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スイスの建築 サンフランシスコで好評

-新しくなったデ・ヤング美術館にははっきりとH&Mの判が押されている (写真提供: famsf.org, Mark Darley)

ロンドンのテート・モダン近代美術館の改修や北京オリンピックのメインスタジアムを手がける有名なバーゼルの建築事務所、ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meron)はサンフランシスコのゴールデンゲートパークにあるデ・ヤング美術館の再築を終えた。

10月15日から、超近代的な姿で生まれ変わって再オープンしたデ・ヤング美術館は工事開始からサンフランシスコ住民の間で多くの物議を醸し出したものの、現在の評判は上々。

 開館式に出席した建築家、ジャック・ヘルツォーク氏とピエール・ド・ムーロン氏はサンフランシスコで初めて、「美術館をゼロから手がける」ことに挑んだことになる。

 スペイン植民地風の建物として81年前に建てられたデ・ヤング美術館は耐震建築の基準を満たしていなかったため完全に壊され、再築がヘルツォーク&ド・ムーロン事務所(以下H&M)に委ねられた。

大きな挑戦

 この注文でH&Mは幾つもの難関を乗り越えなければならなかった。まずは、ゴールデンゲートパークの真ん中にあるという地形。そして、デ・ヤング美術館のコレクションの多様性だ。デ・ヤング美術館は17世紀から20世紀にかけてのアメリカ絵画のコレクションと共にアメリカンインディアン、オセアニアやアフリカの原住民の美術品で名高いからだ。

室内の連結を流動的に

 「デ・ヤングのコレクションは大変多様な美術品が集められています。ですから、僕たちはそれぞれ違った室内(空間)を作り、それでいて室内間の調和をとらなければなりませんでした。部屋から部屋への連結が流動的になる結果に到達したと信じています」とヘルツォーク氏は語る。「我々の作品は公園にある素晴らしい木々と完全に溶け込んでいます」と満足だ。

 確かに、この新しい建物はゴールデンゲートパークの広がりや輪郭に共鳴しており、周りに生えている木のてっぺんから飛び出て見えるものは搭だけだ。この搭からは公園とゴールデンゲートブリッジそして、サンフランシスコの美しい街並みが見渡せる。

暖かい建築素材

 H&M特有の手法でコンクリートをなるべく使用しないか使っても隠されており、木や銅などもっと暖かい建築素材が前面に使われている。「僕たちにとっては典型的な使い方です。木のように人々がもう匂いを嗅いだり、音を聞いたりできなくなった忘れられた価値のものを使用することで人々の五感を刺激する建築を目指している」とヘルツォーク氏。

メディアの反応

 今のところ、米国での評判は上々だ。地元紙サンフランシスコ・クロニクルはこの建物を「エレガント」で「新しい景色を描く」と賞賛し、「近代建築の模範」と評した。ニューヨークタイムズ紙は「この建築は芸術と建築が同居することが可能であり、両者の対話が創造的に実りの多いものになる証明だ」と記した。

 しかし、ニューヨークタイムズは1999年にこのプロジェクトが発表されて以来、地元から受けた多くの「攻撃」についても記している。工事が続くにつれて、この作品はまるで航空母艦、空港ターミナル、ディスカウント家具屋、自動車販売倉庫だなどと評されたという。

米国で大活躍

 サンフランシスコでスイス文化活動を行なっているスイスネックス(Swissnex)のクリスチアン・シム氏は「サンフランシスコ住民はまだこの建築に慣れていないようです。心酔している人もいれば、目障りだという人もいます」と話す。「外観は興味深いと言えます。でも、中に入ってみなければこの建物の真髄に触れられません。館内に入ると度肝を抜かれるほど、素晴らしいのです」

 このほど、H&Mはニューヨークのロングアイランドにある20世紀のアメリカ芸術を集めたパリッシュ美術館の改築も依頼された。彼らの活躍はこれからも続きそうだ。


swissinfo、マリー=クリスティーヌ・ブゾン、 屋山明乃(ややまあけの)意訳

補足情報

<ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meron)>

- バーゼル出身のジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンは両者ともチューリヒ連邦工科大学の建築学科を卒業し、1978年に共に事務所を開いた。このコンビはロンドンのテート・モダン近代美術館の改築で一躍有名になった。2001年にはプリッカー賞を受賞し、世界の建築家の仲間入りを果たす。日本ではガラスのキューブ型のプラダ青山店を手がけて話題をさらった。

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