米加貿易戦争、9・11から25年、ブタをめぐる医療界の快挙…スイスが報じた米国のニュース
スイスで9日までの一週間に報じられた米国のニュースで、今週は9.11テロ、米加貿易紛争、豚の腎臓移植の3件を要約してお届けします。
25年前、私(筆者)はロンドンでジャーナリストとして働いていた。9月11日の午後早く、オープンプランのオフィスの壁に設置されたすべてのテレビが、突然同じ映像を映し出した。ツインタワーが炎上し、やがて崩れ落ちるという、現実離れした光景だった。前年に私が勤務していた隣のビル、「ワン・カナダ・スクエア」(別名カナリー・ワーフ・タワー)は、ヒースロー空港から離陸した飛行機が行方不明になっているという噂が流れたため、避難措置が取られた。当時、英国で最も高いビルであり、資本主義の象徴でもあったワン・カナダ・スクエアは、明らかな標的だったからだ。ご存知の通り、結局何も起こらず、私たちは一見説明のつかない出来事を解明しようと取材に取りかかった。
25年が経過した今も、史上最悪のテロ攻撃は、世界情勢や米国の政治に影を落とし続けている。今週のNZZが指摘したように、9.11は「21世紀において、アメリカ人を団結させた最初にして最後の瞬間」なのだ。
11日は、米国で発生した9.11同時多発テロから25年を迎える。ドイツ語圏の日刊紙NZZによれば、このテロは「米国人の自国や世界との関わり方を変え」、その結果、「深い不信感と深刻な二極化」をもたらしたという。
「2001年9月11日の朝、時間は引き裂かれた」と、NZZの副編集長は記した。彼は9.11直前に米国で大学の学業を始めたばかりだった。「世界は、スクリーンに映し出される映像に釘付けになった。2機の飛行機がツインタワーに激突する様子が、終わりのないループのように何度も何度も繰り返されていた」
約3000人が犠牲となったこの同時多発テロの一つの結果として、「アメリカ人は自分たちを卑劣な攻撃の犠牲者と見なし、断固とした姿勢を示す大統領の下に団結した」と彼は述べた。「これは決して当然のことではなかった。ほんの数ヶ月前、(ジョージ・W・ブッシュ)はアメリカ史上最も物議を醸した選挙の一つを、僅差で制したばかりだった。しかし9月11日以降、世論調査では国民の90%が彼を支持した。これは記録的な数字であり、今日ではまったく考えられないことだ」
共和党政権はこの支持を最大限に活用した。CIAは容疑者を秘密収容所に拘束し、拷問を加えた。米国愛国者法により、当局は裁判所の令状なしにテロ容疑者の家宅捜索を行うことが可能となった。
「当初、アメリカ国民は、国家がより強い統制を望み、国内外でより強硬な姿勢をとっていることを受け入れていた」とNZZは続ける。「しかし間もなく、ブッシュ政権の外交政策における境界線が曖昧になった。突如として、米国は中東の民主化を図り、女性をイスラム主義の束縛から解放しようとした。石油やガス、その他の戦略的利益も一因となっていた。2003年、米国はイラクに侵攻した」
NZZはさらに、米国が「終わりのない戦争」という泥沼にますます深くはまり込む中、政府の支持率は半減したと続けた。「ブッシュは強力な指導者から、歴代の大統領の中で最も国を分断した大統領へと変貌した。共和党は引き続き彼を支持したが、民主党で彼を支持し続けたのはごく少数の者だけだった。この深刻化した二極化は、ブッシュ時代の永続的な遺産として残っている。オバマ、バイデン、トランプの各政権下で、両党間の亀裂はさらに深まった」。NZZはその結果、9.11が「21世紀においてアメリカ人を団結させた最初で最後の瞬間」だと紐づけた。
「9・11以降、アメリカ人は外の世界を以前とは違った目で見るようになった」とNZZは結論づけた。「世界はより危険で、より混乱しているように見える。そして彼らは引きこもっている。妄想的な終末準備に走る億万長者や、ますます過激化する民兵組織ーーそれらは全米に広がりつつある『恐怖の文化』の最たる例だ。一般市民もまた、郊外や、考え方の似た人々のコミュニティへとますます引きこもっている」
NZZは、ソーシャルメディアの台頭がこうした「フィルターバブル」をさらに強めていると指摘した。「今日、アメリカ人は政治的信念に応じてパラレルワールドのなかを行き来している。これには多くの理由がある。しかし、2001年9月11日にニューヨークのツインタワーに衝突した飛行機が、その触媒としての役割を果たしたのだ」
