The Swiss voice in the world since 1935

学術研究目的の大麻使用認めず スイス連邦議会が動議却下

カンナビス
スイスでは合法大麻ビジネスがブーム Keystone

スイス連邦議会は11日、学術研究目的の大麻利用を認めるよう求めた動議を却下した。大麻の自由化につながりかねないとの懸念から、主要政党の大半が反対に回った。

 国民議会(下院)の投票結果は動議に賛成が93票、反対が96票の3票差だった。議員2人は裁決を棄権した。動議は委員会で僅差で可決され、本会議での採決に回されていた。

 保守派の国民党と中道のキリスト教民主党議員は、学術目的の使用を認めることで、大麻使用の自由化につながる恐れがあるとして、大多数が反対に回った。

 動議の支持層は、学術研究目的の大麻使用解禁は健康・社会問題への理解を深める上で役に立つと主張していた。

 この問題は昨年11月、一定の規制下において薬局で大麻を販売した場合の効果を調べるベルン大の研究について、連邦内務省保健局がストップをかけたのがきっかけ。同大の研究はベルン市の要請を受けたものだったが、同局は「現行の法制下では医療目的以外の大麻利用は認められていない」として申請を却下。また「このような研究目的の大麻使用が認められるためには、特別法規が必要になる」とした。

>>ベルン大の大麻研究とは?  

 11日の動議が否決されたことで、特別法規が盛り込まれる可能性は当面実現しない見通しとなった。

 大麻の栽培、使用、取引はスイス国内でいずれも禁止されている。2008年には大麻使用を罪に問わないイニシアチブ(国民発議)が国民投票にかけられたが、63%の反対で否決された。

 だが11年、新麻薬取締法施行で精神作用物質THC(テトラヒドロカンナビノール)が1%未満の大麻を実質的に販売できるようになった。その後、国内では合法大麻のビジネスが広がっている。

>>スイスの大麻王 1億円ビジネスの裏側は

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

バーゼルの路面電車

おすすめの記事

バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ

このコンテンツが公開されたのは、 5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。

もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
大阪・関西万博

おすすめの記事

スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール

このコンテンツが公開されたのは、 日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。

もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
クラウス・シュワブ氏

おすすめの記事

WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任

このコンテンツが公開されたのは、 世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。

もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
コーデリア・ベール

おすすめの記事

TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出

このコンテンツが公開されたのは、 米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。

もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
卵の棚

おすすめの記事

ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。

もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部