日米共同為替介入、熊本地震、ハルウララの奇跡… スイスのメディアが報じた日本のニュース
スイスの主要報道機関が7月28日~8月3日に伝えた日本のニュースから、①「友情」の裏には何が?日米共同為替介入②熊本地震 被災地を襲うデジタルの闇③競走馬ハルウララの奇跡、の3件を要約して紹介します。
日本で大きな災害のニュースが伝えられるたびに、「なぜまた」という思いが胸をよぎります。自然の前で人は無力さを感じることもありますが、それでも困難を乗り越え、支え合いながら前へ進んできた熊本の姿は多くの人に勇気を与えてきました。これ以上被害が広がらないこと、そして熊本の穏やかな日常と復興の歩みがこれからも続いていくことを、心から願っています。
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「友情」の裏には何が?日米共同為替介入
日米両政府は急速な円安を阻止するため、7月31日にドル売り・円買いの協調介入を実施しました。円買いの協調介入は1998年以来28年ぶり。スイス全語圏の複数メディアはこれを「異例」と報じ、背景にある利害関係や、日本経済が抱える構造的な脆弱性を分析しました。
経済紙フィナンツ・ウント・ヴィルトシャフト(FuW)をはじめとするスイス・ドイツ語圏各紙はロイター通信の記事を掲載。ドナルド・トランプ米大統領が「友情の証」と呼んだ共同介入は、円安に苦しむ日本への支援だとしつつ、「世界経済に有益で、米国側にも経済的な利益がある」と説明し、米国側の実利も絡んでいたことを示唆しました。
さらに、市場への波及リスクについては、アナリストの「円と日本国債売りが進み、世界経済に影響を与えるのを避けるための動き」といった解説を紹介。放置すれば「米国債利回りへの上昇圧力をさらに強めていた可能性があった」とし、米国の介入動機には自国市場を守る狙いもあったとする見方を伝えました。最後に、日本のジレンマに触れ、「(FIMAレポ)ファシリティを利用すれば、保有する米国債を直接売却することなくドルを確保できる。直接売却すれば米国債利回りを急騰させてしまうからだ」と述べました。
日刊紙ル・マタンなどスイス・フランス語圏の各紙はAFP通信を掲載。米政府が日本の経済路線を強力に支持している背景に言及し、スコット・ベセント米財務長官が「高市政権はアベノミクスの新たな段階に入りつつある外部リンク」と評価したことも伝えました。
記事はまた、介入だけでは持続的な円高は期待できず、金利や財政などの構造要因が重要だとの市場関係者の見方も伝えています。さらに、高市政権の財政政策については、「投資家は債務増加を警戒している」と指摘。「持続的な円高には経済の基礎的条件の改善が不可欠だ」として、市場介入だけでは難しいとの見方を示しました。
熊本地震 被災地を襲うデジタルの闇
マグニチュード7.1の熊本地震は、スイス公共放送をはじめとする全言語圏のメディアで大きく報道されました。各紙は被害の大きさや、余震への警戒、暑さの中で続く救助・避難生活への懸念を中心に伝えました。一方、ドイツ語圏のオンラインニュースサイトNau.chは、混乱に乗じてSNS上で拡散した偽情報や寄付詐欺といった、現代の災害に特有のリスクにも注目しました。
Nau.chは、SNSが有事において機能不全に陥る危険性を指摘しています。「公式情報が見つかりにくくなる一方、偽情報は拡散しやすい」と述べ、正しい情報が埋もれやすいSNSの構造的弱点を説明しました。さらに、善意を逆手に取った新たなデジタル犯罪にも言及。記事中で紹介された日本情報サイトSumikaiによると、「被災者と偽り、公的な支援団体とは一切関係がないにもかかわらず、QRコードを介して直接的な送金を要求する」詐欺行為なども明らかになっています。
また今回の熊本地震では、「AI画像検証システムが日本の本物の映像を、一部過去の古いものと誤って判定してしまう」など、デマを防ぐ技術そのものが混乱を招く皮肉な現象も起こっていると指摘しています。
競走馬ハルウララの奇跡
かつて日本中を沸かせた競走馬ハルウララの引退から20年以上が経過しました。スイス・ドイツ語圏のニュースサイトwatson.chは、ハルウララの軌跡を振り返り、勝敗や効率性のみを追い求める現代社会への批評を報じました。
ハルウララは1998年のデビューから2004年まで113戦全敗し、「負け組の星」として高知競馬場で注目を集めた競走馬です。記事は、ハルウララの存在意義を「自らの勝てなさ(不成功)によって、経営難に陥っていた競馬場の未来を守り抜いた。人の自殺を思いとどまらせたこともある」と紹介しました。2004年には名手・武豊騎手が騎乗しますが、ハルウララは大敗してしまいます。しかし、レース実況者の「実際に誰が勝ったのかなど、誰も気にしていなかった。自分が今、極めて特別な瞬間の目撃者になっているのだと確信していた」という言葉を紹介し、勝敗を超越した大衆の熱狂を伝えました。
また、調教師の言葉を引用し、結果ではなくプロセスを肯定する重要性を伝えました。「もし社会が勝つことだけを評価するのだとしたら、人生は絶え間ない競争になってしまう。そこには勝者と敗者しか存在しない。本当にすべてを出し切ったと感じたのなら、たとえ負けたとしても称賛されるべきだ。ハルウララは最後まで決して諦めなかった」
記事によると、ハルウララの物語は欧州にも響いています。スコットランドのロックバンドはハルウララをモチーフにした曲外部リンク「Haru Urara」を制作。ボーカルのサイモン・ニール氏の「すべてがどんどん悪化しているように見えるが、これから何が起こるかは誰にもわからない。常に希望の光を持ち続けることが大切」といった言葉を紹介しました。
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SNS上のコメントは、本当に世論を反映しているものなのでしょうか?欧州9つの公共放送が、1750万件以上のコメントを共同分析。その結果、ボットや偽アカウント、組織的なネットワークによる投稿活動が確認されました。
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次回の「スイスメディアが報じた日本のニュース」は8月11日(火)に掲載予定です。
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