米ホワイトハウスは8日、カナダによる最大50%の対米報復関税に対抗措置として、酒類をはじめとする特定のカナダ産製品の輸入を禁止し、その他の商品に対する関税を引き上げると発表した。対カナダ貿易紛争がさらに激化する格好となり、仏語圏の日刊紙トリビューン・ド・ジュネーブは、終息の見通しは立っていないと報じている。
同じく仏語圏の日刊紙ル・タンが9日報じたところによると、マットレスからモーターボート、ゴルフカートに至るまで、幅広い製品が9月15日から50%の追加関税の対象となる。9月29日には、あらゆる種類のアルコール飲料や、ホエイなどの乳製品の輸入禁止措置が発効する。
ある種の朗報としては、一部のカナダ産製品が50%の追加関税の対象外となることだ。対象となる品目のリストは大幅に縮小されたが、トイレットペーパーは依然としてその中に含まれている。
「カナダからの酒類輸入禁止を正当化するため、ドナルド・トランプ米大統領は、カナダ国内で米国の蒸留酒を対象としたボイコットを理由に挙げた。トランプ氏はこれを『差別的』と表現している」とル・タンは説明した。「昨年、トランプ氏が関税攻勢を開始して以来、カナダ国民は米国製品に対する大規模なボイコットを展開してきた。販売を独占しているほとんどの州で、米国のワインやスピリッツが店頭から姿を消している」
カナダ国民の3分の2が米国に対する強硬な姿勢を支持している。
「現時点では、この危機の終息の兆しは見えないようだ」と、9日付のトリビューン・ド・ジュネーブは報じた。「カナダのマーク・カーニー首相は8日朝、米国への依存度を低減させるという政府の戦略が、同国に短期的な経済的『コスト』をもたらすだろうと警告した。カナダの関税報復措置が発効してから数時間後にYouTubeに投稿された動画の中で、同首相は『何もしないことによるコスト』の方がはるかに大きいと述べた」
スイスの新聞各紙は先週末、ボストンでの医療上の快挙を称賛した。66歳の男性の体内で、ブタの腎臓が9カ月間機能し続けたという。
「この男性の予後は厳しいものだった」と、独語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー(5日付)は報じた。「糖尿病により腎臓は深刻な損傷を受けていた。2年間、透析に頼っていたが、それによって彼は極度の疲労に陥り、一方で病んだ臓器の機能は悪化の一途をたどっていた」。医師たちは、今後5年以内に腎臓の移植を受けられる確率を9%、待機期間中に死亡するリスクを40%と推定していた。「そこで医師たちは、ある計画を考案した。それが結果的に医学上の画期的な成果をもたらした」
ボストンのマス・ジェネラル・ブリガムの医師チームは、この患者にブタの腎臓を移植した。その結果、移植腎は極めて良好に機能し、患者は271日間も透析なしで過ごせたことを、同チームは科学誌「ランセット」で報告した。これまでは、ブタの腎臓が人体内で機能した最長期間は2カ月にとどまっていた。「異種移植(異なる種間での移植)により、人間が長期にわたり恩恵を受けたのはこれが初めてだ」と、ターゲス・アンツァイガーは報じた。
約6カ月後、腎臓の血管に損傷が見られ始め、最終的に臓器不全に至った。腎臓は摘出せざるを得なくなり、患者は再び透析に戻った。その後、この男性には幸運にも80日後に人間のドナー腎臓が見つかった。
ターゲス・アンツァイガーは、医師たちがブタの腎臓が最終的に機能不全に陥った理由を説明できないという疑問を指摘しつつも、異種移植がヒトの臓器を待つ間のつなぎとして選択肢となり得るかどうかについて、現在議論が交わされていると報じた。
「マス・ジェネラル・ブリガムのチームは、この成功は世界的な臓器不足の打開策となりえると考えている」と、ル・マタン紙は報じた。「しかし、研究者たちは依然として慎重な姿勢を崩していない。これは、極めて専門的な条件下で経過観察された、単一患者に関する事例に過ぎないからだ。この種の移植をより大規模に検討するには、さらなる臨床試験が必要となるだろう」
次回の「スイスが報じた米国のニュース」は9月17日にお届けします。
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英語からの翻訳・校正:宇田薫
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