コロンビアで脱化石燃料会議閉幕、化石燃料段階的廃止に向けた「歴史的」な一歩
脱化石燃料を目指す初の国際会議が29日までコロンビアのサンタマルタで開かれた。スイスを含む57カ国の政府関係者、気候変動対策推進者、金融専門家が集まり、化石燃料からの脱却方法について協議した。スイス気候特使は、会議の成果を肯定的に評価した。
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スイスの気候変動担当大使で同国代表団のフェリックス・ヴェルトリ氏は「57カ国が化石燃料からの段階的な脱却方法についてオープンに議論したことは、極めて前向きなことだ」とスイスインフォに語った。
初となる「化石燃料からの脱却に関する会議」はコロンビアとオランダが共催し、4月24日〜29日にコロンビアのサンタマルタで開かれた。政府関係者、気候変動活動家、研究者、金融専門家など約1500人が参加し、持続可能なエネルギーシステムへの道筋について議論した。
中東紛争、ホルムズ海峡をめぐるエネルギー供給混乱を受け、世界の原油・天然ガス価格が急騰するなかでの開催となった。石炭、石油、天然ガスは世界の温室効果ガス排出量の大部分を占め、依然として気候危機の主要な要因となっている。
今回の会合で拘束力のある合意には至らなかったが、一定の成果は残した。会議では、各国が化石燃料の段階的廃止に向けたロードマップを策定することや、脱化石燃料移行に向けた財政・金融制度の改革、化石燃料生産国と消費国間の連携強化などを取り決めた。
議長を務めたコロンビアのイレーネ・ベレス・トーレス環境相は「これは新たなグローバル気候民主主義の始まりだ」と述べた。一向に進展しない国連内での交渉に代わる対話の場を新たに設けることが、今回の会議の目的でもあった。
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脱化石燃料に向けた「有志連合」
会議への参加は、化石燃料の段階的廃止に取り組む意思のある国々に限定された。この「有志連合」は、世界のエネルギー需要の約3分の1、世界の化石燃料供給量の約5分の1を占める。
スイスに加え、ブラジル、ノルウェー、カナダといった化石燃料生産国を含む、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジア太平洋地域の多くの国々が参加した。世界最大の排出国である米国、中国、インド、ロシア、湾岸諸国の産油国は参加していない。
化石燃料不拡散条約イニシアチブの創設者兼議長であるツェポラ・バーマン氏は「この会議は歴史的な突破口となる。行動を起こす意思のある国々が一堂に会したのは今回が初めてだ」と述べた。またバーマン氏は英紙ガーディアンに対し「私たちは主導する意志を持ち、国連交渉において具体的な行動を麻痺させてきた合意形成の行き詰まりを打破する、野心的な国々の連合を構築している」と語った。
スイスはこのグループが拡大することを望んでいる。ヴェルトリ氏は「関心ある国々が参加できるようにしなければならない。このプロセスが全ての人に開かれていることが重要だ」と話す。
国連気候変動枠組み条約外部リンク締約国会議(COP)とは異なり、今会議は市民社会と先住民コミュニティに極めて重要な役割が与えられた。また地球温暖化を産業革命以前比1.5℃に抑えつつ化石燃料を公平に段階的に廃止する方法について各国政府に助言を行う新たな科学者パネルも設置された。
化石燃料段階的廃止に向けた国家ロードマップ
会議は参加国に対し、化石燃料の生産・使用から脱するための国家ロードマップを自主的に策定するよう求めた。化石燃料依存を削減するための新たな国際イニシアチブの基盤にしたい考えだ。
フランスは先進国として初めて、石炭は2030年、石油は2045年、ガスは2050年を目標とする脱化石燃料ロードマップを発表した。コロンビアとブラジルも独自の移行戦略の策定に着手した。
スイスには現在、こうした国家ロードマップは存在しない。しかしヴェルトリ氏は「スイスには気候法、CO₂法、エネルギー戦略2050など、移行を実行するための重要な要素が既にある。脱化石燃料に向けたロードマップをもう持っているようなものだ」と語る。
貧困国への支援
独立系シンクタンク「国際持続可能な開発研究所(IISD)」の政策アドバイザー、パオラ・ヤングアス・パラ氏は、会議の核となるメッセージは、ロードマップはゼロカーボン社会への技術的な道筋を示す以上のものでなければならないということだと指摘する。「ロードマップは、進歩を阻む無数の制度的、財政的、政治的な障壁に対処する必要がある」。
共催国が閉幕後に公表した声明では、化石燃料からの脱却には構造的な依存関係や債務制約への対処、安定したエネルギー供給の拡大、そしてより強靭で多様な経済の構築といった、広範な経済変革が必要だと強調した。
また参加国は、貧困国に対し、ロードマップ策定に向けた技術支援などを行うことで合意した。化石燃料補助金の見直しや、貿易政策・金融システムにおける協力も強化していく。
第2回会議はツバルで開催
参加国はこのプロセスを継続していくことで合意した。第2回会議は、2027年初めに太平洋の島国ツバルで、アイルランドとの共催で開く。
この会議が正式な多国間交渉に持続的な影響を与えるかどうかは、今後の展開次第だ。それが最初に試されるのは、6月のドイツ・ボンとなりそうだ。そこで、次回の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP31)に向けた準備協議が再開される。
ヴェルトリ氏によると、スイスは過去のCOPと同様、化石燃料の段階的な廃止を引き続き提唱していく。
編集:Balz Rigendinger/sb、英語からのAI翻訳・校正:宇田薫
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