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オピニオン

2016年、世界中で市民の力が爆発する年に

テロや難民問題など、衝撃的な事件に満ちた2015年が過ぎ、新しい年が明けた。「今年2016年は、あらゆる政治レベルで新しい民主主義の展開を示す年になるだろう」と、民主主義を推進する組織「people 2 power」の主催者、ブルーノ・カウフマン氏は言う。以下は、氏のオピニオンである。

このコンテンツは 2016/01/15 11:22
Bruno Kaufmann, swissinfo.ch

新年を祝う花火をオーストラリアのパースで見たのは、私にとって感慨深いことだった。2016年という新しい歴史の一章が始まるからだ。同時に金融不安、エスカレートする戦争、津波のように押し寄せる難民、自然災害など、難題だらけの2015年が、すでに背後にある。

民主主義は昨年、世界の多くの地域で後退を経験し、同時に真の進歩のための挑戦も生み出した。しかし今年、地平線には、国民投票にまで行き着くような多くの民主主義の好機が広がっている。以下、それをもっと詳しく見てみたい。

直接民主制の専門家、ブルーノ・カウフマン Bruno Kaufmann

市民の力と権力

2016年は、中国の習近平(シーチンピン)国家主席やロシアのプーチン大統領、さらにオバマ米大統領といった、大国のトップが力を振るう年ではないだろう。むしろ、こうした国の一般市民が声を上げる年になるはずだ。

そして今年初めての、市民が参加する政治は、(皮肉であるが)こうした大国からではなく、もっと小さな国の台湾から始まる。台湾では1月16日に、大統領と国会議員を選出する総統選がある。

ここでもし投票の過半数の支持で、最大野党・民進党の蔡英文(ツァイインウェン)主席が選出されるとしたら、1940年代後半以降、台湾を支配してきた国民党を対立野党に追い込むことができる。これは、「市民の力」の進展に弾みをつける。しかもこの勢いは、単に台湾だけに留まらず、隣の香港、中国、ベトナムにも波及するだろう。

ロシアでは今年の後半に、国会議員450人を選出する国民投票が行われる。ただ、12年にプーチン大統領が政権の座に返り咲いて以来、民主主義の流れは劇的に変化したため、この9月18日の総選挙が、どれほど自由に公正に行われるかは不透明なままだ。

アメリカでは、11月8日に大統領選が行われる。それは、歴史上で最も高額なキャンペーン費用が使われるのではないかといわれている。そして、このことは世界で最も古く、最も民主的な国家の一つであるこの国の弱い側面と強い側面に興味深い光を当てることになるだろう。

窓から「好機」が見える

イランには、希望の光がちらちらと見える。この国のハサン・ロウハーニー大統領は、イランの民主的な改革を呼びかけ、2月26日の国会の議員選挙に向けて「全ての国民の声に重みがあり、全ての声が聞き届けられるべきだ」と宣言した。問題は、国民が保守系のイスラム原理派を多数派として選ぶかどうかだ。

ウガンダも2月18日に変化があるだろう。イディ・アミン元大統領の流れをくむヨウェリ・ムセベニ現大統領の政治体制をそのまま継続するかどうかを、国民は選択することになる。

さらにこの冬から春にかけては、他の地域や国でも多くの総選挙や国民投票が実施される。ポルトガルでは1月24日に大統領選、スイスでは2月28日に国民投票、サモアでは3月31日に総選挙、ペルーでは4月10日に大統領選、最後にスコットランドで5月5日に総選挙が行われる。

英国は欧州連合に留まるのか?

英国で9月(6月の可能性もある)に実施される欧州に関する国民投票は、今までにない特別なものとなるだろう。英国は、果たして欧州連合(EU)のメンバーとして残るのだろうか?

これは、欧州と英国の両方にとって大きなできごとになる。英国の脱EUを意味する「Brexit(ブレキジット)」が本当に起これば、それは今までにEU内の協定にノーを突きつけてきた投票とはまったく性格を異にし、EUの同化や発展の問題に大きな影を投げかけるものとなるだろう。

2016年はまた、欧州全体で市民参加型の直接的な民主制への道を切り開く機会が増加する年になるだろう。新しい制度として確立された「欧州市民イニシアチブ」には2012年以来、55の案件が登録された。

そのうち可決されたのは3案件。水に対する権利、幹細胞研究の制限、動物実験の禁止がそれだ。ところが最近、同じように五つの案件が欧州で支持を得ようとしている。それらは、結婚、公共交通、大麻、環境、そして民主主義についてだ。

世界中で地方自治体の民主化

この年は、それぞれの国の地域の展開が最も興味深く、そういった地域での、社会経済と市民権の拡大という意味での民主化が、人々に勇気を与えてくれる年になるだろう。中央から離れた、世界中の幾つかの大きな自治体が発展を遂げようとしている。

世界で最大のイスラム教徒が多数を占める国、インドネシアがその良い例だ。人口密度の高い6千もの島からなるこの国は、2億5500万人の人口を抱える。そしてこの人口の半数がジャワ島に暮らし、首都ジャカルタには3千万人が住む。

この首都ジャカルタから、私はこの記事を書いている。90年代後半に独裁政権から脱したインドネシアは、活気溢れる民主主義を確立した。特に多くの市長たちが市民参加型の民主主義を擁護している。かつてスラカルタ市長に選出されたジョコ・ウィドド現大統領、スラバヤ市長トリ・リスマハリニ氏、バンドン市長のリドワン・カミル氏などがそうだ。

同様に、国自体は非常に民主化が遅れている、ないしは民主主義が侵されているにもかかわらず、地方が民主的に非常に輝いている例は、地球上に数多くある。

昨年、世界のメディアの見出しのトップは、悪いことばかりで飾られた。しかし、2016年は、「民主主義を少しでも民主的に行えるように」という新しい希望と新鮮な義務の念を持って迎え、これを実践していきたい。

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