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スイスの電力会社、再生可能エネルギーは国外で

スイスの電力政策に新たな課題が浮上 Keystone

スイスの電力会社は、国内での複雑な投資手続きや低い収益性から生まれた閉塞感を打開しようと、ほかのヨーロッパ諸国で発電設備への投資を強化している。

このコンテンツは 2011/06/29 15:00
ルイジ・ヨーリオ, swissinfo.ch

西スイスの大手電力会社EOSホールディング(EOS Holding)とベルン州のミューレベルク(Mühleberg)原発を運営するBKW(BKW FMB Energie AG)は5月下旬、ドイツにある88基の風力タービンとイタリアの2カ所のウィンドファーム(集中型風力発電所)を購入すると発表した。

「30年前は主にフランスなどの原発に投資していたが、ここ数年でガスや石炭を使用する火力発電への投資が大半を占めるようになった。また最近ではウィンドファームも投資対象となっている」と、スイス電力会社連盟(VSE/AES)のニコラス・ガイノズ氏は話す。

こうした動きはヨーロッパ中で見受けられるという。「ドイツの大手電力会社の例を挙げると、これらの会社はドイツ国内で巨額の資金を投資していたが、イギリスやオランダなどに投資の場を広げ始めた」

スイスの電力会社が国外で生産する電力はもっぱら再生不可能なものばかりだ。2010年8月の統計によれば、1年間で生産される電力量413億5000万キロワット時のうち95%が石炭やガスの火力発電か原発による電力だ。

スイスの電力会社はしかし、風力および太陽光源の電力市場は有力な選択肢と見ている。EOSホールディングのアレックス・フリーズ総裁は「我が社の国外投資は100%、再生可能エネルギーだ」と語る。

官僚主義

再生可能エネルギー源による電力は80の発電設備で生産され、BKWは昨年その電力の供給を始めた。しかしその設備の8割は国外にある。なぜ再生可能エネルギー源による電力の大半が国外で生産されるのか。BKWは、再生可能エネルギーに反対する声が徐々に上がっていること、また官僚主義が理由だと主張する。

BKWの広報担当アントニオ・ソマヴィラ氏は「スイス国内を中心に投資したいとは思っているが、容易ではない」と話す。国内では難点が多く、BKWはウィンドファームでの電力生産目標を低く設定したという。

スイス電力会社連盟のガイノズ氏は、スイス国内にはウィンドファームに対して強い反対があるだけでなく、それを建設するスペースも限られていると説明する。またウィンドファーム建設には地主との交渉から始めて基地が電力供給できるまで平均して5年かかる。だが「ブルガリアなら2年で済む」。

再生可能エネルギーには風力や太陽光のほかに水力も含まれるが、水力発電の開発による環境破壊を危惧し、抗告制度を利用して開発計画を阻止しようとする環境団体は多い。電力会社はこうした環境団体の行動を批判するが、当の環境団体はそれを否定する。グリーンピース(Greenpeace)は電力会社に対し、電力業界が再生可能エネルギーに投資を行わないのは経済的な理由によると主張する。

電力資源としての太陽

「スイスにおける太陽エネルギー活用の可能性は極めて大きい。だがそれを利用するとなると、利幅の薄い小型設備に多数投資しなければならないため、電力会社は太陽エネルギーに乗り気ではない」とグリーンピース・スイス支部の広報担当フロリアン・カッサー氏は話す。「電力会社はむしろ大型の発電所で膨大な電力量を生産することを望んでいる」

再生可能エネルギー関連会社からなる「再生可能エネルギー・エネルギー効率機関(AEE)」のシュテファン・バッツリ氏は、「法律がもっと明確になれば電力会社はスイスでの投資を増やすだろう」と確信している。「政治家はもっと対策に力を入れて再生可能エネルギーを促進するべきだ。そうすれば認可手続きも簡略化されるだろう。国内市場が魅力的となるには2、3年の期間を見積もらなければならない」

企業の国外市場進出はスイスにとって不利益になるだけではないとバッツリ氏は言う。「電力会社は、電力基盤をヨーロッパに広げれば数年後により多くの電力を輸入できると見込んでいる」

原発を電力供給網から外すことを決定したスイス。電力需要を賄うには、国内と国外の両方を視野に入れて解決策を見つけなければならない。

問題の多い火力発電

グラウビュンデン州に本社を構える電力会社「リパワー(Repower)」とその関連会社SEIは、石炭を燃料とする火力発電所を南イタリアのサリーネ・ヨーニケ(Saline Joniche)に建設予定だ。

建設には政治家や地元住民、観光業関連の小企業が反対している。反対派は、リパワーは発電所が排出する有害物質量について事実を説明していないと不満をあらわにしている。

一方リパワーは、建設は法にのっとって行われ、また有害物質の排出量も正確に発表していると主張。

イタリア政府は100万kW以上の発電所建設の最終決定権を有し、今回の例はそれに該当する。

環境影響評価の結果、イタリア環境省は今回の建設計画を承認。世界野生生物基金(WWF)イタリア支部はそれでもなお計画を阻止しようとしている。

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スイスの電力量

スイスの電力会社が国外で運営する発電所は年間413億5000万キロワット時(kWh)の電力を生産する。

そのうち再生不可能なエネルギーを用いた電力は224億5000万kWhで、175億2000万kWhは原発による。再生可能エネルギー源による電力は13億9000万kWh。(2010年8月の統計より)

国内で2010年に生産された電力量は663億kWh。その半分以上が水力発電(375億kWh)で、原発は252億kWh。

出典:連邦エネルギー省エネルギー局(BFE/OFEN)

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