スイスのシュヴィーツ州警察は10日、同州ブルンネンのファスナハト(カーニバル)で白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)の仮装をした全12人の男性を事情聴取したと発表した。ただ専門家によると、法律違反に問われるかはグレーゾーンだ。
このコンテンツが公開されたのは、
12人はいずれも同州出身で、18~30歳。州警察外部リンクによると、いずれも極右系政党・団体には属していない。警察の取り調べが済み次第、事件はインナーシュヴィーツ検察庁に送られる。
4日にブルンネンで行われたファスナハトでは、胸にKKKと書かれた白装束に身を包み先の尖った帽子をかぶった集団が、トーチを持って通りを行進した。この様子を撮影したビデオが各種メディアで報じられた外部リンク。
KKKは1865年にアメリカで設立された白人至上主義者グループ。南北戦争が終結し、奴隷制度が廃止された当時に誕生し、南部のアフリカ系アメリカ人を恐怖にさらした。その後はヒスパニックなどのマイノリティも標的にした。米国にはまだ約8千人のKKK支持者がおり、海外の右翼集団とコンタクトを取っていると報じられている。
シュヴィーツの事件は地元・国会議員に衝撃を与えた。スイス反人種差別委員会のアルマ・ヴィーケン委員長は「このような手段は容認されるべきでない」と強く批判した。
だが今回の事件が法律違反に当たるのかどうかは不明だ。無料紙20min.は専門家の見方として、「今回のケースで同集団のメンバーを人種差別の罪で有罪とするのは難しい」とする弁護士のダニエル・ケッティガー氏のコメントを引用した。明らかに特定の人種や民族をターゲットにした活動ではなかったことと、風刺に対してかなり寛容度が高いファスナハトのなかで生じた表現であるためだという。
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
おすすめの記事
スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は10日、「大きすぎて潰せない(TBTF)」銀行に関する規制改革案を発表した。UBSと他の「システム上重要な銀行」3行は、破綻時のスイス経済への影響を抑えるためにより厳しい資本要件を課される必要があると述べた。
もっと読む スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
おすすめの記事
新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州の約2億4200万年前の地層から新種のイカの化石が見つかり、「Chuchichäschtli(クッヒカーシュトリ、スイスドイツ語で『食器棚』)」と名付けられた。
もっと読む 新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
続きを読む
おすすめの記事
スイスにカーニバルのシーズン到来
このコンテンツが公開されたのは、
カトリック教会のお祭り「カーニバル(ドイツ語でファスナハト)」が、スイス各地で始まった。古都ルツェルンでは昨日開幕した。国内最大規模のバーゼルのカーニバルは11日に始まる。
もっと読む スイスにカーニバルのシーズン到来
おすすめの記事
バーゼルのファスナハト、ユネスコ世界無形文化遺産に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス最大のカーニバル、バーゼルのファスナハトが7日、ユネスコ(国連科学文化教育機関)の無形文化遺産に登録された。スイスとしてはヴヴェイのワイン醸造フェスティバルに次ぐ2件目だ。
もっと読む バーゼルのファスナハト、ユネスコ世界無形文化遺産に
おすすめの記事
「肩肘張って生きてる」 スイスで暮らすアフリカ系黒人の場合
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで暮らすアフリカ系黒人のレスさん(27歳)。スイスにはまだ黒人を見ると条件反射的に怖がる人がいることに触れ、「子供の頃の僕のことは可愛いと言っていた人が、18や19歳に成長した僕の姿を見た途端、持っているカバンをきつく握り締める」と話す。
もっと読む 「肩肘張って生きてる」 スイスで暮らすアフリカ系黒人の場合
おすすめの記事
博物学者ルイ・アガシー、人種差別的だった ヌーシャテルが通りを改名
このコンテンツが公開されたのは、
ヌーシャテル市役所は7日、ヌーシャテル大学地区内を通る「Espace Louis-Agassiz(ルイ・アガシー広場通り)」を改名すると発表した。スイス生まれの博物学者ルイ・アガシーはヨーロッパに氷河期があったことを発見した人物として世界的に有名だが、人種差別的な一面があった。
もっと読む 博物学者ルイ・アガシー、人種差別的だった ヌーシャテルが通りを改名
おすすめの記事
「双頭のワシのポーズ」シャキリ、シャカらに罰金 FIFA
このコンテンツが公開されたのは、
22日のサッカー・ワールドカップ(W杯)のスイス対セルビア戦で、スイス代表のグラニット・シャカとジェルダン・シャキリがゴールを決めた後にアルバニアの国旗に描かれた「ワシのポーズ」をした問題で、国際サッカー連盟(FIFA)規律委員会は25日、二人とシュテファン・リヒトシュタイナー主将を罰金処分にすると発表した。
もっと読む 「双頭のワシのポーズ」シャキリ、シャカらに罰金 FIFA
おすすめの記事
ネット上の発言 取り締まりが難しいスイスの法的事情
このコンテンツが公開されたのは、
「意見の自由」と「差別発言」のボーダーラインは、インターネットが広く普及する前から既に定義が難しい問題だった。そしてソーシャルメディアで瞬く間に交わされるコミュニケーションが、この問題を地雷原に変えてしまった。スイスで実際にあったケースがそれをよく表している。
もっと読む ネット上の発言 取り締まりが難しいスイスの法的事情
おすすめの記事
無礼講「ファスナハト」に浮かれる町で殺害事件
このコンテンツが公開されたのは、
しかし、スイス南部の町ロカルノ ( Locarno ) ではすべてのファスナハト行事が中止された。2月2日土曜日、前日に路上で3人から暴行を受けた男性が死亡したためだ。 追悼行進 死亡した男性はティチーノ州出身でチュー…
もっと読む 無礼講「ファスナハト」に浮かれる町で殺害事件
おすすめの記事
スイス人 アメリカの死刑囚の絵を集め展覧会を開催
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの有名な風刺漫画家のパトリック・シャパットさんと、伴侶で記者のアンヌ・フレデリック・ヴィッドマンさんは、カリフォルニア滞在中に死刑囚と出会うことができた。ジュネーブでは現在、死刑囚が描いた絵とシャパットさんや他の風刺漫画家の作品を集めた展覧会が開催されている。シャパットさんは「死刑囚は、絵を描くことで精神の健全さを保っている」と語る。
もっと読む スイス人 アメリカの死刑囚の絵を集め展覧会を開催
おすすめの記事
スイス政界に広がる人種差別発言
このコンテンツが公開されたのは、
この数カ月間、政治家や政党員による外国人やイスラム教徒に対する差別的発言が相次ぎ、マスコミをにぎわせた。とりわけ目立ったのは、右派の国民党(SVP/UDC)員によるものだ。 チューリヒ州検察は9月、国民党のアルフレッ…
もっと読む スイス政界に広がる人種差別発言
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。