スイスの働く母親、1980年から3倍に
スイス国内で就学前の子供を育てながら働く母親の数は、1980年に比べてほぼ3倍に増えたことが、12日に発表された調査「スイスの社会変化外部リンク」で分かった。ただ地域や社会経済的な格差が大きいという。
調査はスイス社会学専門センター外部リンクとローザンヌ大、スイス連邦研究能力センター外部リンクが共同で実施。調査の担当者は「時短勤務をする母親が標準になってきている。1990年代の母親像は主婦だったが、少数派に変わりつつある」とした。
調査では、1980年、1990年、2000年の国勢調査と、2010~14年の構造調査のデータを分析。これらのデータによれば、配偶者などのパートナーと4歳未満の子供がいて仕事を持っている女性は、地域や社会統計学的な観点で差があるものの、過去40年でおよそ3倍に増えた。
最も増加が顕著だったのはスイス西部に広がるフランス語圏の州。ヴァレー州では、若い母親の雇用率が1980年代の18%から2010年は69%に伸びた。
家族形態の変化も要因に
調査では、さらに四つの要因について分析。一つ目は家族の規模で、今日では女性は子供の数が多いほど、仕事を持っていないことが分かった。労働市場に参入する女性が少数派だった以前は、子供の数はあまり重要な要因ではなかった。
二つ目の要因は教育水準だ。今日の女性の教育レベルは1980年代よりも高く、仕事に就いているケースも多いが、両者の関係性は昔に比べて弱い。例外は、高等教育の学位を持たない女性が、それを有する男性とパートナー関係を持ったときにこうむる「ペナルティ効果」が増大したという点だ。調査の担当者は、この現象が男女の賃金格差に現れているとし、とりわけ保育園などの育児コストの増大が大きく関係しているとみる。
三つ目の要因は国籍で、1980年代の労働市場はスイス人女性(パートナーと4歳未満の子供がいる)よりも外国人女性の方が多かったが、現在は逆だという。
最後の要因は婚姻関係の有無だ。パートナーと結婚せずに同居している未婚の母親の方が、既婚の母親よりも仕事に就いている傾向が未だに強かった。だが、その差は1990年の5割から2010~14年には1割まで縮小した。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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