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風を楽しむ季節 - 二輪車に乗って

グリムゼル峠からフルカ峠まで見渡す

(swissinfo.ch)

スイスに待ちに待った夏がやってきた。湿度が少なく爽やかな夏は、アウトドアの季節でもある。道路にはバイクや自転車に乗って夏を楽しむ人が増える。前回は自動車のことを書いたので、今日は二輪車に焦点をあてて書いてみたいと思う。

 自動車に乗る時にはあまり気に留めない標識がある。高速道路の入口で見かけることが多い標識で、冬季は閉鎖される峠に至る道が開通しているかどうかが表示されている。開いている場合は緑色、閉まっているときは赤い地色なので自動車やバイクに乗ってスピードが出ていても判別しやすい。毎年、この時期に赤から緑色になる。

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 高速道路を使いアルプス山脈を越えて南側へと行く場合、ゴッタルドトンネル(Gotthardtunnel)やサン・ベルナルディーノトンネル(San Bernardino tunnel)で通年行き来が可能だ。ただし、高速道路を通行できる車種に限られている。時速40km以上で走ってはならない原付二輪車や自転車でアルプス山脈を超えたい人は、一般道を使い峠越えをしなくてはならない。だから峠を通れるかどうかはとても重要なのだ。

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 私の近所には、スポーツとしてマウンテンバイクを嗜む人が多い。健康維持と趣味を兼ねているらしいが、自転車でアルプス山脈を越えている。ちょっとした坂道でふうふう言っている私とは大違いだ。山がすぐ近くにあるせいか、週末ごとにマウンテンバイクで出かける人たちが多い。スイス自転車愛好家協会(PRO VELO Switzerland)のサイトによると人口約800万のスイスで所有されている自転車は約400万台ということだ。

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 スイスに移住して最初の年に、シティバイクでサン・ベルナルディーノ峠まで登ってきたおそらく70歳代の男性を見てとても驚いた。東京の坂道ですら降りて押さないと登れなかった私には、そんなことは到底不可能に思えたからだ。その方が特別なのかと思ったが、その後13年間で何回か同じような人を見かけている。筋力を鍛えればおそらく可能なのだろう。

(swissinfo.ch)

 マウンテンバイクで山越えをする隣人や同僚たちも、もともとスポーツ選手だったわけではない。普段はオフィスに勤めている人たちでも、毎週のように訓練をしているうちに、2000mもの標高を登る筋力がつくようだ。

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 マウンテンバイクで山から降りてくる人たちのスピードはかなりのもので、危険なので多くの人びとはヘルメットをはじめとした安全対策を怠らない。彼らだけではなく、私のように通勤のため一般道をノロノロと走る場合も、安全のためヘルメットの着用が強く推奨されている。

 私と連れ合いは休日に自転車で出かけることも多いが、山越えをするほど体を鍛えてはいない。もっぱら平坦なライン川沿いでサイクリングを楽しんでいる。峠を越える時は、モーターバイクかモーファ(Mofa)というペダルのついた原付二輪だ。

 自動車ででかければ、厚着をする必要もないし疲れないので体は楽だが、自然の中を風を感じながら二輪車で走る開放感と爽やかさはこたえられない。冬が長くシーズンは五ヶ月ほどしかないため、夏の間は可能な限りツーリングを楽しんでいる。

 同じ趣味を持つ人たちと出逢い、交流を持つ楽しみもある。アルブラ峠(Albulapass)、グリムゼル峠(Grimselpass)などでは、絶景やコーヒーを楽しむためにバイカーたちは停車するが、同時にお互いのマシンを見せあう交流の場になっている。

 また、オールドタイマーのバイクを所有する人たちや、同じ機種を持つ人たちが一堂に会する集会も週末ごとにあちこちで開かれている。昨年の秋に我が家のすぐ側のボナドゥーツ(Bonaduz)で開かれたYAMAHAのTénéréという機種の愛好家の集いでは、スイス中からだけではなくヨーロッパ中のライダーたちと会うことができた。ロシアから一週間かけてやってきたという人もいた。

 二輪車のシーズンは始まったばかり。今年はどんな景色を見て、どんな人たちと出会うことができるか、今から楽しみである。

ソリーヴァ江口葵

プロフィール:ソリーヴァ江口葵

東京都出身。2001年よりグラウビュンデン州ドムレシュク谷のシルス村に在住。夫と二人暮らしで、職業はプログラマー。趣味は旅行と音楽鑑賞。自然が好きで、静かな田舎の村暮らしを楽しんでいます。

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