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ハリウッドのロケ地にスイスを売り込め

スティーブン・スピルバーグ監督の制作会社ドリームワークスは、映画「プライベート・ライアン」の続編にあたるテレビドラマをベルナー・オーバーラントで撮影中だ。撮影隊が現地にもたらす経済効果を追ってみた。

スティーブン・スピルバーグ監督の制作会社ドリームワークスは、映画「プライベート・ライアン」の続編にあたるテレビドラマをベルナー・オーバーラントで撮影中だ。撮影隊が現地にもたらす経済効果を追ってみた。

連続テレビドラマ「バンド・オブ・ブラザース」の舞台は第2次大戦中のドイツ・ババリア地方だが、ベルナー・オーバーラントが1940年代当時のババリアやオーバー・ザルツブルグ地方の雰囲気をより多く残しているという理由で、ロケ地に選ばれた。

ロケ誘致を進めたスイスのプロダクション、ユニコーンメディアのプロドューサー、レオナルド・グムルさんは、撮影による経済効果を評価する。「ロケ地に選ばれたからと言って、多額の投資が行われるわけではないが、ロケ隊のための交通手段、宿泊施設、食料供給、エキストラなど、現地の受ける利益は大きい。」といい、200人以上の撮影隊が2週間以上滞在するための宿泊施設手配が大変だったと語る。

撮影には、米兵役の現地(スイス人)エキストラ300人が雇われた。「約10日間の撮影で、およそ300万スイスフラン(174万ドル)売り上げがあった。これは、スイス映画プロダクションの年予算のおよそ半分にあたる。今後は、スイスにロケをどんどん呼びたい。」とグムルさんは述べた。

全10話のテレビ・ドラマの総予算は1億ドルと言われ、戦時下の欧州の雰囲気を出すためには、金に物を言わせて何でもするという噂が流れた。そして、ドリームワークスが、最近塗り替えたばかりのウンターセーン村役場の色を暗くしようとしたという噂が流れた時は、スイスのメディアがロケ地に殺到した。これに対しグムル氏は「我々はただ役場を塗り替えたらいくらかかるかと、訊ねただけだ。制作者に聞かれた場合、塗り替えが可能か、いくらかかるかなどについて、教えるのがプロダクションの仕事で、制作者が結論を出す。その結果、今回は、塗り替えはしないと制作サイドが決断した。」と説明した。

インターラーケンの隣村ウンターセーンのハンス・シュッツ村長は、塗り替えには100、000スイスフランは必要だっただろうと言う。そして、スイス・ロケに費やされた費用の約3分の1は、ウンターセーンに落とされたと語る。「撮影陣は4月からここのホテルに滞在している。その上、地元の住民が大勢エキストラとして雇われた。おかげで村は、大収益を上げた。」

また、毎年のように映画の撮影に使用される19世紀にブリエンツ湖畔に建てられたグランドホテル・ギエスバッハでも、何シーンかが撮られたが、こちらの経済効果は、ウンターセーンほどのものではなかったようだ。マネージャーのトーマス・リュッツィさんは、「テラス閉鎖のための代償金程度を受けただけだ。このホテルは、金もうけだけのために存在しているわけではない。」と老舗のプライドを見せた。

さて、ユニコーンメディアのロケ誘致成功の秘密兵器と思われるのが、ロケーション・マネジャーのステファン・ザルハーさんだ。ザルハーさんは、スタントマンとして活躍、多くの国際プロダクションと仕事をした経歴を持つ。長年のキャリアから、撮影隊の需用に適切に応じる事ができると自負している。「彼等は我々の供給に対し、大変満足してくれている。」と語り、これからもスイス・ロケを増やしたいと希望を述べた。


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