全州議会(上院)国連加盟案可決
スイス連邦全州議会(上院)で21日、国連加盟の発議が賛成37、反対2の圧倒的多数で可決された。議論の中心は、国連加盟がスイスの中立政策を損なうかという一点に集中した。未だに国連に加盟していないのは、スイスとバチカンだけだ。
4時間におよんだ討議で、上院議員の多数派は国連加盟はスイスの中立政策も主権も侵害するものではないと発言した。加盟支持派は、国連に正式加盟しなければニューヨークの国連本部で投票権が得られないことを指摘。国連加盟はスイスの国際社会への参加を促進し、世界の国々との政治的・経済的結びつきを強化すると主張した。また、国連欧州本部はスイスのジュネーブにあり、スイスは国連諸機関の活動にはすでに参加しており多大な資金も拠出していることを強調した。現在スイスは毎年5億スイスフランを国連に拠出しており、正式加盟しても増額されるのは5、200万スイスフランでスイスにとっては大した財政負担にならない。正式加盟したら、スイスは加盟国で13番目の大口資金拠出国となる。全州議員の多くは、国連は貧困、飢餓、差別と戦う唯一の統一機関だが、自己満足的な国連崇拝を戒め改革するべきところは改革すべきだと訴える。
一方、国連加盟に反対する右派スイス人民党議員らは、国連加盟は伝統のスイスの中立政策を侵害し国家主権に悪影響を及ぼすと主張した。反対派は、国連に加盟するとスイスは意思に反しても国連制裁に加わることを強制される、またスイスのような小国は安保理常任理事国のような大国に打ち負かされると訴えた。
全州議会で可決された国連加盟発議は、国民議会(下院)へ場を移し、来年にも国民投票にかけられる見通しだ。国連加盟を問う国民投票は1986年に一度行われたが、国民の3分の1が反対票を当時却下された。今度こそ、悲願の国連加盟達成なるか?
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