スイスは軍需品法で紛争地帯への弾薬輸送を禁止している
Keystone / Maria Senovilla
ゲパルト対空戦車(自走式対空砲)に使用されるスイス製弾薬をウクライナに再輸出したいというドイツの要求を、スイス連邦政府が拒否したことが分かった。中立国スイスは戦争物資を紛争地帯に供与することを禁止しており、ウクライナ支援は例外に当たらないとした。
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連邦経済省経済管轄庁(SECO)が26日、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、スイス製弾薬の再輸出要求を拒否したとの報道内容を認めた。ドイツは同日、ゲパルト対空戦車50両など重火器をウクライナに提供すると発表。これに先立ち、ドイツによる再輸出要求をスイスが拒否したと報じられていたが、どの弾薬を指すのかは明らかになっていなかった。
SECOはドイツから2件の弾薬供与の依頼を受けたとされる。その1つにゲパルト戦車向けの35ミリ口径弾と12.7ミリ弾が含まれる。ともにスイスの軍需企業エリコン・ビュールレ社が製造している。同社は現在ドイツのラインメタルグループの傘下にある。
SECOは「ドイツの問い合わせはいずれも、スイスから輸入した弾薬をウクライナに供与することが可能かという内容だった。スイスの中立性とスイス軍需品法の拒否基準に照らして、ともに不可能だと返答した」と説明した。SRFによると、スイス製弾薬が使えなくなった今、ドイツがどの弾薬をウクライナに提供するかは未定だ。
中立
スイスはウクライナを侵攻したロシアに対する欧州連合(EU)の経済制裁には同調した。だが紛争地帯への武器供与までは許されないとの立場を示してきた。
スイスは通常、軍需品の輸出相手国に対し、許可なく第三国に再輸出しないことを宣言するよう求めている。先月は、ウクライナを支援する隣国ポーランドの武器要求を拒否した。
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