特別写真展、パンデミックを共有の記憶に
ジュネーブの国際赤十字博物館(MICR)で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をテーマにした特別写真展が開催されている。国際的写真家集団「マグナム」の写真家と、世界のネットユーザーたちが捉えたシーンを集めたものだ。作品はのちに常設展に展示される。新型コロナによるこの危機的状況を共有の記憶にするためだ。
公衆衛生危機に直面した世界の不安は写真にも表れている。約100点の写真が来年1月までジュネーブの国際赤十字博物館に展示される。「Covid-19 et Nous par Magnum photos et Vous(マグナム・フォトとあなたが見たCovid-19と私たち)」と題された写真展では、著名なフォトエージェンシー「マグナム」の作品と、博物館の呼びかけで世界中のネットユーザーから寄せられた写真やコメントが見られる。
写真展は最初からアンビギュイティに包まれている。写し出されているのは、世界的な不安だけではなく、スポーツや庭いじり、コンサートやダンス、ビデオ通話をしながら軽くお酒を飲むオンラインアペロなど、ロックダウン(都市封鎖)中にスイスや欧州、アメリカなどで試みられた、様々なアクティビティを通してパンデミックを乗り越えようとする人間の力。国際赤十字博物館のディレクター、パスカル・フフシュミット氏がマグナムのカルチャーディレクターとニューヨークで会ったことがこの写真展のきっかけだった。「コロナ危機では人々が一体になって努力した。それを別の形で評価したいと思った。その思いを伝えると、賛同してもらえた」(フフシュミット氏)
二つの写真展と映画
5月半ばにスタートした写真展プロジェクトは3段階で進められ、現在はマグナム・フォトとネットユーザーの作品が博物館サイトでネット写真展として公開されている。7月中には同じ作品が博物館に展示され、9月にはマグナムとMICRが共同制作したドキュメンタリー映画が公開される。フフシュミット氏は、「映画は訪問者やネットユーザーからサイトに寄せられた体験談や写真も取り入れたものになる予定で、この危機的状況の、共有された記憶として博物館のコレクションに加えたい」と言う。
ここではマグナム・フォトの2作品と、ネットユーザーの3作品を紹介する。
(仏語からの翻訳:由比かおり)
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