スイスとシンガポールの金融業界は、長年密接な関係を築いてきた
Keystone / How Hwee Young
スイス最大の証券取引所を運営するSIXグループは、日本のSBIホールディングス(HD)と共にシンガポールでデジタル資産の取引所を開設する。
このコンテンツが公開されたのは、
SIXの子会社、スイスデジタル取引所(SDX)は8日、SBIの子会社でデジタル金融事業を手掛けるSBIデジタルアセットホールディングスと提携し、アジアに進出すると発表外部リンクした。デジタル証券取引所を2022年に開設すべく、現地の規制当局であるシンガポール金融管理局(MAS)に営業許可を申請している。
スイスはブロックチェーンや分散型台帳技術(DLT)分野の開発を国を挙げて推進している。これらの技術により、株式など様々な金融資産をより効率的に発行・取引できるようになる。美術品や高級ワイン、クラシックカーなどをデジタル化して取引することも可能になる。
資産のデジタル化は一部で実現しているが、SBIデジタルアセットHDのフェルナンド・ルイス・バスケス・カオ最高経営責任者(CEO)は、当局の監督下で安心して売買できる取引所は存在しないと指摘。声明で「デジタル資産が持つ利点は、世界をリードする金融機関の間で理解が広がっている。だが市場で成功するための大きなハードルの1つは、流動性を高めるための体系的なデジタル市場インフラがあるかどうかだ」と述べた。
SBI外部リンクは日本で最大の私設取引所であるジャパンネクスト証券に出資し、大阪でのデジタル取引所開設を計画している。10月にはスイスの仮想通貨銀行シグナムとも提携外部リンクし、欧州やアジアのフィンテック企業を対象とした7500万ドルの投資ファンドを立ち上げた。
シグナムはデジタル資産のカストディー(保管・管理)企業Custodigitの共同所有者として、SIXが国内での開設を目指すSDX構想に参画している。SIXは7日、Custodigitに出資したと発表外部リンク。シグナムはデジタル資産を発行・取引するための私設取引所を設けている。
SDX構想は2018年に立ち上げられたが、開設時期は当初予定の2019年半ばからたびたび延長されている。スイス金融当局の許可が下りれば、2021年前半にも運営を始める。
SIXはスイス国立銀行(中央銀行)らとともに、証券取引所などで使える「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」を発行する実証事業にも参画した。
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
スイス証券取引所が暗号資産時代に焦点を合わせるわけ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所が仮想通貨など暗号資産取引へのシフトアップを図っている。時代を先取るこの波に乗ろうとしている取引プラットフォームは数多い。その背景を探ってみた。
もっと読む スイス証券取引所が暗号資産時代に焦点を合わせるわけ
おすすめの記事
スイス、暗号資産の活路開く法改正
このコンテンツが公開されたのは、
フィンテック国家を目指すスイスが、暗号通貨やブロックチェーン技術を主流に乗せるための法改正に踏み切った。
もっと読む スイス、暗号資産の活路開く法改正
おすすめの記事
日本のネット企業がスイスのICO市場に進出
このコンテンツが公開されたのは、
日本のスタートアップ企業グローバルウェイが海外で独自の仮想通貨の発行に乗り出す。国際展開の舞台に選んだのは、フィンテック先進国を目指すスイス。クリプト・バレー(暗号の谷)と呼ばれるツーク州に子会社を設立し、仮想通貨を利用した資金調達「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」を申請する予定だ。
もっと読む 日本のネット企業がスイスのICO市場に進出
おすすめの記事
スイスの暗号資産取引所、責任者が辞任
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで世界初の公認暗号資産取引所を開設する計画が内部不和に揺れている。プラットフォームの仕様をめぐる意見がかみ合わず、開発責任者のマルティン・ハルプラウプ氏が着任からわずか8カ月で辞任することになった。
もっと読む スイスの暗号資産取引所、責任者が辞任
オピニオン
おすすめの記事
仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ツーク州にはフィンテック関連企業が多く進出し、「クリプトバレー(暗号の谷)」と呼ばれている。各国当局が暗号(仮想)通貨ビジネスの振興と規制の間で揺れるなか、両者のバランスを取りながらクリプトバレーの成功に賭けるスイスの姿勢は注目に値する。
もっと読む 仮想通貨の「振興」と「規制」を両立するスイス クリプトバレーは成功するか
おすすめの記事
スイス人もコロナでついに現金離れ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス人は現金好きだ。だが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で現金払いを控え、非接触型の決済に移行する人が増えている。コロナ危機が収束してからもこの傾向は続くのか?
もっと読む スイス人もコロナでついに現金離れ?
おすすめの記事
スイス中銀、デジタル通貨の発行に向け一歩前進
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)は3日、証券取引所での決済など利用を限定したデジタル法定通貨の試験事業に成功したと発表した。ただ実用化のめどは立っていない。
もっと読む スイス中銀、デジタル通貨の発行に向け一歩前進
おすすめの記事
スイス、仮想通貨企業に初の銀行業の許可
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融当局は26日、暗号資産の取り扱い企業SEBAとSygnumの 2社に初めて銀行業の許可を与えた。両社がホームページで発表した。
もっと読む スイス、仮想通貨企業に初の銀行業の許可
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。