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スイスの民主主義

赤字が急に黒字に転じる?スイス連邦予算の見通しが難しい理由

スイスの歳入見通しが突然赤字から黒字に代わることは初めてではない
スイスの歳入見通しが突然赤字から黒字に代わることは初めてではない Keystone / Gaetan Bally

法人税がスイス連邦予算を救った。当初、2027年の連邦財政は7億フラン(約1320億円)の赤字が見込まれていたが、8億フランの黒字に転じた。

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スイス連邦財務省は先月、連邦歳入の見通しを19億フラン上方修正し、連邦議会を驚かせた。追加の国防費などによる歳出増を十分に相殺する規模だ。

歳入増の主因は法人税(利益税)だ。政府は現在、連邦の法人所得税収が当初の見通しを約14億フラン上回ると見込む。

なぜ数カ月の間にこれほど変わったのか。14億フランもの法人税収はどこから生まれたのか。そして、スイスは今後も同じ源泉から「金の卵」を見つけ出すことができるのだろうか。

左派政党は、財務省が歳出削減を押し通すため、当初の予算見通しを意図的に悲観的に描いていると改めて批判している。

新たな予算案が提示された際、社会民主党(SP/PS)のタマラ・フニチエッロ議員は、「歳入を組織的に過小評価することで、連邦内閣(政府)は公共支出の削減と、富裕層や大企業への新たな優遇措置を正当化しようとしている」と批判した。

初めてではない

こうした批判には長い歴史がある。2018年には政府の通常財政収支が当初予算を26億フラン上回った。2013年には4億フランの赤字見通しが13億フランの黒字に転じた。

しかし財務省は、議会や国民に誤った情報を伝えたのではない、と説明する。2016年~2025年の通常歳入の予測誤差は平均0.3%にとどまっているという。

今回の法人税の「棚ぼた収入」は2027年度予算に計上されるもので、社名が公表されていない、非常に規模の大きい少数の企業からもたらされている。政府によると、スイス全企業のわずか0.5%が、法人税収の4分の3を負担している。

この少数の多国籍企業への高い依存度が、スイスの法人税収予測を難しくしている理由かもしれない。これらの多国籍企業のうち数社の業績が不振か好調かによって、法人税収の総額は大きく変わる。

主要納税企業の多くは、州の法人税率が11.66%と最も低いルツェルン州、多くの大手銀行や企業が本拠を置くチューリヒ州、そして強力なスイス製薬産業を擁するバーゼル・シュタット準州に集中している。

各州は法人税収の出所を公表していないが、他にも手がかりはある。スイスに拠点を置く製薬大手MSDの昨年の納税額は、財務諸表によると18億フランだった。

ジュネーブ州は、過去に請求漏れとなっていた企業への遡及課税の徴収を進めており、この歳入源が今回の予算見通しに2億フランを上乗せした。ジュネーブ州は独語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、今年初めに世界の石油取引の約3分の1を扱うジュネーブの石油取引企業がイラン戦争を受けて空前の利益を上げており、それが税収増につながっていると説明した。

不安定な収入源

しかしBAKエコノミクス研究所のミヒャエル・グラス氏は、スイスは毎年、収支の帳尻合わせにこの不安定な収入源を頼りにすることはできないと警告する。

「法人税収の個別年度における記録的な数字は、持続的・構造的な歳入増として安易に解釈すべきではない」と同氏はスイスインフォに語る。「特に製薬業界では、国際的な環境が変化している」とも付け加えた。

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具体的には、国際企業に米国内での生産・研究拡大を求める米政府の要求や、いわゆる「最恵国待遇(MFN)」価格政策と呼ばれる米国の薬価引き下げ、そして中国からの競争激化などが挙げられる。

BAKエコノミクスの慎重な見方は、スイス財務省の姿勢とも一致する。財務省は8月、「法人所得税収は数年にわたって急増しているが、この傾向がいつまで続くかは不透明だ」と述べた。

予算のもう一方の側面である歳出についても、正確な予測は難しい。世界的なパンデミックと欧州での戦争が相次いだこの10年の間に想定外の支出が相次いでいる。中東の紛争による石油・ガス供給のさらなる逼迫と、米国の不安定な通商政策が重なり、経済予測担当者の仕事はいっそう困難になりそうだ。

編集:Reto Gysi von Wartburg/ts、英語からの翻訳:宇田薫、校正:大野瑠衣子

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