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ブラックマネー スイスと米国 租税問題で合意に

記者会見に臨むエヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ財務相(右)とミハエル・アンビュール次官。租税問題における協定締結を発表

記者会見に臨むエヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ財務相(右)とミハエル・アンビュール次官。租税問題における協定締結を発表

(Keystone)

スイスの銀行に預けられていた米国人の多額のブラックマネーをめぐる長年の争いに、ようやく収拾がついた。スイス政府は29日夜、両政府の代表がワシントンで協定に調印したと発表した。

 脱税問題に関係するスイスの銀行は、高額の罰金を支払うことで米国内での刑事訴追を免れることになった。

 罰金の最高金額は、自国に税金を支払わずに済むようにとスイスの金融機関に預けられていた米国人顧客の資産の半額におよぶ。専門家は、その総計は数十億ドル(数千億円)に達すると見込んでいる。

 エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ財務相はスイスの首都ベルンで開かれた記者会見で「現在、罰金の金額は明示できない」と語ったが、いわゆる「アメリカ法(Lex USA)」の中で提示された金額とほぼ同額になりそうだ。「アメリカ法」は6月、連邦議会で否決された。

 「罰金額の見積もりは5月に出ていた。今、これなら何とかやっていけるという結果にたどり着いた。租税問題に関するこの取引がまとまったことで、過去を清算し、前を向いて進めるようになった」

脱税対策の重要な一歩

 米国も、この租税取引を脱税対策の重要な一歩だと発表した。エリック・ホルダー米司法長官はその後、この取引は税金を全世界から米国に取り戻そうと努力している税務当局の励ましになると語った。

 ジェームス・コール司法副長官も次のように語った。「今や、スイスの銀行守秘義務の背後に隠れていたり、他の国々に無申告の口座を持っている米国納税者は全員当局に名乗り出るときだ」

米国との租税問題

2011年、米司法当局がスイスの銀行12行に対し捜査を開始したと発表。多数の米人顧客の脱税をほう助し、それによって米国の法律を犯したという疑い。
 
米司法省は、これらの銀行が米人顧客を相手に行った取引に関するすべての情報を要求。その中には米国関連のビジネス情報やそれに関与した銀行員の名前も含まれている。
 
2012年、スイス政府は各銀行に対し、米司法当局への協力および従業員の氏名や情報の引き渡しを認めた。関係銀行は要求された何千件もの情報を引き渡したが、事前に関係者に連絡しなかったケースがほとんどだった。
 
2013年、米司法省がさらに多くの情報を要求したため、スイス政府は米国への情報引き渡しを独自の法律で定めるよう提案(USA法)。
 
同年6月、議会はスイスの主権と折り合わないという理由でこの提案を否決。
 
7月3日、エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ財務相が「プランB」を発表。それによると、銀行は政府の委任を得れば情報を引き渡すことができる。この案ではスイス刑法第271条(外国で禁止されている行為)を侵すこともない。

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顧客情報の引き渡しは公式手続きでのみ

 具体的には、スイス政府はこの協定により、「銀行プログラム」に参加するよう銀行を説得する義務を負う。また、米国との租税条約に基づく捜査協力を保証し、その申請があった場合は迅速に対応することを約束。顧客情報の引き渡しは、必ず公式手続きを踏んで行われる。

 一方米国側は、受け取った書類に銀行員や第三者の名前が載せられていても、それは当人が犯罪を犯したことを意味するわけではないことを承認。また、顧客情報を他の目的に使用しないことも確認された。

四つのカテゴリー

 このプログラムにより、スイスの銀行は四つのカテゴリーに分けられる。第1グループに入るのは、米国ですでに訴訟手続きが始まっている銀行だ。クレディ・スイス(Credit Suisse)、チューリヒ州立銀行(ZKB)、ジュリアス・ベア(Julius Bär)などがこれに当たる。だが、これらの銀行は米司法当局とすでに和解交渉に入っているため、プログラムの対象にはならない。

 第2グループは、米租税法に抵触したと思われる理由を持つ銀行から成る。これらの銀行にも罰金が課される。訴えられる心配はないが、米税務当局との全面的な協力を要請される。例えば米国における業務をどのように組織し、管理していたかなども明らかにする必要があり、その際には責任者の名前や役職も通達される。また、米国人顧客をどのようにして得、どのように対応していたのかも知らせなければならない。

 このグループに課せられる罰金は高額となりそうだ。2008年8月1日にすでに開設されていた口座については、最高預金額の2割に当たる罰金を支払う。

 2008年8月1日から2009年2月28日の間に開設された口座については3割、それ以降に開設された口座、つまりスイス銀行最大手UBSが米国と協定を結んだ後に開設された口座については5割が要求される。 

手痛い結果

 第3グループに含まれるのは、米国の法律を犯していないと信じている銀行だ。だが、それらの銀行は無実を証明しなければならない。そのために中立的な検査官を決め、米司法省宛てに報告書を作成する。

 第4グループは主に地元の顧客を扱っている銀行で、米国が刑事訴追を行わないことを保証した「ノンターゲットレター(Non-target Letter)」を申請することができる。検査官の報告書も必要ない。

 スイス銀行家協会は、次のような声明を発表した。「このプログラムはスイスの銀行にとって手痛い結果をもたらした。特に罰金額は、法的、経済的に許容できる範囲の上限に達するほどのものだ。しかしこれは、銀行が米国との法的問題に決着をつけ、法的安定性を生み出すために唯一残された解決策だ」

swissinfo.ch、外電


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