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愛知万博から上海万博へ

サルクリ氏のオフィスには、まだ愛知万博の名残がある

(swissinfo.ch)

愛知万博を担当したダイナミックスイスがこのほど、開催中の活動の決算報告を行った。万博を通して日本におけるスイスの存在を大きくアピールでき、成功したともろ手を挙げて評価している。

現在も日本では、スイスのプロヘルヴェティア文化財団が、展示会や演奏会などを通じてスイスの文化を紹介し続けているが、その活動も今年の9月には終了する。同時に、在京スイス大使館に設置されていたダイナミックスイスの事務所も閉鎖される。

 すでにダイナミックスイスの本部では、2008年のサラゴサ万博(スペイン)の準備が着々と行われ、2010年の上海万博への参加の意向も近々公式に中国側に通達される予定だ。そのような中、1年前の愛知万博の思い出や今後のスイスの万博への参加のあり方などについて、愛知万博の元スイス館館長マヌエル・サルクリ氏に尋ねた。

swissinfo : このほど、愛知万博の決算報告が発表になりましたが、一貫して肯定的な報告書ですね。万博に参加したことはスイスにとって本当に良かったとお考えでしょうか。

サルクリ : もちろんです。報道機関がほぼ毎日のように取材に来ました。日本のテレビ局が、60本にのぼる番組でスイス館を取り上げてくれました。1992年のセビリア万博は「スイスは存在しない」という逆説的テーマを非難し、ハノーバー万博はコストが高すぎたと書いた辛口のスイスのメディアでさえ、愛知万博には好意的でした。

わたしたちが意図していた、まず日本に親しみのある山で訪問客を惹きつけ、あまり知られていないスイスの側面、たとえば、技術、学問、研究、冒険家などを紹介できました。アンケートでも、来場者は新しいスイスを知ることができたと評価しています。

swissinfo : スイスインフォも特集を組みましたが・・・。それはそうと、愛知万博の予算、1500万フラン(約14億円)以内で収まりそうでしょうか。

サルクリ : まだ最終決算報告には至っていませんが、予算以内で収まりそうです。絶対に赤字を出さない。これが私の個人的な目標でもありました。そのために、ショップや事務所の内装などを簡素化し、VIPの招待にかかるコストの制限もしました。愛知万博に参加した国の中で唯一、スイス館だけが独自の車を持っていませんでした。館長である私でさえ毎日、リニモでスイス館に通っていました。

swissinfo : スイスとはいろいろな面で異なった日本の社会で、日本人と密接な関係を保ちながら仕事をしなければならなかったと思いますが、いかがでしたでしょう。

サルクリ : (ため息をついて)大変でした。特に万博の執行委員会とのやり取りは、困難でした。日本は民主主義が徹底しているからでしょうか、入場料を払った「お客様は神様」という精神を強く感じました。スイス館のスポンサーなどVIPを優遇するために、一時的に館を閉鎖することを許可してもらうこともままならない状態でした。また、汗水流して働いているスタッフをねぎらう意味で、日本館への入場を優遇するといった配慮もまったくありませんでした。

これはスイスでもあるかもしれませんが、「お役所仕事」というのでしょうか、柔軟性にかけていたと思います。問題の一つ一つは細かいことなのですが、あまりにも杓子定規なところがあり、愛知万博の日本の執行委員会は、本当に外国館を受け入れようとする態勢にあるのか、疑問に思うこともありました。

もっとも、執行委員会や愛知県が日本のすべてを代表しているとは思いません。私たちは特殊な場所にいたのだと思っています。

swissinfo : 次回のサラゴサ万博の予算は300万フラン(約2億7000万円)、上海万博は2000万フラン(約18億円)と内閣の決定がありました。ダイナミックスイスの希望額には届きませんでしたね。

サルクリ : サラゴサ万博には400万フラン(約3億6000万円)、上海博には2800万フラン(約25億6000万円)を要求していましたから、不満です。特に上海万博は、各国が力を入れて参加するはずですので、この予算では心配です。毎週、館内でコンサートや劇などを上演するという案もあったのですが、予算不足で実現できそうにありません。

swissinfo : 上海万博に向けてのスポンサーの反応はどうですか。

サルクリ : 愛知万博の準備で、スイス企業を回りスポンサーを募りましたが、「日本市場は難しい、高い、過去の市場だ」といった理由を挙げられてしまい、積極的な企業の参加は望めませんでした。上海万博にはスポンサーから400万フラン(約3億6000万円)集める予定ですが、反応は愛知万博とは比較にならないほど良いです。

swissinfo : そもそも万博自体の意味に疑問を投げかける意見を聞きますが。

サルクリ : 2002年にスイスの国内博が開催されましたが、その際行われたアンケートでは、8割の人が万博に参加することに意義があると答えています。

また、中国との関係はスイスにとって重要です。不参加という不義理はできないのではないでしょうか。特にEU非加盟国として、万博を通して外国におけるスイスの存在をアピールする必要があると思います。

swissinfo、聞き手 佐藤夕美(さとうゆうみ)

キーワード

今後の万博予定
サラゴサ万博(スペイン)2008年
「水と発展の共存」
スイス館の予算2.7億円
上海万博(中国)2010年
「Better City Better Life」
スイス館の予算18億円

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補足情報

愛知万博 スイス館の決算
スイス館訪問客に対するアンケート
スイスに対する印象 ——— 科学98件/アルプス縦断鉄道建設53件/宇宙飛行士39件
スイス館の印象 ——— オーディオガイド224件/山127件/展望台54件

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