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法政大学、スイスに進出

柳沼寿法政大学常務理事、阿部信泰日本大使、コンラート・オスターヴァルダーETHZ学長らが6月に行われた鏡割りの儀式でセンターの開設を祝った (写真提供 : HERZ、Kyeni MBITI ) Kyeni Mbiti

法政大学は今年4月、チューリヒ連邦工科大学 ( ETHZ ) およびザンクトガレン大学と学術協力協定を結び、チューリヒに「法政大学チューリヒ研究センター ( HERZ ) 」 を開設した。外国大学がスイスに拠点を持つのは、はじめてのことだ。

このコンテンツは 2007/07/15 15:26

センターのディレクター、クロード・ジーゲンターラー法政大学教授に、センターの概要と両国の学術協力の可能性を伺った。

近年再開発され、緑が多い地区となったチューリヒ市北部にHERZがある。空港、スイスのシンクタンクの代表格ETHZにも近く、街の中心地にはバスと電車を使っても10分の近さという好立地だ。

swissinfo : HERZはスイス初の外国大学の拠点になりましたが、法政大学は積極的に外国に進出しているのですか。

ジーゲンターラー : 現在、海外47の大学と提携し、学生が外国で学ぶチャンスを提供しています。今回、チューリヒにセンターを置くことになりましたが、そのほか、ロンドンやシリコンバレーにも拠点があり、セミナーや講演を開催したり、コンピュータ科学を学生に学んでもらっています。

これまでもスイスとの交流は盛んで、過去1年間で見ますと、法政大学がアレンジした交流では、日本から約30人の学生や研究者がスイスを訪問し、スイスからは7人が日本を訪れています。

HERZは日本とスイスの研究者同士のさらなる交流を図るもので、研究者たちの仲介役を積極的に務めることになります。HERZは研究者のためのオープンプラットフォームを目指します。

swissinfo : なぜスイスが選ばれたのですか。

ジーゲンターラー : スイスでは非常に優秀な研究が多くなされており、特にETHZの研究は非常に魅力的です。また、スイスの研究者との交流も長年培われてきました。具体的には、コンピュータ科学、環境学、グローバル・ロジスティックなど13件にも及びます。こうした背景から2年半前、ETHZとの間で学生交流と共同研究の協定を結んだのです。

一方、ザンクトガレン大学は、長年日本の中小企業の経営などに注目しており、最盛期にはおよそ120人が日本の経済を学んでいたほどでした。今回は、ザンクトガレン大学から申し出があり、協力することになったのです。

swissinfo : 研究者の交流が目的とのことですが、具体的な活動内容がはっきりしません。

ジーゲンターラー : 向こう3年間を目標にし、以下のことをやって行きたいと思っています。まず、ETHZとザンクトガレン大学との学生交流と両国の研究プロジェクトを仲介し、ネットワークを構築することです。その後、両者を仲介して行く過程で浮上した問題を分析し、共同研究をどのように効率的に行うかのノウハウを蓄積していきます。このようにして、HERZが具体的に担う役割を検討していくことになります。

今年秋には、持続可能な開発のための教育をテーマとして、法政大学、ETHZ、東京大学の共同主催により、多くの大学を招き会議やワークショップを東京で行うことにしていますが、HERZが大きな役割を果たします。そのほか2つのプロジェクトにHERZがかかわっています。

swissinfo : 両国がお互いに学べる点はなんですか?

ジーゲンターラー : もちろん、世界の先端を行くスイスのライフサイエンス、持続可能な研究も、日本が大いに興味を示す分野ですが、スイスは「グローバル化のモデル」です。ここには、すばらしい国際ネットワークがあります。

また、研究者の育成に非常に力を入れています。たとえば、若い研究者を育成するために「出る釘はうたれる」のではなく、出る釘を育成していくという土壌があります。日本が学ぶことの1つではないでしょうか。

一方、スイスは日本から何を学び取れるかですが、日本人研究者の研究態度です。
スイスでは天才的なアイディアが他の研究者を納得させ、研究の方向性がたった1つのアイディアによって、決められてしまう傾向にあります。一方日本の研究者は、ほかの人の考え方や研究に非常に興味を持ち、それを知りたがります。他の考えにオープンで、いろいろな考え方や理論、可能性を調べながら研究を進めていきます。

スイス人の研究者はよくアメリカに行きたがりますが、日本にも、最高級の研究所が多くあります。将来は、日本の大学や研究所での研究が研究者のキャリアになるはずです。

swissinfo : 日本をずいぶん評価されていますね。

ジーゲンターラー : いや、そうでもありません。日本の生活環境は問題です。住宅環境、給料の安さ、就業時間が長いなど、若い研究者は日本のこうした環境条件を知ると、やはりアメリカに行きたいと思うでしょう。うかうかしていられませんよ。最近は、中国も良い条件で若い研究者を受け入れているのですから。

聞き手 swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

キーワード

<HERZ>
2007年4月、チューリヒに設立
チューリヒではジーゲンターラー氏ほかフリーランサー2人、パートタイムの事務員1人が働く。東京には代表責任者の教授と5人のアドバイザーとなる教授のほか事務方として2人がパートで働いている。
経費は法政大学が担うが、そのうち3割は文部科学省の補助金で賄われる。

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