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欧州に吸い寄せられる中国 中国企業がスイスを選ぶ理由

東軟グループはヘルスケア事業で欧州での存在感を高めようとしている

東軟グループはヘルスケア事業で欧州での存在感を高めようとしている

(Keystone)

スイスには今後数年、多くの中国企業が上陸する、と東軟グループ(Neusoft他のサイトへ)の会長兼最高経営責任者、劉積仁(リュー・ジレン)会長は予想する。

 数々の中国企業が昨年、スイス企業の合併・買収(M&A)を成立させニュースの見出しを飾った。バーゼルに本拠を構える農業バイオ大手のシンジェンタ他のサイトへを、過去最高額の433億ドル(当時レートで約4兆8千億円)で買収した中国の大手国有企業「中国化工集団(ケムチャイナ)」もその一つだ。

 さらに多くの中国企業が安定した政治、技術的なノウハウ、強固な金融システム、低い法人税率といったメリットを享受しようと、スイスに欧州支社を置こうと計画している。自由貿易協定(FTA)や1月中旬の習近平国家主席のスイス訪問は、両国間の外交関係が最良な状態を保ちつつ、一段とその傾向が強まることを物語っている。

 ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)他のサイトへに出席した劉会長は、中国企業はビジネスモデルを変革するとともに海外展開を進めていると話し、また中国の国内市場は製造業中心からサービス業を基盤とする経済に変革を遂げようとしていると指摘した。

 劉氏は中国企業がそうした需要に応えるため、海外で地位のある専門家を探すとみる。「欧州、そしてスイスに来る中国企業はますます増えるだろう」と劉氏は話す。「新しい価値を創造するため、従来とは別の道を進む必要があるからだ」

 コンサルティング会社「KPMGスイス他のサイトへ」は中国のM&Aについてまとめた最近のレポートで、中国企業はポートフォリオの分散や先進技術の追求、そして「スイスらしさ」を有する伝統的な企業に関心を持っている、と指摘した。

才能を求めて

 東軟グループは2009年、アッペンツェルに欧州支社を構え、ドイツやフィンランド、ルーマニア、イスラエルでの事業を運営している。当初は欧州の自動車工業に狙いを定めソフトウエアの提供を手掛けていたが、現在はヘルスケア事業への展開を計画している。

 劉会長は「当社の製品に豊富な研究開発(R&D)を行っている。それには欧州のノウハウや才能が必要だ。これまでは(海外戦略として)貿易に集中してきたが、今は協業関係を築くことに重点を置いている」と話す。「欧州に研究開発拠点、中国に製造拠点を置くことで、両方の強みを生かせる」

 劉氏の戦略には二つの側面がある。欧州に拠点を置くことで、東軟は欧州の確立した技術や専門家に繋がりを持つことができる。加えて、製品を販売する新たな市場を開拓できる。

 業務提携であれ中国企業による買収であれ、スイスや欧州諸国でパートナー企業が足りないことはないようだ。中国の海南航空などを傘下に持つ海航集団(HNAグループ他のサイトへ)は昨年、スイスの旅客機ケータリング企業ゲートグループ・ホールディングや航空機整備のSRテクニクスを買収している。

 中国企業によるスイスへの投資額の精緻な統計は見当たらないが、100社以上の企業が活動しているとの推定がある。

 最近では真空容器のHaers社他のサイトへがアルミ製ボトルで有名なシグ(Sigg)社他のサイトへを買収したが、シグ社の最高経営責任者(CEO)シュテファン・ルドヴィッヒ氏は、中国企業による買収は何ら案じることはないと語る。

 「交渉の全工程を通じて、双方に信頼関係が築かれた」と同氏。「なぜ中国企業を恐れる必要があるのか。スイスラベルを大切にするつもりがなかったら、わざわざスイス企業を買収しようと思わないはずだ」

「ウィン・ウィン」の関係

 ルドヴィッヒ氏によると、中国との契約によって欧州ではみられなかった売上高の伸びがあったという。前出の劉会長も、成長する中国市場に繋がりを持つことは欧州企業に大きな見返りをもたらし、「ウィン・ウィン」の関係となる、と同意する。

 「創業期の企業はどこも、中国市場にアクセスする機会を求めている。多くの欧州企業はかなり早い段階で中国に乗り込む。グローバリゼーションは彼らのDNAだ」と劉氏は語る。

 同氏は現在スイスで法人税改革が議論されているにも関わらず、欧州支社をアッペンツェルに置いたままで「非常に快適だ」と話す。

 「中国において、スイスは透明性が高くて親しみやすく、ビジネス環境のさまざまなランキングで上位を占める安定した国、というイメージだ。海外展開を考えている中国企業は、今後さらにスイスに進路を向けるようになるだろう」

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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子), swissinfo.ch

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