特許王国スイスの意外な事実
欧州特許庁によると、スイスの企業や研究者らが2025年に出願した特許は9914件に上り、人口1人当たりではヨーロッパ最多を誇る。昨年の統計から5つの意外な事実をまとめた。
①ロシュがノバルティスを圧倒
2025年、製薬大手ロシュは欧州特許庁に681件の特許を出し、スイス企業で最多となった。ノバルティスは94件だった。
ロシュがノバルティスよりはるかに申請件数が多い背景には、ロシュが医薬品だけでなく検査機器も開発していることがある。
ロシュは血液サンプルを分析する機械などを開発している。ノバルティスにはこれに匹敵する診断部門はない。
②10件に1件は電子タバコ
スイスに本社を置く国際たばこ企業の米フィリップ・モリス・インターナショナルとJTインターナショナル(JTI)は昨年、合わせて1000件を超える特許を出願した。これはスイスの全出願数の10%に相当する。
フィリップ・モリスの広報ルイザ・ビーグマン氏はスイス公共放送(SRF)の取材に「2008年以来、私たちは無煙製品の開発、製造、商品化に140億ドル以上を投資してきた」と回答した。
「開発の大部分はスイス西部のヌーシャテルにあるグローバル・リサーチ・センターで行われており、約1500人の従業員が働いている」
日本たばこ産業の国際事業を統括する子会社JTインターナショナル(本社・ジュネーブ)もまた、急激な変化を遂げようとしている。同社は2028年までに全世界で約40億フランの投資を計画していると回答した。タバコ用ヒーターに重点を置き、エレクトロニクスや材料、化学、バッテリー、機器ソフトウェアなど複雑な技術を要する。
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③ 寡黙な巨人
スイスには、さまざまなグローバル企業が本社を構え、積極的に特許を申請している。その一例がスイス北東部シャフハウゼンに本社を置くTEコネクティビティだ。センサー、特殊ケーブル、コネクターなどの部品を製造し、世界中に9万3000人の従業員を擁する。
さまざまな場所に研究拠点があるが、特許はスイスから出願される。昨年の出願件数は180件と、国内9位だった。
④チャイルドシート
あらゆるものに特許が出願され、日用品も例外ではない。スイス中部ツーク州のワンダーランド・スイス社はベビーカーやチャイルドシート、ベビー用品などを取り扱っている。
ワンダーランド・スイス社はなかでも自動車内の子どもの安全に関する特許を多く取得している。法人税率の低いツーク州は、スイスで最も革新的な州の一つである。
⑤最先端のスイス
欧州特許庁のエコノミスト、イルヤ・ルディック氏はSRFに「特許は、その国の革新力を示す指標だ」と強調した。
特許を出願する業界や企業が分散していることも強みだ。「スイスには健全なイノベーションのエコシステムがある」(ルディック氏)
スイスの人口100万人当たりの特許出願件数は1100件弱。フィンランドが約600件、スウェーデンが450件と続く。
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独語からのGoogle翻訳:ムートゥ朋子
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