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スイスの製造業 そろって成長

強いブランドで成長を続けるネスレ Keystone

10月23日、「ネスレ ( Nestlé ) 」、「シンジェンタ ( Syngenta ) 」、「ABB」の各社が第3四半期の業績を発表した。金融危機の不安をよそに各社とも黒字を計上した。

今年第3四半期の利益が20億8000万ドル ( 約2035億円 ) と前年比32%の増加となった医薬品会社「ノバルティス ( Novartis ) 」に続き、世界最大の食品会社ネスレも急成長を遂げている。今年9カ月間の売上は前年比3.4%増の813億6200万フラン ( 約6兆8300億円 ) を記録した。

伸びるスイスの大企業

 為替相場レートや買収・売買の影響を除いたネスレの有機的成長は8.9%に達し、市場の期待を上回る成長を遂げた。最高経営責任者 ( CEO ) のポール・ブルケ氏はこれを「途上国や工業国での強力な活力が反映されたもの」と解釈している。

 また、需要の伸びに加えて「ネスカフェ ( Nescafé ) 」や「ネスプレッソ ( Nespresso ) 」などの強力なブランドもあるため、営業利益は年々上がると見込まれている。ネスレはさらに売上予想も上方修正し、有機的成長の予想をこれまでの7.4%からおよそ8%に引き上げた。金融危機に関する心配はない様子だ。

 種子や農薬を扱うシンジェンタも、食品およびバイオ燃料の需要の高まりで第3四半期の売上が33%の伸びを示して23億ドル ( 約2256億円 ) に増加した。需要が特に大きいのは食品とバイオ燃料だ。世界の耕作面積は限られており、高い農業技術の投入が要求されている。今年9カ月間の総売上額は22%増の96億ドル ( 約9412億円 ) となった。

 需要の伸びが目立つのはトウモロコシと大豆の種子、およびトウモロコシの殺真菌薬や除草剤で、農薬部門の売上は31%増の18億7500万ドル ( 約1838億円 ) に達した。種子部門でもやはりトウモロコシと大豆の売上が倍以上となり、全体では47%増の4億1700万ドル ( 約409億円 ) を計上した。

 一方、エネルギー技術コンツェルンのABBは、第3四半期には明らかな成長が見られたものの、期待されていたレベルには及ばなかった。金融収支を差し引いた税引前利益 ( EBIT ) は前年比25%増の12億9000万ドル ( 約1260億円 ) に達したが、予想の14億ドル ( 約1368億円 ) を下回った。売上は22%増の87億9000万ドル ( 約8590億円 ) となった。

 また、受注も7%増加してほぼ89億ドル ( 約8697億円 ) に達したが、やはりアナリストの予想を7億ドル ( 約684億円 ) 下回った。しかし、ABBは今年の成長目標を達成できると見込んでいる。

 23日にはスイス第2大手銀の「クレディ・スイス ( Credit Suisse ) 」も第3四半期の業績を発表したが、投資部門の失敗で、予想通り12億6100万フラン ( 約1055億円 ) の損失を計上した。

 なお、スイスの株価指数SMIは22日、4.2%のマイナスで閉じ、今朝もマイナスで取引が始まったが、10時前にはプラス0.87%まで持ち直している。

swissinfo、外電

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