仏裁判所でのUBSの控訴審は11月4日に始まると報じられている
Keystone / Ennio Leanza
スイスの銀行最大手UBSは、脱税・マネーロンダリング(資金洗浄)疑惑でフランス当局に課された35億ユーロ(約4200億円)の罰金を捻出するため、5億1600万ドル(約562億円)の引当金を新たに積んだ。
このコンテンツが公開されたのは、
UBSが22日、7~9月期決算発表で明らかにした。フランスの裁判所は2月、同行に35億ユーロの罰金と8億ユーロの損害賠償を命じた。UBSがフランスの子会社とともに2004~12年にフランス人顧客の脱税・資金洗浄に関わった容疑だ。
UBSは罰金命令を拒否しているが、7~9月期決算でこの問題に不確実性が高まっているとし、また最終的な罰金総額が同行の今の引当金を上回る可能性があると報告した。
スイスの経済紙ハンデルス・ツァイトゥングによると、UBSの控訴審が11月4日にパリで始まる。最終的な判決が下るまでに数年かかる可能性もある。
米国では、2008年の金融危機に端を発する不審な住宅ローン担保証券(RMBS)などUBSの関わった事件が未解決のままだ。UBSは問題視されたローンの主な発行者ではないことを考慮し、法定外の合意を放棄した。UBSは訴訟で争うために提示された金額は「適切」だとするが、具体的な金額は開示していない。
あらゆる司法闘争や罰金に充てられる引当金の合計金額は前期から大きく変わっていない。6月末の25億1千万ドルから、9月末には25億ドルに微減した。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイス最高裁、仏当局へのUBS顧客データの移転を承認
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所は、スイスの銀行UBSの約4万人の顧客に関するデータをフランスの税務当局に引き渡すべきであるとの判決を下した。この決定は、顧客の情報を口外しない秘密主義を守ってきたスイスの銀行業界にとって大きな意味を持つ。
もっと読む スイス最高裁、仏当局へのUBS顧客データの移転を承認
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
続きを読む
おすすめの記事
スイス銀行の秘密主義はゴーン口座を守るのか
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行は顧客の情報を国家権力にも明かさないことで知られ、世界中から資産を集めて金融国家にのし上がった。そのスイスが今、日本の経済界を揺るがした大スキャンダルの捜査協力に乗り出している。秘密主義の看板は10年前に下ろされたが、スイスの秘匿体質は本当に変わったのか?
もっと読む スイス銀行の秘密主義はゴーン口座を守るのか
おすすめの記事
UBS、資金洗浄疑惑で2.6億円罰金
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行UBSは、従業員によるマネーロンダリング(資金洗浄)に対するイタリア当局の捜査を終わらせるため、215万5千ユーロ(約2億6千万円)の罰金を支払うことに同意した。
もっと読む UBS、資金洗浄疑惑で2.6億円罰金
おすすめの記事
UBS、産休で長期のボーナス減額 女性行員ら反発
このコンテンツが公開されたのは、
産休を取得した女性のボーナスを何年にもわたり減額する。そんな慣例が存在するスイスの金融最大手UBSで、女性キャリア行員たちからの批判の声が高まっている。ジェンダー平等に対する同行の姿勢も問われる問題だ。
もっと読む UBS、産休で長期のボーナス減額 女性行員ら反発
おすすめの記事
クレディ・スイスのスキャンダル、COOが引責辞任 関係者は自殺
このコンテンツが公開されたのは、
スイス第2のウェルスマネジメント事業を抱えるクレディ・スイス(CS)の内偵スキャンダルがスイスのプライベートバンク界を震撼させている。CSのウルス・ローナー会長は今回の事件がスイスの金融業界の名声を傷つけたと陳謝した。
もっと読む クレディ・スイスのスキャンダル、COOが引責辞任 関係者は自殺
おすすめの記事
スイス大手銀行がCEOの報酬上限を1億円に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス第3のライファイゼン銀行が、7月1日から最高経営者(CEO)の年間報酬を上限100万フラン(約1億1千万円)にする。同行が15日、ヴァレー(ヴァリス)州クラン・モンタナで開かれた株主総会で発表した。
もっと読む スイス大手銀行がCEOの報酬上限を1億円に
おすすめの記事
スイス最大の銀行UBSが救われた日
このコンテンツが公開されたのは、
10年前に起こった金融危機は、米国市場でハイリスクな拡大戦略を展開していたスイス最大の銀行UBSに大打撃を与えた。幸いスイス政府とスイス国立銀行が発動したUBSの救済計画が成功し、政府と中央銀行はこの苦境から収益さえ生み出した。
もっと読む スイス最大の銀行UBSが救われた日
おすすめの記事
スイス大手行、アジア市場で苦戦
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大銀行にとってアジア市場は欠かせない存在だ。だがそこで成果を上げるのはそう簡単ではなくなった。
もっと読む スイス大手行、アジア市場で苦戦
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。