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国際都市ジュネーブ

変貌する国際都市ジュネーブ

国際機関が集まる国際都市ジュネーブは、多国間主義の重要なハブだ。それでも多国間システムは近年、ドナルド・トランプ前米大統領政権や新型コロナウイルスに伴う働き方の劇的な変化により、大きな圧力に直面している。物事はいずれ「ノーマル」に戻るのか。それともオンライン外交が「ニューノーマル」となるのか。

Skizzomat(イラスト)

国連欧州本部があるパレ・デ・ナシオンの廊下と会議室は、以前は各国の代表や報道機関でにぎわっていた。しかし、2020年春にコロナに伴う部分的ロックダウン(都市封鎖)が敷かれた間は、ほぼがらんどうの「主のいない宮殿」に変わってしまった。国連活動の多くは今もなお、オンラインで行われている。国際都市ジュネーブにある多くの国際機関も同様だ。政府関係者、組織、国家が事業を行う方法は、パンデミック(世界的大流行)により、今後様変わりするかもしれない。

国際都市ジュネーブは国連組織や各国政府代表に加え、多くの国際NGOや学術機関が集まる。これらが国際的な研究と政策決定の「肥沃なエコシステム」を生み出す、と当局は言う。一部のNGOや国連でさえ、パンデミックの連鎖反応に脅かされているのかもしれないが、スイス連邦政府はスイス・デジタルイニシアチブジュネーブ最先端科学外交基金(GESDA)他のサイトへなどの革新的・未来的なジュネーブの「プラットフォーム」を支援している。GESDAは進歩的な新興企業が集まる「バイオテック・キャンパス他のサイトへ」内にある。

WHOに批判

新型コロナウイルスのパンデミックでスポットライトが当たったのが、ジュネーブに本部を置く世界保健機関(WHO、1948年創立)だった。一部の人々はWHOの危機対応を批判し、WHOもまた、組織改革の訴えに直面している。

世界がパンデミック対応に取り組む中、WHOには対応が遅すぎると批判が集中。とりわけトランプ前米大統領は、WHOが中国寄りだと公然と非難した。

しかしWHOは、新型コロナウイルス感染症ワクチンを開発途上国に提供する新たなイニシアチブ「COVAX(コバックス)」の中心的存在でもある。COVAXはWHO、Gaviワクチンアライアンス、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)が共同で主導する。多くの課題に直面しているにもかかわらず、COVAXは2021年第1四半期に途上国へのワクチン配布を開始した。

トランプ氏から批判を受けたもう1つの国際機関で、コロナワクチンの特許放棄を巡り論争の中心となっているのが世界貿易機関(WTO)だ。この機関も、組織改革を求める声に直面している。

トランプ氏はWHOとWTO、ジュネーブに本拠を置く国連人権理事会から米国を撤退させ、資金提供を停止した。2020年11月、ジョー・バイデン氏が大統領に選出され、この方針を覆したとき、国際都市ジュネーブは一斉に安堵(あんど)のため息を漏らした。しかし、米国の方針がこれらの国連機関にどのような変化をもたらすかは、まだ未知数だ。

資金調達の問題

資金確保はジュネーブの国際機関にとって大きな悩みの種だ。国連システムの限界が試されたパンデミックで、財政問題は深刻化した。国連機関、国際機関、NGOは制限措置の中で資金確保に苦慮した。ジュネーブ州は、資金繰りに苦しむNGOが今後どうなるかは判然とせず、ドナーに大きく依存すると説明する。

長期的な傾向としては、大規模な国際機関が特定のリソースを高物価のジュネーブから別の安価な場所に移すかもしれない。だが、ジュネーブにはそれを上回るプル要因(引き付ける要素)があるという。

1つは資金を提供するドナー、政策決定者、専門家が既に揃っているということ。ジュネーブ州が運営する国際都市ジュネーブのウェブサイト他のサイトへによると、ジュネーブは国連欧州本部と39の国際組織、431のNGO、177カ国・地域の外交使節団の本拠地だ。国際都市ジュネーブの専門知識を結集した研究機関と19のプラットフォームもある。

国連では最近、国際司法調査官と専門家によるチームがシリア、ミャンマー、スリランカで発生した深刻な国際犯罪に対し、証拠収集と保存、そして刑事訴追の可能性を模索している。

国連は2020年、創立75周年を迎えた。スイス、そしてジュネーブは当時、どのような政治的背景から自国に国際連盟を迎え入れたのか。その経緯を知ることができる記事がこちらだ。

平和、人権、国際正義は依然、重要な焦点だ。国連内の政府間組織である人権理事会と、多数のNGOや研究者に支えられた人権高等弁務官事務所が、ジュネーブから世界中の人権を促進し、保護している。

ジュネーブ州のウェルカムセンター(CAGI)の責任者ジュリアン・ボーヴァレ氏は「国連と国際システムが市民社会に開かれている限り、ここジュネーブにはプル要因がある」と話す。

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