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 宗教改革博物館 ジュネーブで開館

この宴会室で予定説をめぐる、カルヴァンたち神学者の論争をオーディオガイド(英、独、仏語)で聞くことができる。

(Lightmotif/Christoph Blatt/宗教改革博物館提供)

フランス語で「カルヴァンの都市」(la cité de Calvin)と呼ばれるジュネーブ。この別名にふさわしい、待望の宗教改革博物館が旧市街にオープンした。

博物館は1536年5月21日に宗教改革が承認されたという象徴的な場所にある。昔、サンピエール聖堂の回廊だった場所に建てられたマイエ邸の1階を借りている。マイエ邸の現在の家主はプロテスタント教会という面白い偶然だ。

場所の由来

 宗教改革博物館を運営する財団が選んだマイエ邸(la maison Maillet)はサン・ピエール聖堂の横にある。教会の敷地を買い取ったユグノー(旧教徒側からのカルヴァン派新教徒の蔑称が通称になった呼び名)で銀行家のゲデオン・マイエ氏が1723年に建てたお屋敷だ。パリの建築家、ジャン=フランソワ・ブロンデルが建てた優美なフランス式建築は当時、質実剛健を美徳とするプロテスタントの非難の的になったとか。

銀行都市ジュネーブのルーツ

 博物館の開館式で200万フラン(約1億8千万円)を出資したピクテ銀行のシャルル・ピクテ氏は「宗教改革がなかったとしたら現在のジュネーブは考えられません。改革で当時の西欧のエリートが集まったからこそ、多様な面での知識が蓄積され、制度や企業が発達しました。ジュネーブの銀行だって例外ではありません。マイエ、カンドール、トゥレッティーニなど全てユグノーの子孫が作ったのです」と語った。

 実際、マイエ邸のマイエ氏も実業家であり、銀行員だった。「ナントの勅令」の廃止(1685年)でフランスのパリから逃げてきたのだ。「ナントの勅令」はフランス王アンリ4世が1598年にナントで発布した勅令で新教徒ユグノーに信仰の自由を認めたものだ。これをルイ14世が廃止したため、多くのユグノーが国外に亡命したのだ。

 ジュネーブは1550年頃から欧州中のプロテスタント宗教難民の避難所となった。このため1550年には10万人だった人口が、10年後の1560年には2倍の20万人に増加した。

博物館の見所

 博物館に入ると、美しい石畳の中庭に面した部屋に18世紀の調度品が置かれ歴史を感じさせる。初めてのフランス語のバイブル。1560年にジョン・ノックスによって訳された英語の聖書。「リヨンの教会堂」を描いた絵画。16世紀の新教の発展や宗教戦争を描いた版画など様々な様式で歴史に触れることができる。

 「カルヴァンとジュネーブ」がテーマの部屋ではカルヴァンの手書きの手紙や16世紀当時のジュネーブ全景の版画などが見られる。最も驚いたのはカルヴァンの授業を受けた生徒が紙切れに描いた落書きだ。残っているカルヴァンの肖像にそっくりだった。

館長は牧師さん

 応接間に設置されているビデオで宗教改革の歴史を子供向けに簡単に説明してくれる。18世紀のサロンに掛かっている鏡に突然、ルターとカルヴァンの肖像が現れ、話し始めるのは遊び心に溢れていて面白い。

 「プロテスタントの厳しくって面白くないというイメージを払拭したかった」と語るのは館長のイザベル・グラスレ博士。財団に抜擢されたグラスレ氏は神学のドクターであり、なんと女性の牧師さんでもある。宗教改革博物館は展示の他に宗教に関する討論会など催される予定の“現代的”なアプローチの歴史博物館なのである。


swissinfo  屋山明乃(ややまあけの)

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宗教改革博物館は旧市街のサン・ピエール聖堂の隣のマイエ邸に4月中旬から開館。火曜〜日曜、10時〜17時まで。月曜休館。住所は2-4 rue du Cloître。入場料10フラン(約900円)。

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補足情報

 ジャン・カルヴァン(Jean Calvin / 1509年〜1564年)

- フランスの神学者。フランスではルターが始めた宗教改革、福音主義は危険思想として弾圧されたため、新教都市バーゼルへ逃れる。そこで主著『キリスト教網要』を著した(1536年)。魂の救済は、人間の意志によるのでなく、神によって最初から決められているという「予定説」を説く。カルヴァンは教会制度・組織の改革だけでなく、市民の風習の改革である質素倹約の禁欲生活、勤労を奨励し、蓄財を肯定した。このため、当時の新興の市民階級に広まり、資本主義の発展に影響を与えたと言われる。ジュネーブではカルヴァン主義による神政政治が敷かれプロテスタントの牙城となった。

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