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ブログ「もっと知りたい!スイス生活」 湖畔の美しい季節、水辺の交通を楽しむ 〜 チューリヒ

暖かい春の陽射しが眩しくなってきたチューリヒ州。町の中心部、リマト川の周りではベンチに腰掛け、屋外でランチを楽しむ市民の姿も目立ち始めた。チューリヒ湖畔では、梨やぶどう、りんご畑の木々の葉も青みを増し、日に日に成長している。キラキラと光を浴びて輝く湖の景色は、もうすっかり春だ。

マイレン − ホルゲン間を結ぶチューリヒ湖のカーフェリー。遠くにはアルプスの山々を、湖岸には青く広がるぶどう畑を見渡しながら、10分間の船の旅はあっと言う間

(swissinfo.ch)

 これから始まる夏に向け、チューリヒの町も、世界中からの観光客で賑わい始めた。市民の足の一つであるトラム(路面電車)に乗ると、様々な国からやって来たらしい人達の姿が目立つ。観光で町を訪れる人々と共に、一般市民も利用するスイスの公共の交通と言えば、まず真っ先に思い浮かべるのは、鉄道を使用した交通手段であろう。しかしスイス各地では、電車以外にも、バスやトラムと共に発達している交通手段がある。湖や川を渡る船だ。チューリヒ州では、カーフェリーや蒸気船を利用し、日々の通勤や買い物をする人々もいる。今回は夏が近づくと欠かせない、チューリヒ州の水上交通の一部について語ってみようと思う。

チューリヒのビュリクリプラッツから出航するフェリー、フェリーの種類は大小様々

(swissinfo.ch)

 チューリヒ湖はチューリヒから南東約40kmに広がる細長く大きな湖だ。チューリヒのビュルクリプラッツからは、クルーズ船、チャーター船などが運航されている。三日月型をした湖を、ぐるりと1周する観光向けの約4時間の周遊コースや、湖の3分の1程を周遊する約1時間半のミニクルーズもある。夏期には、チューリヒ湖の真ん中辺りまで周回して戻って来る約2時間半のコースや、夕陽を眺められるトワイライトクルーズなども加わる。スイスの建国記念日である8月1日など特別な日には、船内でディスコやバーベキューパーティーなどが開催されるスペシャルクルーズも登場。様々なお楽しみが詰まったこれらのクルーズも楽しめそうだ。

 また、チューリヒの町の中心を流れるリマト川では、春から秋にかけて、ボートが運行されている。市内の7つの橋や、歴史的建造物、旧市街の町並みを川から眺める事が出来るため、リバークルーズも観光客に人気だ。

チューリヒ市内のリマト川を行くリバーボート。ガラス張りのボートに乗船して、川から見渡す美しいチューリヒの町並みは、また格別!

(swissinfo.ch)

 スイスの交通システムは利便性に富んでいると感じる。そのひとつが、各地域の交通網を切符1枚で利用出来る事。チューリヒ地区でもそれは同様。スイスパス等の観光用のパスを保持していれば、電車やバスと同じく、ほとんどのフェリーやボートも利用出来る。ZVV(チューリヒ地区の交通システム)のゾーン内で有効な一般の切符や回数券も使用出来るため、フェリーも市民の足としても利用される事がある。料金がカバーされるゾーン内であれば、乗り降りも自由だ。

 2階建てのフェリーは通常、2階席が1等、1階席が2等デッキになっている。1等客室のある2階席では、屋内外にカフェやレストランがある船もあり、軽食やお茶も楽しめる。小型のフェリーの1等デッキには、日よけの屋根の下にカフェだけがついている船もある。階下の2等デッキはカジュアルな雰囲気で、いつも大勢の人々が集い、賑やかだ。

1階はフェリーの2等デッキ、太陽の下で人々はしばしの間、船の旅を楽しむ

(swissinfo.ch)

 フェリーの上から眺める風光明媚な湖畔の風景は見飽きる事がない。ビュルクリプラッツを出航すると、町のシンボルでもある、遠ざかって行くグロスミュンスター(大聖堂)やフラウミュンスター(聖母教会)にしばしの別れを告げる。夏は湖畔で水遊びをする人々や、豪華クルーザーやヨットからフェリーに向けて手を振る人たちを見ながら、太陽の光を受けて輝く青い湖上を進んで行く。時々湖面にはね上がる、光り輝くしぶきが眩しい。「ゴールドコースト」と呼ばれるチューリヒ湖の北東岸では、ワイン栽培のためのぶどう畑が見えてくる。緑いっぱいに広がる、広々とした畑はとても美しい。夏がやってくると、湖畔の各町では湖水プールがオープンし、湖で泳ぐ人や、ジャンプ台から勢いよく湖に飛び込む子供達の姿も目に映る。

