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192カ国に課せられた人権審査

Keystone

2006年に創設された国連人権理事会は、全国連加盟国192カ国の人権状況を4年間で審査する新しい制度「普遍的定期審査 」 を今春スタートさせた。

このコンテンツは 2008/05/13 15:37

5月5~19日の第2回セッションでは、スイス、日本、パキスタンなど16カ国が審査台に上る。

「普遍的定期審査 ( Universal Periodic Review・UPR ) 」は、世界で初めての、普遍的かつ平等な人権審査として注目されている。審査前に「政府の人権状況報告書」、「国連の人権条約機関の報告書」、「NGOの報告書」の3種の性質の異なる資料が作成され、これらを基に各国は被審査国の人権に関し質問、勧告を行う。途上国も枠にとらわれず先進国の人権問題を指摘する制度で、「開かれた、建設的な形で各国に人権改善を行わせるもの。また他国の状況を理解できる貴重な機会にもなる」と国連人権理事会 ( H R C ) の創設に貢献したスイスのミシュリン・カルミ・レ外相は高く評価した。

スイス、外国人差別が焦点

5月8日に審査を受けたスイスは、カルミ・レ外相を団長にした20人の関係担当官が審査に臨んだ。人道援助などに積極的なスイスだが、人権では多くの指摘を受け、外相の冒頭スピーチの後、40カ国が質問、勧告を行った。

多くの国が、いくつかの政党による外国人嫌いを扇動する言動や人種差別的な発言を問題にし、スイスには外国人嫌いの空気が濃くなっていると指摘した。また、エジプト、イギリス、フランスなどから、外国人差別を禁止する連邦法の制定を勧告する発言が行われた。

カルミ・レ外相は、
「特別な法律は必要ではない。教育なども含め、現在、各関係部門が行っている対策で十分だ」
と応じた。また、フランス、カナダ、アルジェリアなどから指摘された連邦による人権機関の創設に関しては、外務省がワーキンググループを立ち上げ検討していると答えた。

3時間に及ぶ審査の後、カルミ・レ外相は、
「スイスは人権問題で優等生の座に着いているわけではない。これからも国連加盟国との開かれた対話を続けていく」
と宣言した。

強く求められた死刑制度の廃止

日本に対しては9日に審査が行われ、秋元義孝 ( よしたか ) 外務省総合代表政策局審議官が代表として冒頭演説を行い、人権教育なども含め、児童、女性、障害者、高齢者などの人権保護での改善状況を報告した。その後、42カ国が質問と勧告を行った。

イギリス、フランス、ルクセンブルクなど、ヨーロッパを中心に 十数カ国が死刑制度の廃止や、昨年国連総会で採択された、死刑を一時停止するモラトリアム決議の受け入れを日本政府に勧告した。また、韓国、フランスなどから従軍軍慰安婦問題、ベルギー、カナダなどから代用監獄問題 ( 被疑者が拘置所の代わりに警察の留置所に拘留される ) が指摘された。

死刑制度廃止や代用監獄廃止を支持してきた日弁連は、
「外交政策などにも関わる極めて政治的な人権問題において、40を超える国がその国を代表して、死刑制度廃止などを勧告した意義は大きい」
と、UPRのメカニズムを高く評価した。

秋元審議官は締めくくりに、
「UPRは、世界各国の人権状況をより良くするためのメカニズムとして育てていく必要がある。そのために各国が努力すべきで、日本も建設的な報告ができた。また日本の人権問題が国際的視点から見直されるという点で、非常に有意義であった」
と語った。

9日に行われた審査の報告書は、人権問題を勧告した国とその発言内容を中心にした議事録で、5月14日に採択される。

swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

普遍的定期審査 ( UPR )

国連人権理事会 ( HRC ) が行う全国連加盟国192カ国の人権状況を4年間で審査する新しい制度。各国の人権を、普遍的かつ平等に審査する制度。

第1回セッションは4月7~18日で、イギリス、ブラジル、南ア、モロッコなどの16カ国、第2回は5月5~19日で、パキスタン、フランス、スイス、日本などの16カ国が審査を受ける。最終の第12回セッションは、2011年に予定されている。

審査前に、被審査国は自己評価である「政府の人権状況報告書」を提出。国連人権高等弁務官事務所 ( OHCHR ) が「国連の人権条約機関の報告書」、「NGOの報告書」を用意する。これらの3種の性質が異なる資料を基に、国連加盟国は被審査国の人権に関し、質問、勧告を行う。

1国に関し3時間に及ぶ審査が行われる。会期中は1日に午前、午後と2カ国が審査を受ける。審査終了から48時間後に、報告書が作成され採択される。その後の人権理事会本会合で審査の結果文書が採択される。

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