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サッカーが取り持つ人道援助の輪

ケレンベルガー総裁 ( 写真左 ) とプラティーニ会長。ICRCとUEFAの協力関係は長い Keystone

欧州サッカー連盟 ( UEFA ) は、2008年にスイスとオーストリアで共催されるヨーロッパ選手権「EURO2008」で、ゴールが1回入るたびに4000ユーロ ( 約65万円 ) を国際赤十字に寄付すると発表した。

このコンテンツは 2007/11/24 15:25

ジュネーブに本部を持つ赤十字国際委員会 ( ICRC ) は、公式にEURO2008のチャリティーパートナーとなり、その収益金でアフガニスタンの地雷犠牲者を援助する意向だ。

ジュネーブ湖に臨むUEFA本部でミシェル・プラティーニ会長は、
「赤十字国際委員会に対する私たちの強い関心をみんなに知ってもらうことはとても重要だ」
と話す。

10年来のパートナーシップ

「この協力は10年前に始まりました。今回、EURO2008に向けて両者が合意し、多くの点で価値観が一致している赤十字国際委員会に協力できることを非常にうれしく思います」

UEFAはこれまでにもICRCのために800万フラン ( 約7億8500万円 ) の募金を集めている。
「このような協力体制は両組織の誇りであるばかりでなく、このお金でICRCが援助してきた世界中の武力紛争犠牲者にとってもたいへん重要なことです」
とプラティーニ会長は言う。

また、ICRCのヤコブ・ケレンベルガー総裁も次のように語る。
「この2つの組織はまったく異なる性質のものですが、確かに共通の価値観を持っています。それは、たとえばルールを尊重することであり、フェアプレーを行うことであり、偏見を持たず差別をしない精神であるわけです。サッカーの人気を考えると、UEFAのような組織が赤十字国際委員会というまったく異なった組織を支援していることをみなさんに知ってもらえるのは素晴らしいことです」

2008年6月7日から29日までスイスとオーストリアの8カ所で開催される「EURO2008」では、「赤十字のためにゴールを ( Score for the Red Cross ) 」と命名された募金キャンペーンが行われる予定だ。

キャンペーン中、サッカーファンはオンラインで応援するチームの「バーチャル・ゴール」を購入することができる。ウェブサイト「www.scorefortheredcross.org」にある一覧表を見ると、どの国のファンが一番多く寄付をしたかが分かる仕組みになっている。また、UEFAは大会中、1回ゴールが入るたびに4000ユーロ ( 約65万円 ) をICRCに寄付する。2004年のポルトガル大会ではペナルティキックを除いて77のゴールが決められた。もしこのときに寄付が行われていれば、寄付総額は30万8000ユーロ ( 約5000万円 ) になっていたはずだ。

意識を高める

プロモーション活動はほかにもたくさん計画されている。その中の1つが赤いマスコット・ブレスレットの販売だ。UEFAのコミュニケーション部長を務めるウィリアム・ゲイラード氏は、
「主な目的は多くの人々に関心を持ってもらうこと、そしてもちろんアフガニスタンの対人地雷犠牲者に義足を購入することです。人々の意識を高めることはそれほど難しいことではないはずです。サッカーの人気はたいへんなもの。少しでもサッカーに関係があれば、何でも注目される傾向にありますからね」
と余裕を見せる。

その1つが人種差別に反対する運動だ。ゲイラード氏はこの運動を高く評価している。
「なぜなら、この人種差別反対キャンペーンに大好きなスターが参加していることを子どもたちが意識するからです。サッカー選手は、自分たちがお手本となって、この問題に対する人々の意識を高めることに大きく貢献できると思います。世界の問題を解決することはできませんが、人々の目をそちらに向けさせることは可能です」

スポーツのメリット

このような意見にはケレンベルガー氏も賛成だ。
「スポーツで人道問題を解決することはできないでしょう。解決策はケガ人を病院へ運んだり、砂漠に飲料水を運んだりすることなのです。しかし、スポーツを紛争を予防するための1つの道具として使うことはできると思います」

いったん武力紛争が勃発すれば、その犠牲者を助けることができるのは具体的な人道援助のみだ。しかし、スポーツはそれを予防する助けとなりうる、とケレンベルガー氏は言う。つい最近、スーダンのダルフール地域にある小さな町についてスタッフの女性と話をした。
「そこでは、子どもたちが外でサッカーをしている日はそれほど状況がひどくなく、母親たちが子どもを家から出させない日は危険だと判断できるのだそうです」

swissinfo、トーマス・スティーブンス ニヨンにて

補足情報

- スイスは「EURO2008」の共催国で、サッカーの国際大会を開催するのは1954年のW杯以来2度目。

- 本大会の予選は2006年秋に開始され、2007年11月21日に終了した。共催国であるオーストリアとスイスは自動的に予選を通過する。

- 決勝ラウンドには7つに分けられた予選グループの上位2カ国と開催2カ国の合計16カ国が進む。決勝ラウンドのグループ分けの抽選は2007年12月2日にルツェルンで行われる。

- EURO2008で行われる31試合のうち15試合がスイスで、16試合がオーストリアで開催される。スイスチームは6月7日、バーゼル市のザンクトヤコブス・パーク ( St Jakob’s Park ) で開会試合を行う。6月29日の決勝開催地はウィーン。

- スイスの試合会場:チューリヒ市「レツィグルント ( Letzigrund ) 」3万席、バーゼル市「ザンクトヤコブス・パーク」4万席、ベルン市「スタッド・ド・スイス ( Stade de Suisse ) 」3万席、ジュネーブ市「スタッド・ド・ジュネーヴ ( Stade de Genève ) 」3万席。

- 連邦スポーツ局 ( BASPO/OFSPO ) の5月の報告書は、EURO2008によって15億フラン ( 約1492億円 ) の収入および8億6000万フラン ( 約855億円 ) の利益がスイスにもたらされると予測している。

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UEFAとICRC

欧州サッカー連盟 ( UEFA ) と赤十字国際委員会 ( ICRC ) の緊密な協力は、1997年にICRCが行った反地雷キャンペーンをUEFAが支援する形で始まった。その後、この支援は2002年にパートナーシップという形になり、ICRCは紛争に巻き込まれた子どもたちに援助の焦点を移した。

2004年のサッカー欧州選手権でUEFAはICRCのチャリティ・パートナーとなり、両組織は共同でキャンペーンを行った。有名な審判員の協力を得ながら、戦争にもルールがあること、そしてこのようなルールは子どもなどの弱い立場の人々を保護するために欠かせないものであることを訴えた。

「EURO2008」でも大規模なキャンペーンが繰り広げられる。オーストリアとスイスには600万人の来訪者が期待されており、試合の模様を報道する多数のマスコミもこのPR活動に大いに役立つと期待されている。

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