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ソマリア大飢饉 多国籍企業が開発協力に参加

連邦外務省開発協力局(DEZA/DDC)はソマリアの人道災害に対して独自のプロジェクトを実施。さらにほかの国際援助機関も支援している Reuters

飢饉、戦争、大災害。アフリカに危機が迫る中、連邦外務省開発協力局(DEZA/DDC)は創立50周年を迎えた。

このコンテンツは 2011/08/19 15:00
エティエンヌ・シュトレーベル, swissinfo.ch

多国籍企業との開発協力、および未来の開発協力の在り方についてマルティン・ダーヒンデン局長に話を聞いた。

swissinfo.ch : ソマリアで大飢饉(だいききん)が起きていますが、悲惨な光景を目にしてどのように感じていらっしゃいますか。

ダーヒンデン : 「アフリカの角」地域(アフリカ大陸東端)の光景や報告には衝撃を受けている。救援所に行くまでに命を落としてしてしまう人々がいるということを聞いて、少しのお金があればこれらの人々を救うこともできたのに、それさえもままならないということを思い知らされる。

swissinfo.ch : 開発協力局(DEZA/DDC)はこの問題に対してどのように取り組むのでしょうか。

ダーヒンデン : まず、打開策を考えることが一つの課題。しかし、これを実現させるのもまた別のもう一つの課題だ。スイスはこれまでの人道的活動の伝統を守り、援助を行っている。しかし、この地域の膨大な需要をカバーするためには、我々の資金だけでは不十分だ。

また、短期的な人道支援の枠を超えて、貧窮の原因、特に地域内紛争をどのように食い止めることができるかを考え、さらに人々が仕事と収入を得て、この危機的状況を克服できるように努めなければならない。

swissinfo.ch : スイスはソマリアでどういった援助を行っていますか。

ダーヒンデン : スイスは独自に政策を立て活動している。一方で、国際機関、特に赤十字国際委員会(ICRC)や国連の世界食糧計画(WFP)および国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も支援している。これらの機関は非常に過酷な環境の下で人々を保護し、合理的に支援活動を行うことを目指している。 

swissinfo.ch : 開発協力局は将来、さらに集中的に多国籍企業と共同開発を行う計画ですが、どの企業と支援を進めていくのでしょうか。

ダーヒンデン : 世界はグローバル化によって劇的な変化を遂げている。そのため開発協力を行う上で新たな課題が生じてくるが、これは新しいパートナーシップによってのみ解決できるものだ。

対象になっているのは、インドや中国といった国だ。両国は開発協力で次第に重要な役割を果たすようになってきている。

さらに民間企業も開発援助に参加している。我々は、国際的なスイスの企業、例えば、ノバルティス(Novartis)、ネスレ(Nestlé)、チューリヒ・ファイナンシャル(Zurich Financial )と共同で支援を行っている。

swissinfo.ch : これらの企業と共同開発を行うことでどのような利点があるのでしょうか。

ダーヒンデン : まず、共通した目的がある。そして多国籍企業は大抵、われわれが持ち合わせていない生産設備や専門的知識を兼ね備えている。例えば保険分野における企業の専門知識は有益だ。

一方、我々政府機関の役割は、現地の状況や貧窮にあえぐ人々について正確な知識を与えることだ。こういった事情からパートナーシップが生まれた。

swissinfo.ch : 保険システムについて例を挙げて説明していただけますか。

ダーヒンデン : 開発協力が必要な国には、収入を生み出す経済活動がほとんどない。経済活動を営もうとしてもリスクが伴うため、容易に実行できないからだ。例えば、農業では干ばつによってすべての農作物を失うというリスクが生じるが、長い間アフリカ諸国では、農業分野の損害をカバーするために保険を利用するという選択肢がなかった。

そこでこの分野において、チューリヒ・ファイナンシャル・サービスとパートナーシップを組んだ。解決策となる保険は特別なリスクに対処できると同時に、現地の人々がその負担に耐えることができるものでなければならない。そのためには、この保険を一般の大きな市場用に適用するわけにはいかない。既に市場に存在している保険を販売するのではないということだ。

