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飲料水から抗生物質検出

連邦環境科学技術研究所の調査によると、家畜の治療に使用された抗生物質が土壌に浸透し飲料水を汚染していることが明らかになった。また、農地に撒布された肥料に含まれる抗生物質が土中の細菌の抗体を強め、その細菌が飲料水に混じっていることも判明した。

連邦環境科学技術研究所のステファン・ミュラー水・農業部長によると、同研究所では肥料などに含まれる抗生物質が土壌に浸透し、飲料水など食品連鎖へ入り込む可能性について研究している。同研究所が分析した農地のサンプルからは、水に溶けにくい抗生物質のサルファ剤が0.002%検出された。これは、農地1ヘクタールにつき抗生物質1kgで汚染されていることを意味する。スイスでは家畜の飼料に抗生物質を使用することは禁止されている。が、家畜の病気治療のための抗生物質使用が増加しており、飼料で抗生物質使用を禁止しても土や水の汚染においては全体量として相殺されてしまうことが明らかになった。

さらに、同研究所の調査から、土に浸透した抗生物質が家畜の病原菌である土中の細菌の抗体を化学物質が効かないほど強化していることも判明した。

世界自然保護基金(WWF)は昨年、スイスの河川はホルモンや肥料、抗生物質、香料などの化学物質で汚染されており人体への影響が懸念されるとの報告書を刊行した。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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