「永遠の化学物質」と呼ばれる有機フッ素化合物(PFAS)は、汚染された土壌や家畜の飼料、家畜の飲料水から食物連鎖(特に肉、牛乳、卵)に入り込む可能性がある
Keystone-SDA
スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に向けた検討作業に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。
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PFASは数千種類の化学物質の総称で、壊れにくく、油や水をはじく性質を特徴とする。汚染された土壌、家畜の飼料、家畜の飲料水から食物連鎖(特に肉、牛乳、卵)に入り込み、人の体内に入る可能性がある。
スイス連邦政府と各州の代表者は18日、PFASが環境や健康にもたらすリスクを最小化するための新たな規制について記者会見した。
連邦環境局(BAFU/OFEV)廃棄物・原料課のクリスティアン・ヴェルメイユ課長は「スイスでは、PFAS汚染が広がっている」と話す。分析した地下水道管の約半数から微量のPFASが検出された。
連邦議会の決議を受け、連邦内閣(政府)は国レベルの行動計画が必要かどうかを精査している。年内に報告書をまとめる。
マイクロプラスチック規制を欧州連合(EU)法に合わせて厳しくするかどうかについても、意見聴取手続きが進行中だ。
古い水源は対策難しく
例えば消火訓練でPFASを含む消火剤が使用されると、その場がPFASで汚染される場合がある。こうしたケースでは汚染を取り除くことも可能だ。
だが井戸水など古くからある水源からの汚染は対策が難しい。環境局は、汚染地域の広範さを踏まえると、大規模な対策を打つのはほぼ不可能だとみる。
連邦議会は2022年、濃度上限値の引き下げや除染、行動計画を求める複数の動議を可決した。
ウェルメイユ氏によると、現在4つの作業部会が制限値を見直している。
飲み水は2026年から規制強化
み水のPFAS濃度の上限は2016年に定められた。連邦食品安全・獣医局(BLV/OSAV)のマルク・シュタウバー氏によると、EU規制に足並みをそろえるため、来年からこの値は引き下げられる。
各州政府は飲み水のモニタリングを実施している。 2023年の分析では、564カ所の検査エリアのうち、21カ所でPFASが検出された。 スイスの上限値を超えるものはなかったが、5カ所はEUの上限値を超えていた。
スイスでは、動物性食品についてもPFASのモニタリングが開始される予定だ。
シュタウバー氏は「ゼロリスクというものはありえない」と話す。だがPFASに汚染された食品が人の口に入るリスクを可能な限り減らすことを目指す。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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