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ジュネーブモーターショー エコカーで生き残る

話題を呼ぶ「インサイト」はヨーロッパ各国での販売価格設定が先月末終了し、3月末から一斉に市場に出る

(swissinfo.ch)

世界同時不況の嵐に直撃された自動車業界。世界の大手自動車メーカーが4、5社消滅するのではないかという予測も出ているような状況下で、第79回ジュネーブ国際モーターショーが3月5日から15日まで開催されている。

不況の嵐が過ぎ去るまで減産を続けてスリムになり、現段階では買い手のニーズに応じてエコカーを生産しながら、長期的にはエコカー開発技術を維持して将来に備えるというのが多くのメーカーに共通した生き残り対策のようだ。

不況でも魅力ある車を制作

 ゼネラル・モーターズ ( GM ) とクライスラーは5万人の人員削減と政府へ追加融資を要請。日本の主要メーカー、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車などは今年1月の世界生産台数が前年同月比でほぼ半減。フランスのルノー、プジョーなどは昨年10月に多くの工場操業停止をし、今年1月政府から融資を受けた。フォルクスワーゲンやBMWも減産、人員削減を行っている。

 こうした危機的な状況の中で、毎年ほかのヨーロッパモーターショーに先駆けて行なわれるジュネーブモーターショーは開催された。

「不況の嵐はモーターショーの傍すれすれを通り過ぎた」
 とモーターショー主催者のディレクター、ロルフ・ストュデール氏は微妙な表現を使った。 GMが展示面積を半減し、タイヤメーカーのミシュラン、韓国のサンヨンなどがキャンセルしたものの、今年も250のメーカーが850車種を展示したからだ。( 昨年は260のメーカーが1000車種を展示 )

 「各社とも、( 不況にもかかわらず ) 魅力あるものをきちんと製作し続けているというポジティブなメッセージを携えてショーに参加した。さらに各社がハイブリッド車であれ電気自動車であれ、エコカーで自動車産業が抱える問題を解決している。今年ほど、従来の車からエコ技術での将来の車へのターニングポイントをはっきりと示したショーはない」
 とストュデール氏は全体を総括した。

早く対策を立て行動に

 「自動車業界は最も劇的な危機に直面している。しかしこうした状況は初めてではないし最後でもない。トヨタ自動車は世界中で状況に合った減産を行い、特にヨーロッパで減産を進めているが、柔軟な形で行いながら景気回復時にも備えている」
 とトヨタモーター・ヨーロッパの副社長、グラハム・スミス氏は語った。

 今年トヨタ自動車は、ハイブリッドの定番「プリウス( Prius ) 」にソーラパネルを搭載した新モデル「ニュー・プリウス」や都会のインテリ層をターゲットにしたという超小型車「アイ・キュー ( iQ ) 」を展示した。ヨーロッパでは二酸化炭素 ( CO2 ) の排出基準が2015年から走行距離1キロメートルにつき120グラムになるが、前者のモデルは89グラム、後者のモデルも99グラムと基準を充分に満たしている。
「減産でスリムになりながら、ハイブリッドをコアにし、CO2、エネルギー、安全性対策に焦点をあてた技術開発はしっかりと継続し、景気回復時にすぐ対応できる準備は怠っていない」
 とトヨタ広報部企画室長の藤井英樹氏は言う。

 一方のホンダはCO2排出量が101グラムで、従来のハイブリッド車より安価な新モデル「インサイト ( Insight ) 」を展示した。3月末からヨーロッパで販売される同車を「スイス運輸・環境協会 ( ATE ) 」はクリーンな車のナンバーワンに選んでいる。

 「現在の状況を生き抜くには、お客様が求めているものを提供していくという一言に尽きる」
 とホンダの広報担当官、日下部多門氏は言う。昨年の10月以降買い手のニーズに合うものは何かと問うことで、エコカーの生産方向に舵を切った。その結果がこの「インサイト」だった。しかし、
 「インサイトの生産だけに甘んじてはいられない。何が起こってもおかしくない状況では、新しい環境対策の技術を含めて早く対策を立て行動に移していかなければ生き残れない」
 と危機感を表明した。

ヨーロッパ2社の対策

 ヨーロッパ勢も、今年はエコカーでは日本勢に引けを取らない。CO2排出量を抑えたクリーンエンジンの小型車を主流に、BMW、メルセデス・ベンツ、ポルシェなどはハイブリッド車を公開した。
 
 2月の販売台数が昨年の同期より4割近く落ち込んだBMWは、クリーンなエンジン開発を行ってCO2排出量を118グラムに抑えた小型のガソリン車や、来年度発売のハイブリッド車を展示している。
「CO2排出量を抑える効率性とスピード感を楽しむダイナミック性をいつも2本の柱にしてきた。特に環境に対する効率性は7年前から取り組んでおり、今回の危機はニーズに適した車種がすでに用意されていたので乗り越えてこられた。将来もこの方向で続けていく」
 と広報担当のダニエル・シュミット氏は語り、車種そのものは今後さらに増やし、エコカーの多様なニーズに応える戦略を取っていくと語った。

 一方、今年1月初めに30億ユーロ ( 約3750億円 ) の融資を政府から受けたフランスのルノーだが、環境基準にも適応したスポーツカーなどを含む6台の新車を発表した。
「第1期の危機は、減産と昨年7月の6000人の雇用削減でうまく乗り切った。今はキャッシュフロー ( 現金収支 ) をゼロに保ちながら、長期的視野では日産との電気自動車やクリーンエンジンなどの技術開発協力を継続し、世界中の工場の拡張を抑えて好景気に備える」
 とルノーの商業開発局長、パトリック・ペラタ氏は語った。

 swissinfo 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

第79回ジュネーブ国際モーターショー

3月5日から15日まで、ジュネーブのパレクスポで開催される。

今年は250社が850車種を展示した。ヨーロッパ初公開と世界初公開を合わせた数は85車種になる。

パリなどのモーターショーに比べ展示面積は小さいが、車を生産しない「中立な国」で行なわれる点で評価が高い。また、シーズン中、ほかのモーターショーに先駆けて行なわれることでも知られている。

今年は自動車業界に大不況の嵐が吹いているにもかかわらず、魅力ある車を生産し続けているという姿勢を示すため、昨年とほとんど同数のメーカーが参加した。ハイブリッド車の展示が昨年よりかなり増え、また電気自動車も85台の初公開車のうち14台を占めた。

モーターショー主催者のディレクター、ロルフ・ストュデール氏は、今年を「従来の自動車からエコ技術での将来の自動車へのターニングポイントのショー」と位置づけた。また、第3ホール「グリーンパビリオン」は、特に、電気や再生可能エネルギーでのエコカー、さらに公害の少ない技術開発などの展示に当てられている。

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