アルプホルンはトウヒの木から作られる。トウヒ材は美しい音を奏でるだけでなく、柔らかいため加工しやすいという特徴を備える(KEYSTONE)
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ほぞ加工。マウスピースと管に繋げる部分(KEYSTONE)
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丁寧に研いで形を整える(KEYSTONE)
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各パーツを繋げるための糊付け(KEYSTONE)
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接合する前に入念に埃を取り除く(KEYSTONE)
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奏者の好みに応じたマウスピースを仕上げるため、各サイズの工具が揃う(KEYSTONE)
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マウスピースには、オリーブウッド、ローズウッド、クワ材、コクタン材などの硬材が適している(KEYSTONE)
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管に溝入れを行う(KEYSTONE)
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管は二つの半管を貼り合わせて作る。綺麗な筒状に加工された菅の内側(KEYSTONE)
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ベル型の開口部には曲がったモミが使用される(KEYSTONE)
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接合部の糊が乾くまで金属の輪で固定(KEYSTONE)
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糊が乾いたら表面を磨いて形を整える(KEYSTONE)
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でこぼこした箇所がないか、指先で丁寧に点検(KEYSTONE)
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アルプホルンの絵付け(Thomas Eichenberger)
Thomas Eichenberger
運びやすいよう、分解できるようになっている (Thomas Eichenberger)
Thomas Eichenberger
家具職人のトーマス・アイヒェンベルガーさんがアルプホルンをはじめて吹奏したのは1996年。自然倍音列を奏でるアルプホルンの音色に惹かれたアイヒェンベルガーさんは、いつか自分でアルプホルンを作ることを夢見ていた。それが実現したのは2012年。退職したアルプホルン職人のヴァルター・ルッシさんからアルプホルン製造の技術を受け継いだ。
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Gaetan Bally/Keystone, Ester Unterfinger
アルプホルンは長い間、牛飼いが牛を牧草地から小屋に呼び込むための道具だった。他にも、隣の山の牛飼いや谷の住民とのコミュニケーションを手段として活躍。また、カトリックの州では歌声が祈りの始まりの合図だったが、改革派の州では夜に響くアルプホルンの音がその役割を担っていた。1527年の帳簿には、アルプホルンについての最古の記録がある。
18世紀に入るとアルプホルンはほぼ忘れ去られていった。そして、貧窮した牛飼いが施しを乞い、町でアルプホルンを吹奏しはじめたことから、物乞いの楽器として嘲笑された時期もあった。しかし、19世紀にアルプホルンがスイスのアルプスで息を吹き返した。ロマン主義と観光客によって民謡が注目を集めたことがきっかけだった。今日、アルプホルンはチーズ、チョコレート、エーデルワイスと並んでスイスのシンボル的存在となっている。
スイスの写真家ガエタン・バリーさんは、アイヒェンベルガーさんのアルプホルン工房を訪れ、楽器が出来上がるまでの約150の工程を写真に収めた。一つのアルプホルンが出来上がるまでには約60時間を要する。
(独語からの翻訳・説田英香)
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