湖水のプールで水遊びを楽しむ人々。チューリヒ湖畔の各町では夏になると、湖のプールがオープンする

(swissinfo.ch)

 筆者も夏が近づくと、晴れた日に時間が許せば気分次第でフェリーに乗船し、普段は電車で15分程の距離を、のんびりと1時間以上の時間をかけて、移り変わる美しい湖岸の風景や、人々の生活風景を眺めながら、湖畔の町の自宅まで戻る事もある。

 チューリヒ湖では、対岸同士を結ぶカーフェリーも運行されている。チューリヒ湖の湖畔の町、マイレン(Meilen)とホルゲン(Horgen)間を結ぶフェリーだ。チューリヒ湖の橋は、チューリヒの南東の端、ザンクトガレン州ラッパーズヴィル・ヨナ市にかかる聖ヤコブの橋が唯一の橋であるため、カーフェリーは対岸へ渡るための交通手段として運行されている。このフェリーには車ごと乗り込めるため、各地への通勤にも利用されており、筆者の友人もかつて、フェリーを利用して毎日仕事に通っていた。朝晩のラッシュアワー時には、フェリー乗り場の前は、利用する人たちの車の行列がズラリと並ぶ。車無しで乗船する人もいるため、2階部分には客室も設置されている。このカーフェリーに関しては、前述のZVVのチケットとは別で、片道ごとに別料金が必要だ。通勤者用に定期券もある。約10分間の対岸への船の旅は、目の前に広がるアルプスの山々を見渡す事ができ、周遊のルートとはまた異なった醍醐味を感じる。春から秋にかけては湖の景色を満喫しながらの、船の上の数分間なのだが、冬の湖上は凍りつく程に寒い!

車を乗せて、対岸へと渡るカーフェリー。2階部分には車無しで乗船する乗客用に、屋内外に椅子が設置されている

(swissinfo.ch)

 水上交通から話題が反れ、全くの余談であるが、チューリヒ湖は過去に何度か凍結した事があると言う。最後に全面凍結したのは1962年の冬の事。その際、知人のスイス人男性が子供の頃、当時自宅があったマイレンから、凍ったチューリヒ湖を歩いて渡ったのだそうだ。彼がまだ幼い頃の出来事で、対岸のホルゲンまで渡り切れたのかどうかは記憶もおぼろげで、定かではないらしいのだが、小さな子供の心の中に、強いインパクトのある出来事としてインプットされた事は確かなようだ。夏の美しさとは大きく異なる冬の湖を思うと、厳しい自然に間近で触れながら生活している事を実感する。

 同じくチューリヒ湖畔の町メンネドルフ(Männedorf)とヴェーデンスヴィル(Wädenswil)の間では、対岸同士を結ぶ小型蒸気船が運行されている。人々は対岸の町のマルクトに買い物に出かけるなど、船を水上バスのような感覚で活用している。

ボートに乗って対岸までお買い物

(swissinfo.ch)

 春から夏にかけて、ポカポカと暖かな陽射しの下、のんびりと船に揺られていると、幼い頃に覚えた、スイス民謡「おおブレネリ」という歌の最初の歌い出しのフレーズが頭の中に流れてくる。当時はまさか自分が将来、歌詞の中にもあるスイスの綺麗な湖水のほとりに住む事になろうとは、思いも及ばなかった。

 これからスイスの季節は初夏から夏へと移り変わり、チューリヒ湖畔は1年の中で最も美しいシーズを迎える。今年はどんな夏になるのか? 短いスイスの水辺の夏を、思い切り謳歌したいものだ。

スミス 香

プロフィール:スミス 香

福岡生まれの福岡育ち。都内の大学へ進学、その後就職し、以降は東京で過ごす。今年の春で、スイス在住12年目。現在はドイツ語圏のチューリヒ州で、日本文化をこよなく愛する英国人の夫と二人暮らし。日本・スイス・英国と3つの文化に囲まれながら、スイスでの生活は現在でもカルチャーショックを感じる日々。趣味は野球観戦、旅行、食べ歩き、美味しいワインを楽しむ事。自身では2009年より、美しいスイスの自然と季節の移り変わり、人々の生活風景を綴る、個人のブログ「スイスの街角から」をチューリヒ湖畔より更新中。


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