれる町で殺害事件
このコンテンツが公開されたのは、
しかし、スイス南部の町ロカルノ ( Locarno ) ではすべてのファスナハト行事が中止された。2月2日土曜日、前日に路上で3人から暴行を受けた男性が死亡したためだ。 追悼行進 死亡した男性はティチーノ州出身でチュー…
もっと読む 無礼講「ファスナハト」に浮かれる町で殺害事件
おすすめの記事
スイス人 アメリカの死刑囚の絵を集め展覧会を開催
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの有名な風刺漫画家のパトリック・シャパットさんと、伴侶で記者のアンヌ・フレデリック・ヴィッドマンさんは、カリフォルニア滞在中に死刑囚と出会うことができた。ジュネーブでは現在、死刑囚が描いた絵とシャパットさんや他の風刺漫画家の作品を集めた展覧会が開催されている。シャパットさんは「死刑囚は、絵を描くことで精神の健全さを保っている」と語る。
もっと読む スイス人 アメリカの死刑囚の絵を集め展覧会を開催
おすすめの記事
スイス政界に広がる人種差別発言
このコンテンツが公開されたのは、
この数カ月間、政治家や政党員による外国人やイスラム教徒に対する差別的発言が相次ぎ、マスコミをにぎわせた。とりわけ目立ったのは、右派の国民党(SVP/UDC)員によるものだ。 チューリヒ州検察は9月、国民党のアルフレッ…
もっと読む スイス政界に広がる人種差別発言
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。