我々の目的は現地の経済活動を可能にし、人々が仕事と収入を得ることができるように手助けすることだ。

swissinfo.ch : 保険会社が利益を得られなくてもよいのですか。

ダーヒンデン : 当然、利益があった方が良い。しかし、現地の人々が自活でき、我々もいずれ現地から引き上げることができるような解決策を探さなければならない。こういった考えは特別新しいというわけではなく、中世に、既に類似の形態のものが存在していた。例えば、船主がたった1隻しか船を所有していない場合、(ビジネスをするには)リスクが大きすぎる。そのため、損失を総体的に防ぐことができるように保険という制度が生まれた。

今日もなお非常に貧しい人々が暮らす地域では、環境が悪化したときにほかの地域よりもさらに大きな打撃を受ける可能性があるため、保険を掛けるという考えは重要だ。

swissinfo.ch : 開発協力を行う上でパートナーシップの多国籍企業に求める規則はありますか。

ダーヒンデン : 規則はある。まず、我々は人権や労働法を犯す企業とは組まない。開発協力局は、持続性、公正な取引、人権擁護を方針として定めた国際的なイニシアチブにも参加している。

なかでも最も重要なものは、持続可能かつ包括的なグローバル経済の実現を目指す国際連合(UN)の「グローバル・コンパクト(Grobal Compact)」だ。この枠組みで多くの多国籍企業が開発協力に参加している。また、これらの企業は自動的に国連機関の監視下に置かれる。

swissinfo.ch : 開発協力の未来についてどうお考えでしょうか。何が変化していくのでしょうか。

ダーヒンデン : 今や世界は大きく変化しているため、貧困に関するテーマも変化している。将来は他国との対立関係や紛争が続くという過酷な環境下でさらに精力的に支援を行っていかなければならない。

しかし、過去数年間でこの地域の貧困撲滅はほぼ不可能だということが明らかになった。

それに加え、世界全体に関わる新たな問題にも取り組まなければならない。例えば、気候変動、世界規模の移民、食料安全保障、衛生的な水などの資源不足といった問題だ。これらの問題は現地の私設プロジェクトにはほとんど解決することができないため、開発協力局はこれからも国際開発機関と支援を行っていくことになるだろう。

将来的にはアフリカ諸国を開発プロジェクトに組み入れ、それらの国々が問題解決のために責任の一端を担うようなシステムを作り上げなければならない。現在はその実現に向けて他国や国際機関、NGO、研究所と緊密な関係の中で開発協力を行っている。

こういった試みによって開発協力の在り方は変わるだろう。しかし、全てが変わるわけではない。開発協力局は創立以来、革新的で創造的な機関であり続け、常に現地の住民と共に緊密な関わりながら開発援助を行ってきた。また、援助活動に伴う問題も理解している。これは将来も引き続き重要な基本原理となるだろう。

連邦外務省開発協力局(DEZA/DDC)について

連邦外務省(EDA/DFAE)の国際開発協力機関。今年で創設50周年を迎えた。

ほかの連邦政府機関と共に開発協力や東ヨーロッパ協力を統括し、連邦機関の人道援助を行う権限を持つ。

貧困の減少を開発協力の目標にしている。

任務は主に次の四つ。

・経済的自立と国家独立の促進

・生産条件の改善を支援

・環境問題克服に向けた援助

・教育の機会と健康上必要な基本的医療処置の提供

開発協力局では国内外で総計約600人が仕事に従事している。現地採用の職員は約1000人。

2011年の年間予算は17億3000万フラン(約1670億円)。

開発協力局は独自にプロジェクトを実施する一方で、国際開発機関のプログラムも支援している。また、スイスの援助機関と国際援助組織の双方のプログラムに出資している。

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マルティン・ダーヒンデン氏略歴(Martin Dahinden)

1955年生まれ。大使。経営経済学者。

2008年5月1日より連邦外務省開発協力局長を務める。

連邦外務省(EDA/DFAE)企業経営部長および、ジュネーブ人道的地雷除去国際センター(GICHD)の所長を務めた。

また、これまで国内外において外交に携わったほか、さまざまな職務に就いた経験を持つ。

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