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福島に揺らぐスイスの政治

州選挙での大躍進をルツェルンでも祝う自由緑の党の党員 Keystone

日本の原子力発電所の事故から1カ月。「フクシマショック」がスイスの政党に与えた影響は今のところ限定的だ。

このコンテンツは 2011/04/14 15:00
ウルス・ガイザー, swissinfo.ch

しかし、10月の総選挙に向けた選挙戦は変わってくると、ローザンヌ大学の政治学者ゲオルク・ルッツ氏は言う。

躍進する自由緑の党

先日4州で行われた州議会選挙では、自由緑の党 ( Grünliberale/Vert’libéraux ) が大躍進。この政党は連邦議会に現在5議席を有し、中道右派の急進民主党 ( FDP/PLR ) とキリスト教民主党 ( CVP/PDC ) を抑えて健闘が期待される。

日本の原発事故を受け、ドリス・ロイタルト環境・エネルギー相は国内にある原発5カ所の安全確認を指示。新しい原発建設計画には一時停止 ( モラトリアム ) を発動した。これに関して、連邦政府は6月をめどに再審議を行う意向だが、連邦議会は夏の会期での討論を望んでいる。

swissinfo.ch : 日本の原発事故でスイスの政党はどれぐらい影響を受けましたか。

ルッツ : さまざまだ。緑の党 ( GPS/Les Verts ) はそれほどではなかったが、自由緑の党は複数の州で大きく躍進した。言い換えると、左派よりも中道派への一般的な移行が見られる。

また、今回の選挙では投票率は平均を下回った。しかし、多くの国民が選挙にあまり関心を示さないことは珍しいことではない。ほかの国とは違い、スイスでは政党を選ぶ選挙が政策決定を左右しないことを有権者は知っている。また、有権者は政策決定に関する具体的な投票でこそ発言権を行使できることを知っている。

swissinfo.ch : 日本の原発事故を受け、どの政党の反応に最も説得力がありますか。

ルッツ : 政策に最も一貫性があるのは緑の党と社会民主党 ( SP/PS ) だ。両党とも数年間にわたり脱原子力を呼びかけてきた。もちろん、今はこの点を強調している。

中道右派の政党は新しい原発建設を推進してきただけに、明らかに苦境に立たされている。エネルギー政策は崩壊し、書き直しを迫られている。政治姿勢にほとんど説得力がない印象を多く受けた。

swissinfo.ch : 今回の州選挙では自由緑の党が目立った成果を挙げました。反原子力を訴える大御所の緑の党や社会民主党よりも躍進した理由は何ですか。

ルッツ : 左寄りの緑の党や社会民主党でなくても、環境問題は有権者の心に訴えるものだ。

しかし、キリスト教民主党や急進民主党のような中道右派の政党は、反原子力という考えを全く無視してきた。こうした政党の支持者が自由緑の党になびいた。

swissinfo.ch : 敗北した政党の敗因は、原子力産業界と緊密な関係にあると思われたことですか。

ルッツ : それは短絡的な見方だ。それほど安易な結びつきはない。問題はもっと根本的なところにある。

これまで、こうした政党は本拠地では勢いがあったが、新しい支持者の獲得に失敗した。有権者に訴える明確で説得力のあるメッセージがなくなってしまったからだ。

急進民主党の場合、十日ほど前に原子力に対する姿勢を翻したことも状況をさらに難しくした。金融、医薬品、エネルギーといった業界のロビー団体として見られてしまうことが大きな問題だ。

swissinfo.ch : 右派の国民党 ( SVP/UDC ) は福島が与える影響すらも否定しようとしているのに、なぜ州選挙では敗北しなかったのですか。

ルッツ : おそらく、有権者は移民、難民、欧州連合 ( EU ) への非加盟という問題の方に関心があるからだろう。これらは国民党が力を入れている議題で、この姿勢は総選挙まで変わらないだろう。

swissinfo.ch : 10月の総選 挙に福島の影響はありますか。

ルッツ : 今回の原発事故は政治の流れを非常に変えた。それまで、選挙戦の焦点は移民とEUになると考えられていたが、今では原子力とエネルギー政策になった。

秋までには原子力の話題はいくらか早急性を失うかもしれないが、日本の大惨事を目の前にして、この議題が政策決定から外れるとは考えにくい。

swissinfo.ch : 現在の政策論争で最も恩恵を受けているのは草の根の反原発運動という可能性はありますか。

ルッツ : 反原発運動は再燃している。もし電力会社が急に「これまで通りのビジネス」に戻り、電力源に再び原子力を推進するような動きを見せればなおさらだ。

また、原子力を推進してきた中道右派と右派の政党が以前の立場に戻り、議論が行き詰まるようなら、反原発運動はさらに加熱するだろう。

州議会選挙の結果

チューリヒ州、ルツェルン州、バーゼルラント州で開かれた州選挙で、緑の党 ( GPS/Les Verts ) から分裂した自由緑の党 ( Grünliberale/Vert’libéraux

) の投票率は最大5.9%。ティチーノ州では伸び悩む。

緑の党と社会民主党 ( SP/PS ) は3州で劣勢または変化なし。ティチーノ州では緑の党の得票率は2007年比3.4ポイント増、社会民主党は3.9ポイント減。

急進民主党 ( FDP/PLR )とキリスト教民主党 ( CVP/PDC ) の各得票率は最大5.9ポイント減と6ポイント減。

国民党 ( SVP/UDC ) の増減幅は-0.9~+3.2ポイント。

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政党とエネルギー政策

緑の党は脱原子力を求めるイニシアチブを発足。

自由緑の党は非再生可能エネルギーへの課税を提案中。

社会民主党は環境にやさしいエネルギーを推奨するキャンペーンを実施。

キリスト教民主党は連邦政府にエネルギー政策の再検討を要請。新しい原発建設計画の停止を支持。

急進民主党はエネルギー政策の見直しを拒否していたが、現在はこの方針を変更。

国民党は福島の事故はスイスに関係ないとし、政策変更は不必要との見方。

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