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スイスの視点で振り返る日本関連の記事

スイスのメディアが報じた日本のニュース

燃え上がるJALの機体
Keystone

スイスの主要報道機関が先週(1月2日〜1月8日)伝えた日本関連のニュースから、3件をピックアップ。要約して紹介します。

【スイスで報道されたトピック】

  • 能登地震(1/1~1/8)
  • 建築家・保坂猛氏の極小ハウス(1/1)
  • JAL機と海上保安庁機が衝突事故(1/2~1/8)
  • 日本株式市場が記録的な上昇を見せる5つの理由(1/2)
  • 特務機関NERV、API制限で地震後3時間自動投稿できず(1/3)
  • 漫画「キャプテン翼」の連載終了へ(1/5)
  • 幸せのレシピ「イキガイ」とは(1/6)
  • 自民・池田佳隆氏 裏金疑惑で特捜部(1/7)
  • 上川外務大臣がウクライナを訪問(1/8)

この中から今回は①日本株式市場が記録的な上昇を見せる5つの理由②JAL機と海上保安庁機が衝突事故③能登地震をご紹介します。

日本株式市場が記録的な上昇を見せる5つの理由

2023年の日経平均株価は1年の間に約30%も上昇し、バブル期の高値まであと一歩の水準に到達しました。独語圏日刊紙NZZによると、専門家や株式ストラテジスト、投資家の多くが2024年の日本の株式市場について楽観的であり、一部では34年前のバブル期の株価記録さえも破るのではないかと言われています。

なぜ日本株式市場が記録的な上昇を見せるのか―― NZZの記事で、専門家が5つの理由を挙げました。1つ目は経済成長です。三井住友DSアセットマネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト白木久史氏は、2~3%の緩やかなインフレ、賃上げ、財政出動という好循環により、2024年の日本の成長率は2%を超える可能性があるとみています。

2つ目は金融政策です。2024年に起こると予想される日銀の低金利政策の放棄への警戒がにじむものの、急激な利上げが行われるとは誰も予想していません。日本のマネックス証券のエキスパート・ディレクター、イェスパー・コール氏は2024年末までに短期国債の金利が0.5%になると予想。しかし、実質金利はそれでもマイナスとなり、金利は名目成長率を下回ることになると説明しています。

3つ目に緩やかな円高は有害にはならないこと、4つ目には魅力的なバリュエーション(投資尺度)、5つ目には政府と東京証券取引所が長年推進してきたコーポレートガバナンスに係る政策の後押しが挙げられました。(出典:NZZ外部リンク/独語)

「羽田の奇跡」

羽田空港で2日、日本航空(JAL)機と海上保安庁の航空機が衝突した事故は多くのスイスメディアが報道。特に炎上したJAL機から乗客乗員379人全員が無事脱出できたことを「羽田の奇跡」「模範的な避難」「長年の訓練の賜物」と称賛しました。

独語圏スイス公共放送(SRF)は、横滑りした機体を機首で停止させ最後の乗客が下りるまで機内に残ったパイロット、冷静に避難の指示を出した客室乗務員、窓外に炎が広がり機内に煙が立ち込めるなか、手荷物をあきらめ冷静に指示に従った乗客たちが「羽田の奇跡」を生んだと伝えました。

独語圏日刊紙NZZは、JAL機が炭素繊維(カーボンファイバー)複合材を使用した新世代の民間航空機であったことに注目。以前の民間旅客機であれば出火後数分で完全に燃え尽きることもありましたが、今回は耐火性の強い素材のおかげで機体全体が燃え上がるまで25分以上かかったといいます。

さらに、乗客乗員520人が死亡した1985年の日航機墜落事故などを教訓として羽田空港に設立された「安全啓発センター」にも言及。ここでセミナーを受けるなどして安全意識を高めてきた客室乗務員による素晴らしい対応が、379人の救出を決定づけたとしました。(出典:SRF外部リンク/独語、NZZ外部リンク/独語、watson外部リンク/独語)

相次いで速報・詳報 能登地震

石川県能登地方で1日発生したマグニチュード7.6の地震についてもスイスの各メディアは速報で伝え、連日、最新の被害状況を報じています。2011年の東日本大震災で脱原発に舵を切ったスイスでは、やはり日本の地震に対する関心が大きく、独語圏日刊紙ターゲスアンツァイガーは写真を多数掲載した大型記事を配信しました。

オンラインニュースサイトwatsonは同じ強さの地震でも、5万人以上が犠牲となった1年前のトルコ・シリア地震と能登半島地震で被害の大きさが違う点に注目。スイス地震局のフロリアン・ハスリンガー副局長はこれには多くの要因があり、耐震構造や緊急サービスを迅速に動員できる国内インフラ、国民が十分な訓練を受けているかどうかが重要だと語りました。また能登半島では人口密度が低く、犠牲者数が比較的抑えられたとしました。

NZZは3日、日本市場最大の民間再保険会社で、総保険料収入の2%強を日本の損害保険料が占めるスイス再保険(本社・チューリヒ)を中心に、日本の地震保険事情を解説した記事を配信。日本の地震は、スイス再保険が財務的に備えなければならない5大リスクのうちの1つと評価されています。

NZZは記事で、今回の地震における保険業界の負担はそれほど重くならないだろうと評価。理由として▽地震は東京から数百キロ離れており、比較的、産業の少ない地域で発生した▽数十年にわたる日本の地震対策への努力が結実した▽地震保険に加入している建物は比較的少ない▽日本の地震対策は国によって一部規制されていることを挙げました。(NZZ外部リンク/独語、watson外部リンク/独語、ターゲスアンツァイガー外部リンク/独語)

話題になったスイスのニュース

先週、最も注目されたスイスのニュースは「2024年施行のスイスの新法・新規則」(記事/英語)でした。他に「新年恒例 スイス内閣閣僚の集合写真」(記事/日本語)、「2024年スイス大統領を務めるヴィオラ・アムヘルト氏はどんな人?」(記事/日本語)も良く読まれました。

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校正:宇田薫

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