2007年の出来事
2007年に起こった主なニュースを挙げました。
日本との経済連携協定交渉の開始、サブプライムローンで大損失を出した金融界、フェデラー選手の活躍、10月の総選挙に続く12月の内閣閣僚選出選挙など、スイスインフォでは今年も、毎日多くのニュースを報道しました。
1年の締めくくりとして、スイスインフォのサイトに配信されては消えて行ったニュースをここでもう一度振り返えってみました。
1月16日
スイス航空 ( Swissair ) の倒産から5年以上経過したこの日、当時の経営陣に対する刑事裁判が開始された。裁判は3月9日まで続いた。19人の被告全員に無罪判決が下ったのは6月7日だった。被告には裁判でもたらされた損害賠償として300万フラン ( 約3億円 ) が支払われる。スイスが誇りにしていた航空会社の消滅。経営責任者の巨額な失業補償金、裁判による税金の無駄遣いが世論の批判を呼んだ。
1月19日
ミシェリン・カルミ・レ大統領兼外務大臣は、日本の安部晋三首相 ( 当時 ) と電話で会談し、自由貿易を中心にした包括的な協定、経済連携協定 ( EPA ) を結ぶための交渉を公式に開始することに合意した。2007年の1年間でスイスと日本は、3回の会合を開いたが、交渉は来年も続く見通しだ。内容は、農業作物を含む物品の段階的な関税撤廃のほか、学術協力、知的財産保護、環境問題の取り組みでの協力など。
2月4日
第35回ローザンヌ国際バレエコンクールで、日本から参加した河野舞衣さんが2位に入賞した。1位は韓国のパウ・セーウンさんだった。入賞者には世界のバレエ学校へ留学するための奨学金約150万円が贈られた。
2月21日
バーゼルの建築事務所、ヘルツォーク&ド・ムーロン ( H&M ) が建築界で世界的に権威のあるロイヤルゴールドメダル賞を受賞し、この日授賞式があった。同賞はイギリスの王立英国建築家協会が与える。H&M は2008年の北京オリンピックのスタジアムも手がけている。
5月6日
グラールス州 ( Glarus ) で行われたランツゲマインデでは、州、地方自治体における選挙および投票権を現在の18歳から16歳に引き下げることが決定された。被選挙権は18歳に据え置かれた。有権者の年齢引き下げ問題は現在、スイス全土で討論されている。
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ランツゲマインデ(Landsgemeinde)
5月10日
東京にある国連大学の学長に、連邦工科大学チューリヒ校 ( ETHZ ) のコンラート・オスターヴァルダー学長が任命された。実際の就任は9月だった。国連大学は人類の平和と発展のため、学術面で寄与することを目的とする国際学術機関。近年、環境問題の取り組みに力を入れているが、ETHZは同分野の研究が進んでいることから両校の学術交流も期待されている。
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連邦工科大学 ( ETH )
8月11日
第60回ロカルノ映画祭で、日本の映画「愛の予感」( 監督・主演小林政広 ) が金豹賞を獲得した。「美学的に力強く、コンペティションに参加した19本の映画の中でも、もっとも個性的である」とイレーヌ・ジャコブ審査委員長が評価した。
8月13日
大手製薬会社「ノバルティス ( Novartis ) 」は、オーストラリアで販売していた消炎鎮痛剤「プレクシージュ」の回収を決定した。服用した患者2人が死亡したことが理由。同薬品は50カ国で認可され、欧州連合 ( EU ) 圏内では2006年11月から販売されていた。12月には、2010年以降をめどに16億ドル ( 約1797億円 ) のコスト削減を図るため、従業員2500人の人員削減を計画していると発表した。
8月22日
フランスからスイスに7年前進出したスーパーの「カルフール ( Carrefour )」 が、スイスから撤退することが明らかになった。同社の売り上げは世界2位。スイスには12店舗が営業していたが、すべてスイス大手スーパーのコープ ( Coop ) に売却される。売却額は約446億円と見積もられている。
8月23日
長崎市平和団体が派遣した8人の「高校生平和大使」がこの日、ジュネーブ国連欧州本部でティム・コーリー軍縮会議事務次長に面会し、核兵器廃絶と平和の願いを訴えた。また、平和を願う7万9244人の署名は、コーリー次長を通し潘基文 ( パン・ギムン ) 国連事務総長へ渡された。
10月17日
