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高齢者をインターネットから遠ざける理由



教えてもらうなら、伴侶か子どもか友人に。年齢によるデジタルディバイドを避けるために

教えてもらうなら、伴侶か子どもか友人に。年齢によるデジタルディバイドを避けるために

(Keystone)

インターネットに親しまない高齢者は多い。「これまでインターネットなしでやってきたので、アナログ生活で満足」だったり、目が痛くなる。そもそも使い方が分からないからという意見を聞く。

高齢者は、何が原因でインターネットを避けるようになるのか。チューリヒ大学の調査結果が3月9日発表になった。

年齢によるデジタルディバイド

 2008年の連邦統計局 ( BFS/OFS ) の統計によると、スイスのインターネット普及率はドイツに次いで世界で8位。65歳以上の人の使用率は、スイスはノルウェー、アイスランドに次いで3位と非常に高い。しかし、高齢者の使用率は、若者と比べ極めて低い。14歳から29歳までの若者のインターネット使用率は9割以上あるが、60歳以上になると5割未満にとどまる。しかも、高年齢者の中でも使用率は年齢に反比例する。

 チューリヒ州大学老人病学専門のハンス・ルドフル・シェリンク教授グループが発表した調査によると、65歳から69歳の人でインターネットを毎日もしくは1週間に数日使う「オンライナー」はおよそ5割いるが、70歳から74歳になると4割強、80歳以上になると1割に満たない。
「インターネットを使わない高齢者は、時とともに自然消滅するというのは、皮肉以外のなにものでもない。年齢によるデジタルディバイドは、今後さらに深刻になるだろう」
 とシェリンク氏は、フェイスブックやツィッターを例にとって警鐘を鳴らす。

 シェリンク氏自身オンライナーを自称するが、フェイスブックの会員ではない。今後、フェイスブックなどソーシャルネットワークに限らず、新しいツールが普及したとき、現代の若者でも、今まで通り積極的にこれらを取り入れながら年を重ねていくのかという疑問は常に起こる。情報技術は人間の適応能力を上回る勢いで発展していくからだ。

インターネットを阻むもの

 高齢者がインターネットを使わない理由として、年とともに新しいものに興味が薄れるいう解釈は間違っている。調査に協力した高齢者援護団体「プロ・セネクトゥーテ ( Pro Senectute ) 」のロジスティック担当者マルティン・オダーマット氏は高齢者のオフライナーについて
「インターネット使用は人権だとも言われるが、スイスでは女性の70%、男性の52%がオフライナー。しかし、その人権を求めオンライナーになりたいと思っている人は3分の1以上いる」
とインターネットへの興味は高いと語る。

 調査でも、インターネットの魅力を非常に感じる、もしくは感じると答えたのはオンライナーなら62%、オフライナーでも36%に達することが分かっている。それでは、何がインターネット使用を妨げるハードルになっているのだろうか。オフライナーにとってインターネットは、複雑 ( 約7割 ) 、セキュリティーが不安、使いこなすまでが大変 ( それぞれ6割 ) という理由が非常に多い。オンライナーも、インターネットを使いこなす前に障害だと思った理由もこれとほぼ同じだ。一方、視聴覚の衰え、指が動かないといった身体上の理由を挙げた人は、オフライナーで約15%、オンライナーだと約5%と少ない。

インターネットへの情報集中化の危機感

 高齢者のユーザーを念頭とした大きなキーボード、大きなスクリーン、ソフトの開発はオダーマット氏によると「結局成功しなかった。高齢者でも、若者と同じものを使いたいと思うもの」だからだ。また、高齢者向けのセミナーもあまり興味が高いわけではないようだ。

 プロ・セネクトゥーテ では毎年、2000のコースを提供し、約8300人が講習を受けている。また、高齢者向けのサイト「senioren.ch」も10年前から運営している。しかし、高齢者がインターネットの使い方を教えてほしいと思っている相手は、家族や友人なのだ。講習会で学びたいという人も5割あるが、家族や友人から教えてもらいたいと思う人は6割、自分より若い世代から教えてもらいたいという人も5割以上いた。
「周囲でインターネットを使っている人が多いことが大きなモチベーションになっている」
 とシェリンク氏はみる。
「旅行中の孫が電話をかけてくる代わりに、フェイスブックやEメールで家族とやり取りする中、祖父母はこうした挨拶さえ受け取れずに孤立する」

 ただし、シェリンク氏もオダーマット氏もインターネットに社会の情報が集中されることは危険だと警告する。例えば、オフライナーが便利で利用できればよいと思う情報は、電車などの時刻表と健康情報だ。一方、オンライン新聞、オンラインショップ、インターネットバンキングの需要は低い。しかし、印刷物がオンラインに移行し続け、銀行がコスト削減で窓口を閉鎖し、乗車券の自動販売機が今後インターネットチケットに取って代わるといった状態になると、高齢者の普段の生活に支障をきたしかねない。
 「日常の買い物は街に出て、重くて持てないものはインターネットのショッピングでと使い分けることで高齢者の生活も豊かになる」とオダーマット氏。

 また、シェリンク氏も「高齢者のインターネット使用促進は、経済界のコストカットが目的ではない。インターネット以外にも情報が得られるようサービスを充実し、ホットラインなどを設ける必要がある」と強調した。

佐藤夕美 ( さとうゆうみ ) 、swissinfo.ch

チューリヒ州大学調査「高齢者のインターネット使用の実態調査 ( Internet-Nutzung im Alter )」から

65歳から75歳までのインターネット使用率国際比較
ノルウェー64%
アイスランド55%
スイス54%
オランダ53%
デンマーク52%
スウェーデン51%
ルクセンブルク50%

世界的に見て、スイスのインターネット使用率は第8位と高い。1位韓国、2位アイスランド、3位オランダ。日本は14位だった。
1997年には14歳以上で最小限時々使用すると答えた人が、スイスの人口の15%しかいなかったが、2008年には毎日もしくは週に数日使うと答えた人は71%まで上昇している。しかし、60歳から69歳までの人に限るとその割合は51%、70歳以上になると18%と非常に低くなる。

高齢者が使用している、または使用したいと思う機能は多い順に、Eメール、情報収集、電車の時刻表、旅行・宿泊施設情報、行政情報、健康情報など。

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