ウーリ州アムシュテーク ( Amsteg ) とセドルン ( Sedrun ) 間のトンネルが、予定より9カ月早く貫通した。トンネル工事はこの先10年間続く予定だ。アルプス縦断鉄道計画 ( NEAT/NLFA ) を支える要のトンネルとなる。ゴッタルド基底トンネルの建設は、予算を10億フラン ( 約1000億円 )超過し、最終的には117億4000万フラン ( 約1兆1700億円 ) になる見込み。
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アルプス縦断鉄道 ( NEAT/NLFA )
10月21日
スイスの総選挙で、国民議会では国民党が7議席議席数を伸ばし、62議席を獲得し大勝利となった。そのほか、緑の党が5議席増で19議席、社会民主党は9議席減で43議席、急進民主党は4議席減で31議席、キリスト教民主党は3議席増で31議席となった。また、11月25日には全州議会の決選投票が行われ、チューリヒ州ではウーリー・マウラー国民党党首を自由緑の党のフェレナ・ディーナー氏が破り当選。これで、全議員が出揃った。
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全州議会(Ständerat/Conseil des Etats)
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国民議会 ( Nationalrat/Conseil national )
11月5日
国営ドイツ語ラジオ局が新しく「DRS4ニュース」を開設した。同局では音楽を流さず、政治、経済、スポーツ、科学、文化、社会などのニュースを24時間報道する。
現在はデジタルラジオ ( DAB ) かインターネットで聴くことができる。
11月13日
1459年から大工職業組合に属していた歴史的建物「ツンフトハウス・ツァー・ツィンマーロイテン ( Zunfthaus zur Zimmerleuten ) 」で火災が発生。消火に当あたった消防士1人が死亡した。原因は屋根裏部屋の配線の漏電によるものと見られている。
11月18日
ATP世界ランク1位のロジャー・フェデラー選手はこの年最後の大会でも前年に引き続き再度優勝した。今年、全仏オープン以外、大きな大会ですべて優勝。スイスのスポーツマン賞も7年続けて受賞するほどスイスでは最高に人気のあるスポーツ選手だ。
11月19日
世界最大手の再保険会社「スイス・リー (Swiss Re ) 」がアメリカの低所得者向け住宅融資 ( サブプライムローン) の危機の余波で、10月におよそ12億フラン ( 約1200億円 ) の損失を出したと発表した。これから1カ月後の12月10日には、スイス最大手のUBS銀行が約110億フラン ( 約1兆1000億円 ) の評価損を出したと発表。第3四半期の決済でも同行は8億フラン( 約800億円 ) の損失を出したと発表したばかりだった。
11月20日
スイス大手100社のトップマネージャーの年俸平均が、前年より16%増加したことがスイスの年金ファンド「エトス基金 ( Ethos ) 」の調査で分かった。平均年俸額は2300万フラン ( 約2億3000万円 ) という。
11月22日
サムエル・シュミット国防相は、2008年3月にスイス軍をアフガニスタンから撤退させると発表した。スイス軍からの派遣は少人数だが、憲法や法律を重視するとこれ以上の同地での駐留を続けることは難しいとの判断があった。
11月22日
バレエの振付師で「ベジャール・バレエ・ローザンヌ」を主宰していたモーリス・ベジャール氏が死去した。80歳だった。同氏は、死後は自作品を一切上演しないことを望んでいた。開校した「アトリエ・ルードラ ( Atelier RUDRA ) 」は存続する予定。
12月9日
レッチュベルク ( Rötschberg )トンネルが正式に開通。ベルンからヴァレー/ヴァリス州への電車の旅は、これにより1時間短縮される。このトンネルもアルペン縦断鉄道計画 ( NEAT/NLFA ) の一環である。
12月13日
4年ごとに行われる内閣閣僚の信任投票で、国民党 ( SVP/UDC ) のクリストフ・ブロッハー法相が落選し、新しくエヴェリン・ヴィトマー・シュルンプ氏 ( 国民党 ) が選出された。スイスの政治史上、不信任となった閣僚は非常に珍しい。ブロッハー法相は、閣僚内での決定に反する意見を述べるなど、閣僚の合議制を無視したことが批判されていた。国民党は、ヴィドマー・シュルンプ氏とシュミット国防相を国会で支持しないと公言。連立から離れ、野党になるという意思表示をした。
swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 構成
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